

神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001

2026年9月15日
「猫が吐いたけど、毛玉かな?」
「1回吐いただけなら、様子を見ても大丈夫?」
「何度も吐いているけど、動物病院に連れて行ったほうがいい?」
猫と暮らしていると、一度は「猫が吐いた」という経験があるのではないでしょうか。
猫は毛づくろいをする動物なので、毛玉を吐くこともあります。
そのため、猫が吐いていても、
「猫は毛玉を吐くものだから」
と考えてしまうことがあります。
もちろん、毛玉を吐いた後に元気や食欲が戻り、その後は問題なく過ごしているのであれば、緊急性がない場合もあります。
しかし、猫の嘔吐には毛玉以外にもさまざまな原因があります。
胃腸の病気だけではなく、腎臓病、肝臓病、膵炎、甲状腺の病気、中毒、異物などが原因になっていることもあります。
また、
「吐いていること」そのものよりも、「吐いた後に猫の状態がどうなっているか」
が重要な場合もあります。
この記事では、猫が吐く原因、毛玉との見分け方、動物病院を受診したほうがよい症状について、飼い主さん向けに解説します。
猫は毛づくろいをするときに、自分の毛を飲み込んでいます。
通常、飲み込んだ毛の多くは消化管を通って便と一緒に排泄されます。
一方で、胃の中に毛がたまると、毛が絡まり合って「毛球」と呼ばれる状態になることがあります。
これを吐き出したものが、いわゆる「毛玉」です。
毛玉を吐くときには、
といった様子が見られることがあります。
ただし、
「毛が出てきた=必ず毛玉が原因だった」
とは限りません。
毛が一緒に出ていても、別の病気による嘔吐の可能性があります。
猫の嘔吐には、さまざまな原因があります。
代表的なものとして、
などがあります。
そのため、
「猫が吐いた=毛玉」
と決めつけてしまうのは注意が必要です。
飼い主さんから、
「黄色いものを吐きました」
「透明な液体を吐きました」
「白い泡を吐きました」
「フードをそのまま吐きました」
「毛が混じっていました」
という相談を受けることがあります。
吐いたものを見ることはもちろん大切ですが、
吐いたものの色だけで病気を判断することはできません。
例えば、胃液や胆汁が混ざって黄色っぽく見えることもあります。
また、食べた直後にフードがほとんどそのまま出てくる場合には、「嘔吐」ではなく「吐出」と呼ばれる現象の可能性もあります。
重要なのは、
などを合わせて考えることです。
これは猫の状態によって変わります。
例えば、
1回だけ吐いたものの、その後は普段通り
という場合には、すぐに重い病気だと判断する必要はありません。
吐いた後に、
という状態であれば、まず落ち着いて様子を確認することもできます。
ただし、1回だけの嘔吐でも、
異物を食べた可能性がある
中毒の可能性がある
明らかに元気がない
などの場合は話が変わります。
また、高齢猫や持病のある猫、子猫では、嘔吐を軽く考えないほうがよい場合があります。
猫が吐いたとき、特に注意してほしいのが「嘔吐を繰り返す」「元気や食欲がない」といったケースです。
このような場合には、「毛玉かな」と様子を見続けるのではなく、動物病院で相談することをおすすめします。
猫の嘔吐で、私が飼い主さんに特に注意してほしいと思っている組み合わせがあります。
それが、
「吐く+食べない」
です。
1回吐いただけでも、その後まったく食べない。
何度も吐いて、食欲も落ちている。
こうした場合には、単なる毛玉だけではなく、何らかの病気が隠れている可能性があります。
猫は「食べないこと」を長く放置しないほうがよい動物です。
特に肥満した猫では、食欲不振をきっかけに肝リピドーシスなどの問題につながることがあります。
そのため、
「吐いたけど、明日には食べるだろう」
と長期間様子を見ないことが大切です。
猫が急にご飯を食べなくなった場合については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ 猫が急にご飯を食べなくなった|何日まで様子を見ていい?
猫が毛玉を吐くこと自体は珍しいことではありません。
しかし、
「最近、毎週のように吐く」
「以前より吐く回数が増えた」
という場合には注意してください。
例えば、慢性的な胃腸の病気や、腎臓などの病気が隠れていることがあります。
また、毛づくろいが増えている猫では、毛を飲み込む量が増えている可能性もあります。
「毛玉を吐いている」と思っていた猫が、実は別の病気を抱えていたということもあります。
大切なのは、
「吐いたものに毛が入っているか」だけではなく、「どのくらいの頻度で吐いているのか」「猫自身の状態がどうなのか」
を見ることです。
動物病院に相談するときには、次のことを確認しておくと診察の助けになります。
「今日1回だけ」なのか、
「朝から3回」なのか、
「ここ1か月、週に1回程度」なのか。
頻度は重要な情報です。
食事の直後なのか、数時間経ってからなのか。
時間帯や食事との関係も確認しておきましょう。
可能であれば、吐いたものを写真に撮っておくと診察時の参考になります。
などが含まれていないか確認します。
「少し食べた」ではなく、
普段の何割くらい食べているのか
まで分かると、より参考になります。
水を飲めているか、飲んだ後に吐いていないかも確認しましょう。
いつも通り遊ぶのか、寝てばかりいるのか。
猫は体調不良を隠すことがあるため、普段との違いを見ることが大切です。
嘔吐だけでなく、
なども確認しておきましょう。
少し抵抗があるかもしれませんが、吐いたものをスマートフォンで撮影しておくと、診察時に役立つことがあります。
例えば、
「毛玉だと思っていたけど、実は血が混じっていた」
「フードを吐いたと思ったけれど、異物のようなものが混じっていた」
など、後から確認できる場合があります。
また、猫が吐く様子そのものを動画で撮影できれば、嘔吐なのか吐出なのか、あるいは咳など別の症状なのかを判断する手がかりになることもあります。
無理に撮影する必要はありませんが、可能であれば記録しておくとよいでしょう。
猫の嘔吐では、症状や年齢、身体検査の結果などから必要な検査を選択します。
腎臓や肝臓の状態、血糖値、電解質などを確認します。
嘔吐の原因が消化管だけではない場合もあるため、血液検査が重要になることがあります。
