

神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001

2025年11月1日
20時〜27時まで
DVMs動物医療センター
横浜市神奈川区沢渡2-2第二泉ビル2F
℡045-473-1289
http://www.yokohama-dvms.com
24時間対応
横浜救急診療センターVECCS YOKOHAMA
横浜市南区前里町1-25三井ビル2階
℡045-341-0856
http://veccs-yokohama.jp/
2025年8月24日
最近ニュースでもよく取り上げられるようになってきているのですが、皆さんはSFTSという病気をご存知でしょうか?
この病気は、わんちゃん、猫ちゃんだけでなく、人にも感染する病気で、致死率も10〜30%と高い病気とされています。今年度SFTS感染動物の治療に関わった獣医師が亡くなったという情報もあり、公衆衛生上ぜひ皆様に知っておいて欲しいので、当院のブログでも取り上げさせていただきました。
SFTSとは?
SFTSは「重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)」の略で、マダニが媒介
するウイルス感染症です。
・日本では2012年に初めて報告がなされました。
・その後、西日本を中心に報告がなされていましたが、今年は神奈川県内で、また北海道でも発症の報告がなされました。
・60歳以上の高齢者の方の感染例が多く、人での致死率は25〜30%とされています。
・人だけでなく、わんちゃんも猫ちゃんも感染が報告されています。
近年、関東のマダニもSFTSのウイルスを持っていそうだという報告があり、近いうちに神奈川県内でも発生するのでは?と関連業者と話題になっていましたが。神奈川だけでなく北海道でも出てしまっており、日本全国どこでも感染するリスクがあるのかもしれません。まだまだ新しい病気なので、どのように対応していったら良いのか、わかっていない部分も多いのですが、定期的に情報をアップデートしていかないといけないなと思っております。少なくとも、まずは感染源であるマダニの予防が大切なのは間違いないと思われます。
SFTSの人と動物の症状
人の場合
犬や猫の場合
動物がその後どうなったのか?という話を講習会で聞く機会があるのですが、正直あまり良い話は聞けていません。
感染経路は?
つまり、ペットがマダニに噛まれると、動物自身が発症するだけでなく、飼い主さんにも感染のリスクがあります。
実際に今年度、SFTSと診断された動物の治療にあたった獣医師が感染し、亡くなってしまったとの情報が出ています(6月13日NHK記事などより)。
我々も、決して他人事ではないと危機感を感じており、皆様にも、感染源であるマダニの予防にご協力頂きたいです。
※以前から実施していることですが、当院でホテルやトリミングなどをご利用いただく際には、必ずノミとマダニの予防を受けて頂いております。
※ノミやマダニの感染が疑われる際には、ご来院前に必ずご連絡を頂きますようお願いいたします。
感染源のマダニってどんな生き物?

当院にもほぼ毎年マダニ感染の動物が来られます。立場上どこで感染してくるというのは明言できないのですが、お話を聞いてみると、県外の自然が多い有名観光地や、サービスエリア、横浜市内の区外の大きな公園で感染したとおっしゃっていました。
皆さんマダニ予防はされていらっしゃらなかったです。されている方では幸いご来院はありません。もちろんマダニ感染をした後も、皆元気に過ごしています。
(ノミは市販の予防薬をつけていても、効かないというケースは経験がありますので、新しい世代の動物用医薬品を推奨しております。)
「マダニがついてます」とはっきりとわかる方もいらっしゃるのですが、「何か出来物があるんですが」ということで来られるケースもあります。目が良い人だとよく見ると、皮膚にくっついている部分に足があるのがわかるかと思います。足がわしゃわしゃ動きます。噛まれている部分は赤くなります。
逆に「マダニがついてるー!」と来られて、これは出来物ですというケースもあります。
マダニの活動が活発になるのは、特に春と秋です。下の図を見ていただくとわかると思いますが、これから訪れる「秋」がとても増えるシーズンになりますので、是非予防をしてください。