消化管内のガスの状態や、異物などを確認するために行うことがあります。
胃や腸、肝臓、膵臓などの状態を確認するために行います。
特に慢性的な嘔吐では、超音波検査が診断の手がかりになることがあります。
寄生虫などが疑われる場合には、便を調べることがあります。
必要な検査は猫によって異なります。
「猫が吐いたから必ず血液検査」というわけではなく、診察をしたうえで必要な検査を組み合わせます。
猫は体調不良を隠すことがあります。
そのため、
「吐いたけど、いつも寝ている時間だから分からない」
「少しは食べているから大丈夫」
「毛が出たから毛玉だろう」
と考えているうちに、病気が進行してしまうことがあります。
もちろん、猫が1回吐いただけですべてが病気というわけではありません。
大切なのは、
「その後、猫がどうしているか」
を見ることです。
吐いた後も元気で食欲があり、その後は吐かないのであれば、緊急性が低いケースもあります。
一方で、
吐くことを繰り返す
食べない
元気がない
水も飲めない
血が混じる
異物を食べた可能性がある
といった場合には、動物病院への相談をおすすめします。
猫は毛づくろいをするため、毛玉を吐くことがあります。
しかし、猫が吐く原因は毛玉だけではありません。
胃腸の病気だけでなく、腎臓病、肝臓病、膵炎、中毒、異物など、さまざまな病気が嘔吐の原因になることがあります。
そのため、
「毛が出てきたから大丈夫」
と決めつけないことが大切です。
特に、
といった場合には、動物病院に相談してください。
そして、猫が吐いたときには、
「何を吐いたか」だけではなく、「その後の元気・食欲・水分摂取・排便・排尿」
まで見てあげることが大切です。
「毛玉かな?」
と迷うようなときも、吐く回数が増えている、以前より頻繁に吐くようになったなどの変化があれば、一度動物病院で相談してみてください。
横浜もみじ動物病院でも、猫の嘔吐について診察しています。
猫の「吐く」という症状にはさまざまな原因がありますので、気になる変化があればお気軽にご相談ください。
回数だけで「何回なら受診」という明確な基準を決めることはできません。
1回だけ吐いて、その後は元気・食欲ともに普段通りという場合には、様子を確認できることもあります。
一方で、短時間に何度も吐く、繰り返し嘔吐する、食欲や元気がない、水も飲めないなどの症状があれば、動物病院への相談をおすすめします。
毛玉を吐いた後、元気や食欲があり、その後も吐かないのであれば、緊急性が低い場合もあります。
ただし、頻繁に毛玉を吐く、以前より吐く回数が増えた、食欲が落ちている、体重が減っているなどの場合には、毛玉以外の原因が隠れている可能性があります。
黄色い液体は胆汁などが混ざっていることがありますが、吐いたものの色だけで原因を判断することはできません。
吐く回数や食欲、元気、下痢などの症状と合わせて判断する必要があります。
透明な液体や泡を吐くことがありますが、これだけで病気の有無を判断することはできません。
繰り返し吐く、食欲がない、元気がないなどの症状があれば、動物病院へ相談してください。
食後すぐに、ほとんど消化されていないフードを吐き出す場合は、「嘔吐」ではなく「吐出」の可能性があります。
嘔吐と吐出では原因が異なる場合があるため、可能であれば吐く様子を動画で撮影しておくと診察の参考になります。
水を飲めていることは重要ですが、それだけで問題がないとは判断できません。
吐く回数、元気、食欲、下痢などを合わせて確認してください。
繰り返し吐いている場合や、元気・食欲が低下している場合は、動物病院へ相談してください。
「何日まで大丈夫」と一律に決めることはできません。
特に、嘔吐と食欲不振が同時に起きている場合は、毛玉だけとは限りません。
猫が急に食べなくなった場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
元気があることは良い兆候ですが、繰り返す嘔吐は注意が必要です。
特に、以前より明らかに吐く回数が増えた、何日も繰り返している、体重が減っているなどの場合には、動物病院で一度相談することをおすすめします。
必ずしもそうとは限りません。
毛づくろいによって飲み込んだ毛が一緒に出てくることはありますが、毛が混じっていても別の病気による嘔吐の可能性があります。
吐いたものだけでなく、猫の全身状態や嘔吐の頻度も確認してください。
2026年9月13日
「さっきトイレに行ったばかりなのに、またトイレに行っている」
「何度もトイレに入るけれど、尿が少ししか出ていない」
「トイレにいる時間が長い」
「砂をかいているけれど、おしっこが出ている様子がない」
猫と暮らしていると、このような変化に気づくことがあります。
猫が何度もトイレに行っていると、単純に「おしっこの回数が増えた」と思ってしまうかもしれません。
しかし、猫の場合には、尿をたくさんしているのではなく、「尿を出したいのに出せない」状態になっていることがあります。
特に注意してほしいのが、
「何度もトイレに行くのに、尿がほとんど出ていない」
というケースです。
尿道閉塞などによって尿が出なくなっている場合、緊急の処置が必要になることがあります。
この記事では、猫が何度もトイレに行くときに考えられる原因や、ご家庭で確認してほしいこと、そして「尿が出ないとき」に注意してほしい理由について解説します。
猫が何度もトイレに行っているとき、最初に確認してほしいのは、
「実際に尿が出ているかどうか」
です。
例えば、
このような違いがあります。
特に、
何度もトイレに行っているのに、尿の塊がほとんどない
という場合には注意が必要です。
猫の排尿異常では、頻繁にトイレに行く、排尿時に力む、血尿が出るなどの症状が見られることがあります。
一方で、尿道が詰まっている場合には、尿を出そうとして何度もトイレに行くものの、尿がほとんど出ない、あるいは全く出ないことがあります。
ここは、飼い主さんにぜひ知っておいていただきたいポイントです。
例えば、
腎臓病などでは、尿を濃縮する力が低下して、尿の量そのものが増えることがあります。
この場合は、
「尿の量が多い」
ということが問題になります。
一方で、
膀胱炎などでは、膀胱や尿道に違和感があるため、何度も排尿姿勢をとることがあります。
この場合、
トイレに行く回数は多いのに、1回あたりの尿量は少ない
という状態になります。
さらに、
尿道が閉塞している場合には、