予防方法

厚生労働省のサイトに公式な情報が載っておりますので、こちらもご参考になさってください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html
2025年7月14日
2025年4月14日
歯のお悩みでたくさんの患者さんがご来院されるので、今回はよくある質問について、書いてみようと思います
A1:ある論文にて歯のケア(スケーリング)を定期的にしている犬では、していない犬よりも寿命が長いというデータが出ています。また心臓病のある犬とない犬では、心臓病の犬の方が血中の歯周病菌が多い、つまり心臓病と歯周病は関係しているのではないかと考えられています。心臓だけでなく、肝臓や腎臓への負担もよく言われています。歯周病で歯が痛い、顎の骨が溶けて折れてしまう、歯の根っこから膿が多量に出てしまう等、様々な怖いことが起こるため、歯のケアが重要だとされています。ちなみに、2歳までに80%の犬が歯周病であったというデータもあります。当院にかかっている患者さんでは、デンタルケアを頑張られている方が増えていますので、もう少し低いようには感じます。歯周病関連のトラブルはとても多いので、重要だと考えております。
A2:あまり難しく考えないでください。ご自身の歯磨きと一緒です。できたら毎食後が望ましいです。歯の表も裏も間も歯周ポケットも1本1本丁寧に磨くのが望ましいです。ただこれが中々大変だし、難しいんです。歯磨き大好きというワンちゃんは少ないです。毎日やるっていうのは正直大変です。毎日が難しければ、2日に1回でも、今日は前歯だけ、明日は奥歯だけでも良いんです。やらないより良いんです。できるところから少しずつやってみてください。ただし噛まれる時は無理はしてはいけません。
歯磨きのタイミングは食後が望ましいのですが、敢えて食前にやるのも1つの手だと感じています。皆さんのおうちのワンちゃんは歯磨きが好きでしょうか?好きな子は珍しいのではないでしょうか?
逆に飼い主の皆さんは、またはお子さんは歯磨きが好きでやっているという方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?たぶん好きでやっているわけではなく、虫歯になってツラい思いをするから、ある意味仕方がなく、やっているのではないでしょうか?習慣的にやっているとやらないと気持ちが悪いと思う方もいらっしゃいますかね?
ワンちゃんには、歯磨きをしないと病気になるとはたぶん理解できません。口の中に何かを突っ込まれて掻き回されて、下手したらすでに歯周病があったら、そこをイジられたら痛くてツラいかもしれません。多くの子は嫌なんです。だけど健康のためにはしなければならない。そこでどうするか?
それがあえて「食前にやる」という方法です。食事が大好きな子は、食事の前に「待て」や「お手」などの芸をやってと言うと、一生懸命やってくれる子は多くないでしょうか?つまりご褒美のために頑張っているんですね。「待て」や「お手」の代わりに「歯磨き」をすると、ご褒美のために頑張ってくれる子がいます。こういう方法を使うのも1つかもしれません。
ワンちゃんは虫歯が少ない代わりに歯周病が圧倒的に多いです。食べカス=歯垢は、2〜5日程度で石のような歯石に変化します。食べカスは、歯と歯肉の間に溜まることが多いのですが、ここに歯周病菌が棲みつき、歯の周りの組織・骨を溶かしていくという怖い病気です。歯周病菌の棲家となる食べカスは、歯垢のうちは歯磨きで取り除くことができますが、歯石になると歯医者さんで使うような機器類でないと取り除くことができません。食べカスがついたら、早めに取り除くのが望ましいですが、本格的に取り除けなくなる歯石となるまでは、数日かかりますので、その前に取ってしまえば歯周病のリスクは低くなります。
歯周病で口の中が痛い子は、まずは治療をしてから歯磨きをするのが望ましいです。
A3:歯磨き粉のメーカーさんからは、使った方が効果的だというデータを出されていらっしゃるので、効果的なのではないかと思っています。しかしまずはブラッシングの仕方が大切です。歯の間にゴハンが挟まっているのを取らずに、そこに一生懸命歯磨き粉を塗っても、効果が十分に発揮されません(歯磨き粉によっては、塗るだけで炎症を抑える作用や、菌の発育抑制作用があるものもあります。ただ根本の歯垢や食べかすを取ることがまず大切です)。やはりブラッシングの仕方が大前提です。あと人用はキシリトールが入っているので使用しないでください。ワンちゃんにキシリトールは毒性があります。
A4:大前提として歯ブラシでのブラッシングが一番だと思います。飼い主さんご自身でデンタルシートを試したと考えて頂き、歯のザラザラ感はどうでしょう?歯の間は如何でしょう?きっと歯ブラシの方が良いと思われる方は多いのではないでしょうか?そして何よりもワンちゃんで多い歯周病は歯周ポケットに汚れが溜まって起こる病気です。この歯周ポケットはブラシじゃないと綺麗にできないんです。だからこそ歯ブラシが一番となります。でもそうです。歯ブラシをやらせてくれないんです。そういう時にブラッシングをやる前の練習として、デンタルシートを使うと良いと思います。
A5:歯磨きガムも効果があるのですが、ブラシやシートで拭くよりも効果が落ちる傾向にありますので、補助として利用されると良いと思います。想像してみてください。もし飼い主さんご自身が歯磨きガムだけで自分の歯をキレイにキープできそうか?できる方もいるかもしれませんが、中々難しいのではないかと私は思います。ちなみに一般的な歯磨きガムは、ガムをかんだ時の摩擦で歯垢が取れます。飼い主さんがやりがちなミスのNo. 1は、ポイッとそのまま与えることです。よく観察してください。一体何回ガムをかんだでしょう?数えてみてください。大して噛みもせずに飲み込んでいる子が多くないでしょうか?与えるなら逆側を持って、簡単には飲み込ませないようにして、前歯、奥歯、左右何度も噛ませてください(※噛まれないよう注意してください)。あと与える量も注意です。推奨量が袋に書いてあるかもしれませんが、意外と書いてある推奨量でも量が多いケースが多いです。要は太りますので、その子その子で量の調整が必要です。ヒントとしては自分が食べる量で考えてみてください。ベスト体重が3kgの男の子の成犬にガムを1本与えるとはどういうことか?私達換算言うと成人男性、170cm、60kgだとしたら、ガム20本です。そりゃ言い過ぎだよと言うなら、半分にしましょうか?ガム10本です。毎日ガム10本をご自身が食べたらどうなるか?意外とカロリーが高そうに思えませんか?歳とともに基礎代謝が低下してきている私にとって、いつものゴハンにプラスして毎日ガム10本食べなさいと言われると、1ヶ月後の体重は大変なことになっていそうです。わんちゃんは太れば太る程、平均寿命が短くなるというデータが出ていますので、良かれと思ってやったことが悲しいことになるかもしれません。歯磨きガムは与え方が大切です。
A6:普段から何かを齧っている子は、そうでない子に比べるとデータでも経験的にも歯がキレイな傾向にあります。齧ることの摩擦で歯垢が取れるのでしょう。齧ることは歯に良さそうです。ただここにも注意点があります。①硬すぎる物は与えない。ひづめ等ある程度の硬さがあるものは歯が折れることがあります。特に奥歯の大きな歯が折れることが多いです。歯が磨耗してほとんどなくなっている子もいます。また②食べてしまわないように注意(誤食)。本来は食べてはいけない物を丸呑みしてしまい、腸に詰まってしまうケースもあります。好みもあるので、具体的に何を与えると良いというのは、すみませんが難しいです。硬さや安全性で言うなら、やはりガムが無難ではあるかもしれません。
A7:これも結構難しいんです。わんちゃんの口の大きさってかなり幅がありますので、まずはお口のサイズにあったブラシを選ぶ必要があります。そして毛先が硬いものはあまりすすめていません。実は歯磨きが痛くて歯磨きが嫌だというケースも結構あるんです。それは毛先が硬くて痛いということも要因の1つなります。あとはすでに歯周病があり、デリケートな状態なのに更に毛先が硬いもので磨くと、やはり痛いんです。痛くないけどしっかりと取れる毛先が望ましいです。今のところ特に小型犬にはヘッドが小さくて毛先が硬過ぎない動物用の歯ブラシをすすめています。
A8:歯周病が進行すると抜歯をする必要が出てきます。歯の根っこの部分にバイ菌の塊がついて、歯の周りの骨が溶けてしまっており、その歯が残っていることで本人がツラい思いをして、可哀想なので抜くことがあります。むしろすでにグラグラで接着剤のようになっている歯石を取るとポロリと抜けてしまうことも多いです。歯を抜くのは可哀想ですし個人的には歯を抜きたくないので、抜かなくて良いように歯磨きをして欲しいです。そして汚れてきたら歯がダメになる前にクリーニングをしてあげると良いです。獣医としては、全部の歯をキレイにすべきと言わないといけないのかもしれませんが、長生きすると、私達人間でもどうしても1本か2本、歯がダメになることがあるかと思います。できる範囲で良いので健康な歯をキープしてあげて、健康で元気に長生きしてもらいたいと思っています。