何度も排尿姿勢をとるのに、尿がほとんど出ない、または全く出ない
ということがあります。
この状態は特に注意が必要です。
猫が何度もトイレに行く原因には、さまざまなものがあります。
猫の排尿異常でよく見られる原因の一つです。
膀胱に炎症が起こると、
などの症状が見られることがあります。
猫では、細菌感染だけでなく、原因を特定できない特発性膀胱炎などもあります。
そのため、「膀胱炎っぽいから大丈夫」と自己判断するのではなく、尿検査などで原因を確認することが大切です。
尿の中にできた結晶や結石、尿道栓子などが尿路を刺激したり、尿道を塞いだりすることがあります。
尿路結石などでは、
などの症状が見られることがあります。
特にオス猫では、尿道が細いため、尿道閉塞につながることがあります。
今回の記事で、最も注意していただきたいのが尿道閉塞です。
尿道閉塞とは、膀胱にたまった尿が尿道を通って外に出せなくなっている状態です。
猫では、尿道栓子や結石などが原因となることがあります。
特にオス猫は、メス猫に比べて尿道閉塞を起こしやすいことが知られています。
初期には、
「何度もトイレに行く」
という、一見すると膀胱炎のような症状だけに見えることがあります。
しかし、
実際には尿が出ていない
ということがあります。
これは非常に大切なことなので、強調しておきます。
猫が何度もトイレに行っているのに、尿が出ていない場合は、様子を見ずに早急に動物病院へ相談してください。
完全に尿が出なくなると、体内に老廃物が蓄積していきます。
さらに、重度の尿道閉塞では高カリウム血症などの電解質異常が起こり、心臓のリズムに影響するなど、命に関わる状態になることがあります。
完全閉塞では、状態が急速に悪化することがあります。
そのため、
「朝は元気そうだったから、もう少し様子を見よう」
「何度もトイレに行っているけれど、少しは出ているから大丈夫だろう」
と考えてしまうのは危険です。
尿が出ているか分からない場合も、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
猫の尿道閉塞で、飼い主さんが気づきにくい理由の一つに、
排尿姿勢と排便姿勢が似ている
ということがあります。
トイレの中でじっと力んでいる姿を見ると、
「便が出ないのかな?」
「便秘かな?」
と思ってしまうことがあります。
実際、尿道閉塞の猫で見られる排尿努力を、便秘だと勘違いしてしまうことがあります。
そのため、
「トイレで力んでいる=便秘」と決めつけないこと
が大切です。
「便が出ていないのか」
「尿が出ていないのか」
を確認してみてください。
猫に次のような変化があれば、動物病院での診察をおすすめします。
特に、
「何度もトイレに行く+尿が出ていない」
という組み合わせには注意してください。
さらに、
「尿が出ない+元気がない・食べない・吐く」
という状態であれば、より緊急性が高い可能性があります。
猫の頻尿や血尿、排尿困難の原因を調べるためには、症状だけでなく、身体検査や尿検査などを組み合わせて判断します。
必要に応じて、
尿の濃さ、血液、炎症、結晶などを確認します。
腎臓の数値や電解質などを確認します。
特に尿道閉塞が疑われる場合には、腎機能やカリウムなどの電解質を確認することが重要になります。
尿路結石などが疑われる場合に行います。
膀胱内の状態や膀胱壁、腎臓などを確認するために行うことがあります。
ただし、すべての猫にすべての検査を行うわけではありません。
症状や身体検査の結果を見ながら、必要な検査を組み合わせて原因を探します。
尿道閉塞が確認された場合には、まず猫の全身状態を確認します。
重度の尿道閉塞では、脱水や腎機能の異常、高カリウム血症などが起こっていることがあります。
その場合には、状態を安定させながら、尿の通り道を確保する処置が必要になります。
一般的には、カテーテルなどを用いて閉塞を解除し、膀胱から尿を排出させます。
状態によっては入院管理が必要になることもあります。
つまり、
「尿が出ないけれど、猫がまだ歩けているから大丈夫」
という病気ではありません。
見た目にはそれほど重症に見えない段階でも、体の中では異常が進行している可能性があります。
猫が何度もトイレに行っている場合、動物病院に相談する前に、可能な範囲で次のことを確認しておくと診察の参考になります。
「最後に普通の大きさの尿が出た時間」を確認しておきましょう。
いつもと比べて、
などを確認します。
血尿がないか確認します。
普段と比べて明らかに増えていないか確認します。
排尿異常だけなのか、それとも元気や食欲も落ちているのかを確認します。
吐いていないか確認します。
これらの情報は、動物病院で診察するときにも役立ちます。
多頭飼育の場合や、猫砂の種類によっては、
「どの猫が尿をしたのか分からない」
「尿の量が確認しにくい」
ということもあります。
その場合、
「尿が出ているか分からないから、もう少し様子を見る」
のではなく、排尿異常が疑われる場合は動物病院へ相談することをおすすめします。
特にオス猫で、
という状態であれば、尿道閉塞の可能性を考える必要があります。
猫は体調が悪くても、飼い主さんから見ると普段通りに見えることがあります。
そのため、
「元気はあるから大丈夫」
「ご飯は少し食べているから大丈夫」
とは限りません。
特に排尿については、
「何回トイレに行ったか」だけではなく、「実際に尿が出ているか」
を見ることが重要です。
猫が何度もトイレに行くようになったら、まず尿の量を確認してみてください。
そして、
尿が出ていない
ほとんど出ていない
出ているかどうか分からない
という場合には、様子を見すぎず、動物病院に相談してください。
猫が何度もトイレに行くときには、まず、
「本当に尿が出ているのか?」
を確認してください。
猫の頻尿や排尿困難には、膀胱炎や尿石症などさまざまな原因があります。
その中でも、
尿道閉塞は緊急性の高い病気です。
特にオス猫で、
という場合には、早めの受診をおすすめします。
「尿が出ていないかもしれない」
と感じたら、「もう少し様子を見よう」とせず、まず動物病院へご相談ください。
横浜もみじ動物病院でも、猫の排尿異常について診察しています。
当院は予約優先制ですが、予約なしでも診療を受け付けています。緊急性がある場合には、状況に応じて対応しますので、まずはお電話でご相談ください。