↑ 左は正常な歯のレントゲン、右は歯周病の歯のレントゲンです。右側の青丸の歯の周りが左に比べて黒くなっていることがわかります。これは歯を支える顎の骨が歯周病菌により溶かされていることを示唆しています。

↑ 上記のレントゲンに写っている歯周病におかされてしまった歯です。歯の表面(下の部分)は白いですが、歯の根本(上の部分)は茶色い歯石や歯垢が付着しています。イメージとしては歯の根っこが腐っています。腐ったものが口の中でずーと刺さっていて、どんどん顎の骨が溶かされていたら嫌じゃないでしょうか?残しておいたらワンちゃんにとって害にしかならないので、抜去しています。
A9:当院では歯の治療を行う際には、基本的に全身麻酔を実施しています。麻酔をかけないとキチンとした治療ができないし、危険だし、動物が可哀想だからです(次のブログを見ていただければわかると思います)。飼い主さんのほとんどの方が歯医者さんに受診されたことがあるのではないかと思います。私達も歯医者さんと同じようなことをやります。歯を1本1本、表も裏も間もチェックして、歯周ポケットは深くなっていないか、汚れが溜まっていたら、歯の表も裏も間も歯周ポケットの中もキレイに掃除をします。歯周病は歯周ポケットの中に汚れが溜まりどんどん広がって骨を溶かしていく病気です。軽度の歯周病の治療の際には、この歯周ポケットの中の汚れを取ることで治療が可能なのですが、「アーンしてね」や「動かないでね」と言っても動物には中々できないので、麻酔をかけずに歯周ポケット内の汚れを取るのは非常に難易度が高いです(麻酔をかけないでも、大人しい子でしたら表面の歯石は取れるかもしれませんが、しっかりとした治療ができたか?と聞かれると私には難しそうです)。そもそも歯周病があって痛いわけなので、無理やり押さえつけてやるのは、きっとツラいことなのではないでしょうか?更に歯がもっと悪くて抜歯が必要ですとなったら、麻酔をかけないで抜歯をするのは、よほどグラグラしていてポロリと抜けるような状況でなければ、きっととても痛いでしょう。一方でもちろん麻酔をかけるリスクもありますので、メリット・デメリットを天秤にかけて治療をご提案しています。話は戻りますが、できたらなるべく歯磨きをしてください。
A10:まず歯石取りという言葉やイメージが先行していて、何だかわからなくなっているのではないかと思われます。そして具体的にいつというのは、「その子とご家族次第」がお答えになります。
それでもどうしたら良い?というご質問に対しましては、個人的には今のところ最低2〜3年以内に1回くらいのペースで、お口のチェックを受けられてはどうか?とアナウンスをしています。
理想的には歯磨きがしっかりとできていて、歯垢も歯石の付着がなく歯周病になっていない、そしてその他、歯が折れる等といった口腔内の病気が無いなら、歯石取り、歯内治療、抜歯等の治療は必要ありません。
ただ一生懸命歯磨きをしていても、私達自分自身の歯であっても、歯科医に診てもらうと歯石がついている、中には虫歯や歯周病を指摘されることがあります。そのため人では、半年毎の歯科検診がすすめられています。早期発見早期治療でなるべく健康な歯を残していくことは、人でもとても重要だと考えられているからです。寿命と健康寿命が伸び、認知症の予防にもなるとされています。
わんちゃんの場合も、予防歯科の考え方は同じで、結果的には歯石も取るのですが、定期的に歯科検診をし、なるべく健康な歯が残るようにしていきましょうということになります。歯科検診の頻度は、先生によってご意見も変わりますが、ある専門の先生は半年に1回、少なくとも1年に1回はやった方が良いでしょうとおっしゃっています。ただ人と違うのが、ワンちゃんの場合はしっかりといた歯のチェックをするためには、やはり全身麻酔が必要になるということです。
私個人は、飼い主さんの予防意識や、実際にどの程度のデイリーケアができるか、麻酔をかけられそうか、口の中のトラブルの重症度等を加味して、対応させて頂いております。
具体的には、定期的な歯科検診を受けられている方、見た目だけではきっちりと評価はできないのですが、歯槽骨が溶け始めていそうな所見が出る前(抜歯が必要になる前)に定期的に治療を受けられる方。すでに歯周病があるがこれから予防歯科を頑張りたいという方、日頃のケアはできないのだけど歯周病で歯が痛くてご飯が食べられない、根尖部膿瘍で頬から膿が出続けている等、本人の苦痛がヒドイ場合のみ治療をするという方など、様々なパターンがあります。
A11:言葉では言い表すのが難しいので、いつも紹介させていただいているドッグトレーナーの先生の無料動画を見て頂くことをまずオススメします。