膀胱炎、尿石症、特発性膀胱炎、尿道閉塞など、さまざまな原因が考えられます。
単純に尿の量が増えている場合だけでなく、「尿を出したいのに出せない」ために何度もトイレに行っている場合があります。
まずは実際に尿が出ているか確認することが大切です。
少し尿が出ているからといって、必ずしも問題がないとはいえません。
膀胱炎や尿石症などでも、何度もトイレに行って少量しか尿が出ないことがあります。
特に、いつもより明らかに尿が少ない、排尿時に痛そう、血尿があるなどの場合には、動物病院での診察をおすすめします。
尿が出ていない場合は、時間を決めて様子を見るのではなく、できるだけ早く動物病院へ相談してください。
完全な尿道閉塞は緊急疾患で、時間の経過とともに全身状態が悪化する可能性があります。
はい。オス猫はメス猫に比べて尿道が細く、尿道閉塞を起こすリスクが高いことが知られています。
猫では排尿時の姿勢と排便時の姿勢が似ているため、尿道閉塞による排尿努力を便秘と勘違いすることがあります。
便だけでなく、尿が実際に出ているかも確認してください。
血尿があっても元気そうに見えることはありますが、膀胱炎や尿石症などの可能性があります。
特に頻尿や排尿時の痛み、尿量の減少などを伴っている場合は、一度動物病院で診察を受けることをおすすめします。
尿道閉塞が起きている場合は、閉塞を解除して尿の流れを回復させる処置が必要です。
同時に、脱水や腎機能、電解質など全身状態を確認し、必要な治療を行います。状態によっては入院が必要になることもあります。
可能であれば新鮮な尿を持参できる場合もありますが、尿が出ていない可能性がある場合は、尿を採取することに時間をかけないでください。
まずは受診を優先してください。
猫の排尿異常は、腎臓や尿路の病気とも関係します。
当院では、猫の腎臓病についても解説しています。
症状が一つだけではなく、「食欲が落ちた」「水を飲む量が増えた」「尿の量が変わった」など複数の変化がある場合には、まとめて獣医師に伝えることが大切です。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介
2026年9月12日
前回、前々回と、ワンちゃんと猫ちゃんの「食欲不振」について書かせていただきました。
「急にご飯を食べなくなったら、どのくらい様子を見ていいの?」
「どんな症状があれば動物病院に行ったほうがいいの?」
そんな疑問を持つご家族の参考になればと思って書いたものです。
実際の診療でも、「急にご飯を食べなくなった」というケースは、
ご家族が比較的早く異変に気づいて来院されることが多いように感じます。
皮膚をかゆがっている、少し吐いた、便が少しゆるい、といった変化に比べると、
「いつも食べている子が、急に食べなくなった」という変化は、
ご家族にとっても分かりやすく、大きな心配事になりやすいからです。
急な変化であれば、ご家族が気づいて動物病院へ連れてきてくださる。
その意味では、私は「急に起こった食欲不振」については、それほど心配していません。
もちろん、急な食欲不振の中にも、大変な病気が隠れていることはあります。
しかし、少なくとも「気づくことができる」という点では、比較的対応しやすいのではないかと思っています。
私が難しいと感じるのは、むしろこちらです。
実は、ずっと前から食欲が落ちていた。
でも、ご家族は「食べている」と思っている。
このようなケースです。
もちろん、これはご家族が悪いわけではありません。
犬や猫は、「今日は昨日より10g食べる量が減った」ということを教えてくれるわけではありません。
毎日一緒に暮らしているからこそ、少しずつ起こる変化には気づきにくいこともあります。
特に猫では、その傾向が強いように感じます。
そして、私自身も診療のあとに、
「もっと早く気づいてあげられていたら」
「何か一つでもアドバイスできていたら」
と思ってしまうことがあります。
少しデリケートな話になりますが、今回は獣医師として、私が日々の診療で感じていることを書いてみたいと思います。
実際のお話を多少脚色していますが、診療では時々このようなことがあります。
主:飼い主さん 獣:獣医師
主「最近、食欲がないんです」
獣「いつからですか?」
主「ここ3日、ほとんど食べていないんです」
獣「そうなんですね。何かきっかけはありますか?」
主「特にないです。半年前にドライフードを食べなくなって、ウェットフードにしたら、よく食べるようになっていたんです」
獣「なるほど。ウェットフードはどこのメーカーのものを、どのくらい食べていますか?」
主「どこのだったかな……。○○のメーカーのものを、1日2袋くらいです」
獣「半年前から、ずっと1日2袋ですか?」
主「いえ、1か月くらい前から1袋くらいになって、1週間前からさらに半分くらいしか食べなくなって……。ここ3日はほとんど食べていません」
獣「嘔吐や下痢はありますか?」
主「食べなくなってからは吐いていません。便も出ていません。下痢はないです」
獣「それ以前はどうでしたか? 若い頃から吐いていましたか?」
主「若い頃は、そんなに吐いていなかったと思います。でも歳を取ってからは、月に何回か吐いていたかもしれません」
獣「半年前にドライフードを食べなくなってからはどうですか?」
主「毎週吐いていました。食べなくなってからは吐いていません」
獣「ちなみに、今日の体重が2kgですが、若い頃は何kgくらいありましたか?」
主「5kgくらいはあったと思います」
ここまでお話を聞くと、獣医師としては少し考え込んでしまいます。
この子の場合、「3日前から食べていない」ということだけを見ると、急な食欲不振に見えます。
しかし、実際には、半年前からドライフードを食べなくなっていた。
そして、1か月前から食べる量が減っていた。
さらに、1週間前から、さらに食べる量が減っていた。
そして、ようやく「ここ3日ほとんど食べていない」というところで来院されたわけです。
つまり、「3日間食べていない」のではなく、半年間かけて、少しずつ食欲が落ちていた可能性があります。
さらに、若い頃にはなかった嘔吐が、半年前から毎週のように起こっていた。
そして体重を見ると、若い頃には5kgほどあった猫が、現在は2kg。
もちろん、体重が減った理由は一つとは限りません。
実際に検査をしてみなければ病気を特定することはできません。