↑当院HPの一番下にあるこちらのリンクから飛んでみてください。ワンちゃんの飼い主さん必見のしつけ動画をたくさん載せてくださっています。
それでも難しそうなら、かかりつけの先生やトレーナーさんと相談してみると良いと思います。
「ウチの子は歯磨きを嫌がるんです」と言われる方がおられますが、大丈夫です。私が知る限り歯磨きが好きという子はとても少ないです。うまくトレーニングを重ねていくことで、「好きではないけど我慢できる」、「歯磨き事態はそれ程好きではないけど、褒めてもらえるから、ご褒美がもらえるから好き」までできるかもしれません。私達人間も歯磨きが大好きでやっているというより、歯磨きをしないといけないからやっているのではないでしょうか?
動物の歯科もドンドン発展しており、様々なご意見やお考えがあるかと思います。もしかしたらもっと良い回答があるかもしれません。こちらで書かせて頂いたことが完璧で正しいとは限らないのですが、1つのヒントとなれば幸いです。お口のことが気になるなと思われたら、まずはかかりつけの先生とご相談してみてください。
2025年4月7日
当院の駐車場が増え、2台停められるようになりました。
1台目は従来通りの仲町台第3駐車場です。
新しい駐車場は、当院が入っている建物ハスミドミトリーの駐車場です。建物の裏側にあります。
一番奥の2番の駐車場が当院の駐車場となりますので、お間違えのないようお願いいたします

※コインパーキングについて
コインパーキングの駐車料金が次第に値上がりしており、
診察料1000円以下‥‥110円分
診察料1000円以上‥‥最大330円分
面会‥‥‥‥‥‥‥‥…………最大220円分
申し訳ありませんが、周りの駐車料金の兼ね合いで急遽変更する可能性があります
2025年3月28日
慢性腎臓病の治療の続きですが、今回はもうちょっと具体的な治療内容について書かせて頂きます。
慢性腎臓病の治療にはガイドラインが存在します。IRISという団体さんが出されているガイドラインです。大体下記のような内容となります。
私個人は、このガイドラインをベースに考えて、その子毎にご家庭毎に相談しながら、治療内容をアレンジしております。ガイドラインに載っていない医薬品、サプリメント、漢方薬なども、ご相談の上で処方させて頂いていることもあります。
| ステージ | 残存腎機能 | 血清クレアチニン(mg/dL) | SDMA (µg/dL) | 平均余命 | 主な治療目標 | 推奨される治療・管理 |
| ステージ1(初期) | 約100%〜33% | 犬:<1.4、猫:<1.6 | >14 | 犬:約400日以上 | 早期発見・進行抑制 | ①腎臓に負担のかかる持病の治療・予防(尿路結石の予防や、尿路感染、高血圧のコントロール)
②腎臓に負担がかかる薬や、食べ物(高タンパク食)をなるべく控える ③定期的な健康診断(SDMA・クレアチニン・尿タンパク、血圧などのモニタリング、画像検査) ④水をよく飲めるようにする ⑤トイレを我慢しないようにする |
| ステージ2(軽度) | 約33%〜25% | 犬:1.4–2.0、猫:1.6–2.8 | 18–25 | 犬:約14.78ヶ月 | 進行抑制 | ステージ1に加えて
① 療法食(低リン・低タンパク食) ※ステージ1は高タンパク食を控えるでした、低タンパク食を推奨 ② リン吸着剤の使用 |
| ステージ3(中等度) | 約25%〜10% | 犬:2.1–5.0、猫:2.9–5.0 | 26–38 | 犬:約11.14ヶ月 | 進行抑制・症状緩和・生活の質向上 | 臨床症状が出るので、ステージ2までの治療に加え、症状を緩和する治療が追加される
① 貧血対策(エリスロポエチン投与) ② 電解質異常(カリウム補充など)管理 ③ 皮下輸液(脱水治療・防止) ④制吐剤・胃酸抑制剤(吐き気の緩和のため) ⑤食欲増進剤 など |
| ステージ4(末期) | 約10%以下 | 犬・猫:>5.0 | >38 | 犬:約1.98ヶ月
猫:約3ヶ月(中央値103日)、 |
症状の緩和・生活の質の向上>進行抑制 | ステージ3までの治療に加え、栄養と水分投与と投薬のサポートのために、栄養チューブを検討 |
・上記で書かれている平均寿命は、文献や臨床データからのもので、同じ慢性腎臓病でも、その子その子の体質や状態、慢性腎臓病の原因、ケア法によって大きく変動します。
・前回も書かせて頂いた通りなのですが、このガイドライン通りに全てを実施することが、正しいというわけではなく(ガイドラインも時々アップデートがあります)、動物とそのご家族の数だけの正解があると思います。ご家族とかかりつけの獣医師ともよくご相談しながら、治療を受けられることをオススメいたします。
・慢性腎臓病は、寿命や生活の質に影響する病気で、基本的には治らない病気であり、進行性の病気です。
・早期発見・早期治療で寿命が伸びるという様々なデータが出ております。ステージ2までは基本的には症状がわかりにくい、もしくは症状が出ません。お仕事をされていらっしゃる、学校に通われている方なら毎年1回は健康診断を受けられると思いますが、わんちゃん、猫ちゃんも若いうちには年1回くらいは、血液検査や尿検査などを受けられることをオススメします。またわんちゃん、猫ちゃんは1年で4〜5歳くらい歳をとりますので、7歳を超えてくれば、余裕のある方は年に2回くらいの検診を受けられることをオススメします。