しかし、身体検査やこれまでのお話を合わせると、かなり進行した慢性疾患が隠れている可能性を強く考える状況です。
このケースで、私が特に気になるのが、
「半年前にドライフードを食べなくなった」というところです。
猫がドライフードを食べなくなってウェットフードを食べるようになった。
ウェットフードなら食べるので、
「ドライフードが嫌いになったのかな?」
「歳を取ったから、柔らかいものが好きになったのかな?」
と考えることもあると思います。
もちろん、本当に好みの問題である場合もあります。
しかし、「硬いものを食べなくなった」という変化の裏側に、歯や口の中の痛みが隠れていることがあります。
また、食欲そのものが落ちている可能性もあります。
「食べられるものを食べているから大丈夫」とは限りません。
食事の種類が変わったときには、なぜそのフードしか食べなくなったのか?という視点も大切です。
猫の診療で難しいと感じる理由の一つが、猫は体調不良を外から分かりにくくすることがある、ということです。
かなり体調が悪くても、
・歩くことができる
・ジャンプすることができる
・走ることもある
・ご家族の顔を見れば「ニャー」と鳴く
・スリスリしてくる
そんなこともあります。
だからこそ、「元気そうだから大丈夫」とは限りません。
猫の場合は、
・食べる量が少し減った
・以前より吐くようになった
・体重が少しずつ減っている
・水を飲む量が増えた
・トイレに行く回数が変わった
といった、小さな変化の積み重ねが重要です。
私が猫のご家族にぜひお願いしたいのは、
「食べているかどうか」だけではなく、「どのくらい食べているか」を見てほしい ということです。
例えば、「ちゃんと食べています」と言われても、
以前は1日2袋食べていたのが、今は1袋。
さらに半袋。
それでも「何かは食べている」ため、ご家族からすると「食欲はある」と感じることがあります。
しかし、実際には食事量が半分、さらにその半分になっているかもしれません。
少しずつ減っている変化は、急に全く食べなくなる変化よりも、気づきにくいものです。
猫の体調変化に気づくために、ご家庭でできることの一つが体重を定期的に測ることです。
特に、
・高齢の猫
・腎臓病などの持病がある猫
・以前より食べる量が減ってきた猫
・嘔吐が増えてきた猫
では、体重の変化を確認しておくことをおすすめします。
「見た目は変わっていない」と思っていても、数字を見ると少しずつ減っていることがあります。
毎日測る必要はありません。
例えば定期的に体重を測り、記録しておくだけでも、
「いつから体重が減り始めたのか」を知る大きな手がかりになります。
ここまで書いてくると、
「もっと早く病院に連れて行けばよかったのでは?」
と思われる方もいるかもしれません。
でも、私はご家族を責めたいわけではありません。
ご家族には、ご家族なりの事情があります。
仕事や生活のこと。
他のご家族のこと。
動物病院に連れて行くことへの不安。
「病院に行ったら、病気だと言われるかもしれない」という怖さ。
「もう歳だから仕方ないのかな」と思ってしまう気持ち。
猫の場合には、そもそも動物病院へ連れて行くこと自体が大変なこともあります。
普段動物病院にかかっていなければ、
「どこの病院に連れて行けばいいのかわからない」ということもあるでしょう。
いろいろな事情があるのだと思います。
だからこそ、この記事を読んでくださった方には、
「食べているから大丈夫」ではなく、「以前と比べて食べる量が変わっていないか?」
ということを、一度確認してみてほしいと思っています。
獣医師として診療をしていると、
「もっと早く見つけてあげられたらよかったのに」
と思ってしまうことがあります。
もちろん、来院されていない以上、私たちが診察することはできません。
それは分かっています。
それでも、
「半年前に相談してもらえていたら、何かアドバイスできたかもしれない」
「体重を測ってもらえていたら、もっと早く変化に気づけたかもしれない」
「食事量の変化を一緒に確認できていたら」
と思うことがあります。
これは、私個人の感傷なのかもしれません。
それでも、今回この記事を書いたのは、
「誰か一人でも、この記事を読んで早く気づいてくれたらいいな」と思ったからです。
獣医師は、診察をして、検査をして、病気を診断し、治療することはできます。
でも、それだけでは十分ではありません。
毎日その子と一緒に暮らしているご家族にしか気づけない変化があります。
・昨日より少し食べる量が減った
・最近、ドライフードを残すようになった
・前より吐くことが増えた
・なんとなく痩せてきた気がする
そういった小さな変化を、私たち獣医師が最初から見つけることはできません。
獣医師だけの力では、どうしても限界があります。
ご家族が日々の変化に気づいてくださり、その情報を私たちに教えてくださる。
私たちは、その情報をもとに診察や検査をして、必要な治療やアドバイスをする。
そうやって初めて、その子の健康を守ることができるのだと思います。
だからこそ、私はご家族に「病気を見つけてください」とお願いしたいわけではありません。
病名を当てる必要もありません。
ただ、「なんとなく、いつもと違う」という感覚を大切にしてほしいと思っています。
・食べる量が少し減った
・以前は食べていたものを食べなくなった
・吐く回数が増えた
・体重が少しずつ減っている
そういった小さな変化を、「歳のせいかな」「好き嫌いかな」と片づけず、一度ご相談いただければと思います。
「こんなことで病院に行っていいのかな?」と思うくらいの変化でも構いません。
早い段階でご相談いただければ、病気があるのかどうかを確認することもできますし、
病気がなければ安心することもできます。
何より、「もっと早く気づいてあげればよかった」
と後悔することを、少しでも減らせればと思っています。
犬や猫は、自分から「最近ちょっと食べる量が減りました」と教えてくれることはありません。
だからこそ、ご家族が気づいてあげることが、とても大切なのだと思います。
今回の記事が、皆さんのワンちゃん・猫ちゃんの小さな変化に気づくきっかけになれば幸いです。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介
2026年9月12日
「いつもはご飯を楽しみにしている猫が、急に食べなくなった」
「元気そうに見えるけど、何日くらいなら様子を見ても大丈夫?」