2025年3月21日
続いて慢性腎臓病の治療についてですが
調べたことがある方はわかると思いますが、腎臓病の中でも慢性腎臓病には、すごくたくさんの治療法があります。
あれが良いらしい、これが良いらしい。
先生によっても言うことが違うかもしれません。
同じ先生でも1年前と今で言うことが変わることもあるかもしれません。
飼い主さんとしては、どうしたら良いのか非常に悩まれることがあるのかなと感じます。

これは色々な理由があるのですが、第一に現時点で私が知る限り慢性腎臓病を根治させることが非常に困難だからです。
基本的な治療の目的は「根治」ではなく、①生活の質を高めること、②寿命を伸ばすこと、となります。
治る病気なら、治療方法は単純明快です。
しかし治らないからこそ、様々な治療法が提案されています。
治療方法に正解はあるのか?と聞かれると、私個人としては、飼い主さんと動物の数だけあるとお答えさせていただきます。私が考える良い治療は、飼い主さんにとっても、動物にとっても、社会通念上としても良い治療だと思っています。
わんちゃん、猫ちゃんの慢性腎臓病の治療法には、食事療法、投薬療法、皮下補液などがあります。

ある子は、腎臓病用の療法食を喜んで食べてくれた。だけどお薬は飲ませられない。
またある子は、食事のこだわりが強くて療法食は食べてくれない。お薬は飲める。通院はちょっと大変。
そしてある子は、ご飯も投薬もだめだけど、連れて来れ、皮下補液をしてもらうと調子が良くなる。など、動物の事情には色々なパターンがあります。
飼い主さんとしても、費用面をはじめ、お仕事が忙しい、投薬が難しい等、きっと色々なご事情やお気持ちなどがあるかと思われます。
それぞれの事情があるけれども、無理をして全ての治療をすべきなのか?私はそうは思っていません。ご家族ごとのチョイス・選択が重要だと思います。これらのお悩みを一緒に考えていくのが、我々獣医師の仕事の1つだと思っています。ご家庭ごとのお悩みがあると思いますので、どういうことに困っているのかをお伝えいただくと、きっと良い治療になると思います。
こういうお悩みは昔よりも増えてきたなと感じております。昔は何ヶ月も症状が続いているけれども病院に連れて来られずに、末期状態となり受診され、もう年だから何もしないという方も結構いらっしゃいましたが、近年は、定期的な健康診断を受けられる方が多くなり、症状が出る前に早期発見されるケースが増えています。またできることはやってあげたいという方が増えている印象です。色々やってあげたいと思うことと、やってあげられないことのジレンマがあるのかと思われます。
私個人としては、昔と比較してしまうので、動物のために一生懸命考えてあげていることが、本当に素晴らしいなと思っています。こんなに一生懸命考えて、定期的に健康診断も受けられ、色々と頑張っているのだから、大丈夫ですよ。自信を持ってくださいってよく思います。動物はどうしても歳をとり、歳をとると病気になってしまいます。どのように付き合ってあげたいか一緒に考えさせて頂きたいなと考えております。また将来的には治る病気になって欲しいなと思っています。私が獣医師になり15年程度ですが、心臓病の手術が成功するようになったり、不治の病であったFIPが治るようになったりと、この15年でびっくりするような進歩が起こっています。いつか腎臓病も治る時代が来ることを期待しております。
2025年3月21日
今回は腎臓病について書かせて頂こうと思います
腎臓病は、わんちゃんの死因の第3位、猫ちゃんの死因の第1位と言われている病気です。
腎臓は、肝臓の細胞などとは異なり、再生能力が乏しく、一度壊れてしまうと基本的には回復しません。人は正常なケースだと1〜2歳くらいまでに成人と同じくらいの腎臓の機能が備わると言われています。動物も生まれてからしばらくしてから大人と同じ機能になるのではないかと思われますが、この機能がゆっくりと低下していった場合は20%くらいに落ちると、様々な症状が出て、更に0に近づくと命を落としてしまします。
腎臓の病気には様々なパターンがあります。
様々なパターンがあるので、偉い先生方が病気を考えやすくするために、「急性腎障害」と「慢性腎臓病」という2種類の大まかに分けてくださいました。
急性腎障害とは、急な腎臓のダメージ、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。
代表的な急性腎障害の原因としては、猫ちゃんの尿道閉塞です。おしっこは腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱で一時的に貯められて、尿道を通り陰部から排泄されます。猫ちゃんの男の子は特に、尿道の出口が狭いので、詰まってしまうことがあります。尿が詰まると24時間くらいで、膀胱がパンパンになり、腎臓への障害(ダメージ)が起き始めます。個人的な経験では、初期は何度もトイレに行っては出ない、出ても少量、トイレ以外の場所で、尿をしようとする、血尿が出るなどの症状が出ていると伺います。そして2日以上経ち始めると、食欲が無くなり、嘔吐をし、ぐったりしてくることが多いです。この時点で検査をすると、血液検査にて尿素窒素やクレアチニンなどが重度に上昇しているケースが多いです。尿道のつまりを解除すると真っ赤な血尿が出ることが多く、飼い主さんがびっくりされるケースも多いです。腎臓へのダメージが少ない早期の段階で治療をすれば、助かることが多いのですが、治療が遅れれば遅れるほど、腎臓へのダメージが蓄積していって、場合によっては亡くなってしまうことがあります。また生き残ってくれた場合でも後遺症が残ることがあります。いかに早期に気づいてあげられるかが、とても重要なポイントとなります。

↑この子は、急に何度もトイレに行くようになって、おしっこが出ないということで来院されました。
膀胱の中に、白いモヤモヤがあります。これは膀胱結石です。

↑よくよく、骨盤の後ろのあたりを見てみると、赤い円の中に小さな結石があります。これが詰まったのだと考えられました。男の子の尿道は女の子よりも細く、詰まりやすいです。

↑赤い矢印の先の白い線は尿道カテーテルです。カテーテルを使って、尿道で詰まっていた結石を膀胱の中に戻し、尿を抜きました。青い矢印の先にあるのが、多数の砂粒のような膀胱結石です。この子は、尿検査から溶けないタイプのシュウ酸カルシウムが疑われたのですが、運よく漢方薬で結石が無くなりました。溶けないタイプの結石は通常手術が検討されます。
急性腎障害の原因には、他に毒物があります。例えばエチレングリコール、昔はアイスノンの不凍液として利用されていました。私自身も3件くらい経験がありますが、食べて数日して症状が出た状態でご来院された方は残念ながらほぼ助かりません。食べてすぐの元気な状態でご来院頂き、催吐処置をして毒物を排泄させるや、解毒剤の投与をするなどをした子は、幸い助かりました。アイスノンには最近では安全性の高い化合物を使われるようになったので、事故は減りましたが、最近BBQの火起こしの際のジェルタイプの着火剤に、エチレングリコールが入っているのを見かけたので、注意が必要かもしれません。エチレングリコールは甘い味がするのだそうです。またブドウやレーズンも腎臓への毒性があるので要注意です。毒物以外では、レプトスピラ感染症でも起こります。2024年には横浜でも2件ほど発生の報告があります。レプトスピラ感染症には予防接種という方法もあります。
![]()