「水は飲んでいるけれど、ご飯を食べない……」
猫と暮らしていると、このような状況に遭遇することがあります。
猫は食事の好みが変わりやすく、フードの変更や環境の変化などによって一時的に食べなくなることもあります。
しかし、猫の食欲不振は「ただの好き嫌い」ではなく、病気のサインとして現れていることもあります。
特に猫では、食べない状態が続くことで、**肝リピドーシス(脂肪肝)**などの問題につながることがあります。
そのため、「何日も食べていないけれど、元気だからもう少し様子を見よう」と長期間放置するのはおすすめできません。
この記事では、猫が急にご飯を食べなくなったときに考えられる原因や、様子を見てもよいケース、動物病院を受診する目安について解説します。
結論からいうと、「何日食べなくても大丈夫」と一律に決めることはできません。
猫の年齢、体格、持病、普段の食欲、食べない程度、その他の症状などによって、受診のタイミングは変わります。
ただし、
猫が急にまったく食べなくなった場合は、犬以上に早めの対応をおすすめします。
特に、
といった場合には、長く様子を見るべきではありません。
「1日食べなかったから必ず危険」という意味ではありませんが、猫の食欲不振は早めに原因を確認することが大切です。
猫の食欲不振には、さまざまな原因があります。
病気ではなくても、猫は環境の変化に敏感です。
例えば、
などがストレスになり、食欲が低下することがあります。
猫は「いつもと違う」という変化に敏感な動物です。
猫では、食事そのものに問題があるケースもあります。
例えば、
などです。
「食欲がない」と思っていたら、実は食べたいけれど落ち着いて食べられないということもあります。
猫が「食べたいのに食べられない」状態になっていることもあります。
代表的なのが、
などです。
特に、
ご飯の前までは来るけれど食べない
フードを口に入れるけれど、すぐにやめる
ドライフードを嫌がる
食べるときに口を気にする
といった様子があれば、口の中に痛みがある可能性があります。
猫の口内炎などでは、かなり強い痛みによって食事ができなくなることもあります。
胃腸炎などの消化器疾患でも食欲が低下します。
食欲不振と一緒に、
などが見られることがあります。
猫は吐くこと自体は珍しくありませんが、食欲不振を伴って繰り返し吐いている場合は注意が必要です。
猫では腎臓病が非常に身近な病気です。
腎臓病が進行すると、
などの症状が見られることがあります。
特に高齢の猫で、
最近、水を飲む量が増えた+食欲が落ちてきた
という場合には、一度検査を受けることをおすすめします。
猫の食欲不振は、肝臓や胆のう、膵臓などの病気でも起こります。
猫では複数の消化器・肝胆道系の病気が同時に関係することもあり、食欲不振だけでは原因を判断できません。
そのため、
「昨日から食べないだけだから、もう少し待とう」
と自己判断せず、ほかの症状も含めて観察することが大切です。
猫は、紐やビニール、包装材などを誤って飲み込むことがあります。
異物によって消化管に問題が起こると、
などの症状が見られることがあります。
特に、
「食べなくなる前に、紐やビニールなどで遊んでいた」
という場合には注意してください。
異物誤食が疑われる場合は、症状が軽そうに見えても動物病院へ相談しましょう。
猫が1回の食事を食べなかったからといって、必ず病気というわけではありません。
例えば、
という場合には、一時的な食欲の変化という可能性もあります。
しかし、猫は犬に比べて食べない状態を長く放置しないことが重要です。
「1食抜いたから、明日まで待とう」と何度も先延ばしにするのではなく、食欲が戻らない場合は早めに動物病院へ相談しましょう。
猫の食欲不振で特に注意したいのが、肥満傾向のある猫です。
猫が食事を取れなくなると、体に蓄えられていた脂肪がエネルギーとして利用されます。
しかし、その脂肪が肝臓に過剰に蓄積すると、**肝リピドーシス(脂肪肝)**を起こすことがあります。
そのため、
「太っているから、何日か食べなくても体に蓄えがあるだろう」
という考え方は危険です。
むしろ肥満猫では、食欲不振が続いた場合により注意する必要があります。
猫が食べないことに加えて、以下のような症状がある場合には、早めに受診しましょう。
寝てばかりいる、動きたがらない、呼びかけへの反応がいつもと違うなどの場合は注意が必要です。
何度も吐いている、水を飲んでも吐く、といった場合は早めの診察が必要です。
下痢が続いている場合や、血便がある場合には受診をおすすめします。
食事だけでなく水分も取れていない場合は、脱水にも注意が必要です。
うずくまっている、触られるのを嫌がる、落ち着かないなどの様子があれば、痛みを伴っている可能性があります。
特に猫では尿の異常にも注意が必要です。
「何度もトイレに行くのに尿が出ていない」
「少量しか出ていない」
「排尿時に痛そう」
などの場合は、食欲不振とは別に緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。
「いつものご飯は食べないけれど、おやつなら食べる」
という猫もいます。
この場合、フードの好みや食事環境が原因の可能性もあります。
しかし、
「おやつを食べる=病気ではない」
とは限りません。
病気の初期には、食欲が完全になくなるのではなく、好きなものだけ食べるという状態になることもあります。
普段と明らかに食べ方が違う状態が続く場合には、注意して観察しましょう。
猫の食欲不振で動物病院を受診した場合、まず、
などを確認します。
そのうえで身体検査を行い、必要に応じて、
などを組み合わせて原因を探します。
猫の食欲不振は原因が非常に多いため、状況に応じて検査を選択することが重要です。
短時間様子を見る場合でも、「食べた・食べていない」だけでなく、次のことを確認してください。
こうした情報は、動物病院を受診したときにも非常に役立ちます。
猫の場合、これは特に注意したい考え方です。
猫は体調不良を隠す傾向があり、病気があっても初期には明らかな「ぐったり」が見られないことがあります。
そのため、
「元気そうだから何日も大丈夫」
とは限りません。
特に、普段は食欲旺盛な猫が突然食べなくなった場合には、食欲の変化そのものを重要なサインとして考える必要があります。
猫が急にご飯を食べなくなった場合、まずは、
を確認しましょう。