↑健康な時の腎臓の超音波画像・そら豆のような形をしています。

↑尿路感染・腎盂腎炎に伴う急性腎障害を引き起こした時の同一猫の超音波画像
腎臓が少し大きくなっています。

↑よく見ると、尿が出ていく部位である腎盂の拡張を認めます。敗血症の併発も疑われました。感染症と敗血症に伴う急性腎障害の症例。感染のコントロールなどで改善しました。
一方で、慢性腎臓病とは、「腎臓の障害(ダメージ)」や「一定レベル以下の腎機能低下」が3ヶ月以上続いている状態の総称です。腎臓の障害には腎臓の形態異常や蛋白尿があります。急性腎障害の後遺症として、慢性腎臓病へと移行することがあります。
慢性腎臓病の症状として飼い主さんが気付かれるのは、わんちゃんと猫ちゃんでは嘔吐と食欲不振が多いです。体重減少に気づかれる方もいらっしゃいます。猫ちゃんでは水をよく飲んで、たくさんのおしっこをするということも比較的多くの飼い主さんが気付かれます。
慢性腎臓病の厄介なことの1つは、症状が出た時には病状が進んでいることが多く、特にわんちゃんの場合は、一般的にはステージ3あたりから症状が出始め、症状が出て検査をしてもらったら、余命が1年もないと言われてしまうことがあります。腎臓は一度悪くなると回復しないので、とにかく早い段階でトラブルを見つけてあげることが大切になります。

↑加齢に伴う慢性腎臓病の場合は、最初は左右2つある腎臓の内、機能が低下した片方の腎臓が萎縮していくことが多いです。下の正常な腎臓が4cmあるのに対して、3cmくらいになっています。片側だけの腎機能の低下の場合は、もう片側が頑張って働かないといけないので、大きくなることがあります(代償性肥大)。さらに病状が進行して、両方とも腎機能が低下すると、両方の腎臓が小さくなっていきます。

↑別の健康な子の腎臓

↑これは猫ちゃんのレントゲンです。猫の正常な腎臓の長さは、背骨2つ分(4cmくらい)くらいで、この子は明らかに両側の腎臓が大きくなっていることがわかります(6cmくらい)。

↑同一の子の超音波画像、腎臓に多数の嚢胞が形成していることがわかりました。多発性嚢胞腎という遺伝性疾患が考えられました。生まれてから徐々に腎臓に液体を溜めた嚢胞が形成されていき、数が増えていき、腎臓の組織が徐々に破壊され、腎機能が低下していきます。予防法はありません。この子がこの画像の状態になった時には、末期の腎臓病でした。

↑これはリンパ腫の猫ちゃんの腎臓です。下は同じ子で健康な時の腎臓です。上は下に比べて、ボコボコした構造をしており、サイズが大きくなっています。上は下の検査をした2ヶ月後の画像です。わんちゃんの腫瘍は比較的ゆっくりと進行することが多いのですが、猫ちゃんの場合は、急激な発症で、進行もとても早いです。

腎臓は一度悪くなると基本的には回復しないので、早期発見・早期治療がとても重要となります。また上記のように原因が様々なので、その原因や病期によって、また動物の状態や、飼い主さんのご希望などで治療法が多岐にわたります。
2024年12月12日
20時〜27時まで
DVMs動物医療センター
横浜市神奈川区沢渡2-2第二泉ビル2F
℡045-473-1289
http://www.yokohama-dvms.com
24時間対応
横浜救急診療センターVECCS YOKOHAMA
横浜市南区前里町1-25三井ビル2階
℡045-341-0856
http://veccs-yokohama.jp/
2024年5月26日