1食食べなかっただけで必ず病気というわけではありません。
しかし、猫では食欲不振を長く様子見ることはおすすめできません。
特に、
「まったく食べない」
「食べない状態が続いている」
「元気がない」
「吐いている」
「下痢をしている」
「水も飲まない」
「痛そう」
「おしっこがおかしい」
「異物を食べた可能性がある」
といった場合には、早めに動物病院へ相談しましょう。
また、肥満傾向のある猫では、食欲不振が続くことで肝リピドーシス(脂肪肝)につながることがあるため、特に注意が必要です。
「何日までなら大丈夫」と日数だけで判断するのではなく、普段の食欲からどの程度変化しているか、ほかに症状がないかを含めて判断することが大切です。
「いつもと違う」と感じた時点で、心配であれば動物病院へご相談ください。
愛猫が食べない理由を早めに見つけ、必要な治療につなげることが大切です。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介
2026年9月12日
「いつもは喜んでご飯を食べるのに、今日は全然食べない」
「大好きなおやつも食べないけど、少し様子を見ても大丈夫?」
「犬が急にご飯を食べなくなったけど、動物病院に行ったほうがいい?」
犬と暮らしていると、このような経験をすることがあります。
犬がご飯を食べない原因は、単なる食欲のムラや環境の変化から、胃腸炎、歯や口の痛み、膵炎、腎臓病、肝臓病、異物誤食など、さまざまです。
特に注意したいのは、「ご飯を食べない」という症状だけでは、原因の重さを判断できないことです。
この記事では、犬が急にご飯を食べなくなったときに考えられる原因や、様子を見てもよいケース、早めに動物病院を受診したほうがよいケースについて解説します。
犬がご飯を食べないときは、まず「食べない」ということ以外に変化がないか確認してみましょう。
普段と変わらず元気に歩き回っているのか、それとも寝ている時間が明らかに増えているのか。
食欲だけが落ちているのか、元気もなくなっているのかは重要なポイントです。
水を普段通り飲んでいるかも確認しましょう。
ご飯を食べないだけでなく、水もほとんど飲まない場合には、脱水などにも注意が必要です。
食欲不振と一緒に、
などがないか確認しましょう。
食欲不振に消化器症状が加わっている場合には、単なる食欲のムラではなく、胃腸の病気などが隠れている可能性があります。
「触ると嫌がる」
「お腹を丸めている」
「祈るような姿勢をする」
「落ち着かず、何度も姿勢を変える」
などがないか確認してください。
犬は痛みを言葉で伝えることができません。
食べないことが、痛みのサインとして現れている場合もあります。
いつものドッグフードは食べないけれど、おやつは食べるという場合もあります。
この場合、単純な食欲低下ではなく、
などの可能性も考えられます。
ただし、「おやつを食べるから病気ではない」とは限りません。
病気の初期には、食欲が少し落ちているだけということもあります。
犬の食欲不振にはさまざまな原因があります。
元気があり、その他に目立った症状がない場合には、
などによって一時的に食べなくなることがあります。
例えば、旅行や引っ越し、ホテルに預けた後など、普段と違う環境がきっかけになることもあります。
胃腸炎などによって食欲が低下することがあります。
食欲不振に加えて、
などが見られる場合は注意が必要です。
「食べたいのに食べられない」というケースもあります。
例えば、
などです。
「ご飯を食べない=胃腸の問題」とは限りません。
特に、
食べ物を口に入れようとするけれど途中でやめる
硬いフードを嫌がる
食べにくそうにする
といった様子があれば、口の中の痛みも考える必要があります。
犬では膵炎によって食欲が低下することがあります。
食欲不振に加えて、嘔吐や下痢、腹痛、元気消失などが見られることがあります。
特に、
「急に食べなくなった」+「元気がない」+「吐く・お腹が痛そう」
という場合には、単純な食欲のムラだと決めつけないことが大切です。
犬が何かを食べてしまった後に食欲がなくなった場合は、異物誤食にも注意が必要です。
おもちゃ、布、ビニール、紐、骨など、犬が誤って飲み込んでしまうものは少なくありません。
異物によって消化管が詰まると、
などの症状が見られることがあります。
異物誤食は、「そのうち便と一緒に出てくるだろう」と様子を見ているうちに状態が悪化することがあります。
「何か食べたかもしれない」という場合には、早めに動物病院へ相談しましょう。
食欲不振は、胃腸だけの問題とは限りません。
腎臓病や肝臓病など、全身の病気でも食欲が低下することがあります。
特に、
など、以前から別の変化がある場合には注意が必要です。
ここは飼い主さんから非常によく聞かれる質問です。
元気があり、水も飲めていて、嘔吐や下痢などの症状もなく、普段と大きく変わらない場合には、1食程度食べないだけで必ずしも緊急というわけではありません。
ただし、犬の年齢や持病、普段の食欲などによって判断は変わります。
例えば、
などでは、食欲不振を長く様子見しないほうがよい場合があります。
また、「何時間食べなかったら絶対に大丈夫」という明確な基準があるわけではありません。
食べない時間だけではなく、犬の全身状態を見ることが大切です。
次のような症状がある場合は、様子を見すぎず動物病院への受診をおすすめします。
いつもなら動き回る時間なのに、ずっと寝ている。
呼びかけへの反応が悪い。
散歩に行きたがらない。
このような場合は注意が必要です。
何度も吐いている場合や、水を飲んでも吐いてしまう場合は、早めの診察が必要です。
下痢が続いている、血便が出ている、便の状態が明らかにおかしい場合も受診を検討しましょう。
お腹を丸める、触られるのを嫌がる、落ち着かない、祈るような姿勢をするなどの場合は、腹痛を伴っている可能性があります。
ご飯だけでなく水もほとんど飲まない場合には注意が必要です。
「何を食べたかわからないけれど、何かを口にしていた」
という場合も、早めに動物病院へ相談しましょう。
飼い主さんに覚えておいていただきたいのは、
「食べないこと」そのものよりも、「食べない+何か別の症状がある」ことです。
例えば、
| 食欲 | その他の様子 | 対応 |
|---|---|---|
| 食べない | 元気・水分・排便など普段通り | 短時間なら様子を見られる場合も |
| 食べない | 元気がない | 早めに受診 |
| 食べない | 嘔吐・下痢 | 早めに受診 |
| 食べない | 腹痛がありそう | 早めに受診 |
| 食べない | 水も飲まない | 早めに受診 |
| 食べない | 異物を食べた可能性 | 早めに相談 |
| 食べない | ぐったりしている | できるだけ早急に受診 |
もちろん、これはあくまで目安です。
犬の年齢や体格、持病、症状の程度によって判断は変わります。
食欲不振で来院した場合、まずは飼い主さんから、
などをお聞きします。
そのうえで身体検査を行い、必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを組み合わせて原因を探していきます。
特に異物誤食や消化管のトラブルが疑われる場合には、画像検査が重要になることがあります。
犬は体調が悪くても、初期にはそれほど明らかな症状を見せないことがあります。
「昨日まで普通だったのに、今日はご飯を食べない」
という変化が、病気の最初のサインになっていることもあります。
一方で、1食食べなかったからといって、必ず重い病気というわけでもありません。
大切なのは、
「食べない」という症状だけを見るのではなく、元気・水分・嘔吐・下痢・排便・排尿・痛みなどを一緒に観察することです。
犬が急にご飯を食べなくなったときには、まず以下を確認してみましょう。
食欲だけが一時的に落ちていて、元気や水分摂取などが普段通りなら、短時間であれば様子を見られるケースもあります。
しかし、
「食べない+元気がない」
「食べない+吐く」
「食べない+下痢」
「食べない+腹痛」
「食べない+水も飲まない」
「異物を食べた可能性がある」
といった場合には、様子を見すぎず動物病院へご相談ください。
「これくらいで病院に行っていいのかな?」と思われる程度でも、心配な場合は一度ご相談いただくことをおすすめします。
犬の食欲不振は、単なる食欲のムラから治療が必要な病気まで原因がさまざまです。
愛犬の「いつもと違う」という変化を大切にしてあげましょう。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介
2026年9月11日
前回のブログでは、犬の「多飲多尿」について、一般的によく知られている病気や、動物病院を受診する目安について書かせていただきました。
今回は少し趣向を変えて、実際の診療で「最近、うちの子は水をよく飲むようになった」と飼い主さんが気づいて来院されるのは、どんなパターンなのかを、私自身の経験を多分に踏まえて書いてみたいと思います。
最初にお伝えしたいのは、実は**「多飲多尿に気づいている飼い主さんは、思っているより少ないのではないか」**ということです。
多飲多尿を引き起こす病気には、慢性腎臓病や糖尿病など、健康寿命や寿命に大きく影響するものがあります。
そのため、早期発見・早期治療がとても重要です。
できれば若いうちから、
などを、「普段はどうだったかな?」と分かるようにしておくと、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。
また、可能であれば、若いうちは年1回、シニア期には半年に1回程度の定期検診をおすすめしています。
ご家族が多飲多尿に気づいていない場合、獣医師も問診だけではなかなか分からないことがあります。
だからこそ、症状がなくても定期検診の際に血液検査や尿検査を受けることが、病気の早期発見につながる場合があります。
私の診療経験では、飼い主さんが、
「最近、うちの子は水を飲む量が多いです」
と明確に気づいて来院されるパターンには、いくつかあります。
ここで挙げる順番は、病気の発生頻度や多飲多尿の原因としての多さを示すものではありません。
あくまで、私自身の診療経験上、「飼い主さんが水を飲む量の変化に気づきやすい」と感じるパターンです。
私が経験する中では、次のようなものがあります。
では、順番にお話ししていきます。
「最近、うちの子がお水をたくさん飲む」ということを主な理由として来院される場合、私の経験では糖尿病が比較的多い印象があります。
もちろん、このようなケース自体がものすごく多いというわけではありません。
ただ、糖尿病の場合は、
など、変化が比較的はっきり出ることがあります。
そのため、ご家族も「何かおかしい」と気づきやすいのではないかと思います。
急な変化という意味では、次にお話しするステロイド剤の内服や、中毒なども比較的気づきやすいパターンです。
ステロイド剤、特にプレドニゾロンを飲み始めた後に、
「急にお水を飲むようになった」
と感じる飼い主さんもいらっしゃいます。
プレドニゾロンでは、
がみられることがあります。
特に大型犬では、多飲多尿がかなり目立ち、生活に支障が出てしまうケースを経験することがあります。
その場合は、自己判断で薬を中止するのではなく、早めに処方を受けた獣医師にご相談ください。
また、心臓病などで使用される利尿剤でも尿量が増え、それに伴って飲水量が増えることがあります。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)も、多飲多尿が顕著に起こりやすい病気の一つです。
多飲多尿に加えて、多食になることもあります。
この病気は、徐々に症状が出てくることが多く、一見すると元気に見えるため、病気だと気づきにくい飼い主さんも多いという印象があります。
一見元気に見えても、体の中では徐々に病気が進行していることがあります。
そのため、気になる変化がある場合には、早めに動物病院で相談していただくことをおすすめします。
治療については、病状や全身状態などを確認したうえで、薬物療法など、その子に適した方法を検討していきます。
一方で、病気がかなり進行していたり、ほかの病気を併発していたりする場合には、治療による負担と得られるメリットを考えながら、緩和ケアを中心にすることもあります。
中毒による多飲多尿は、それほど多いものではありません。
ただ、私自身が経験したケースで印象に残っているものがあります。
あるワンちゃんが、
「急にお水をよく飲むようになって、おしっこもたくさんするようになった。でも、それ以外は元気」
ということで来院されました。
精密検査を行ったところ、いくつか異常値が見つかりました。
その中で鑑別の一つとして、
「ビタミンD製剤などを飲んでいませんか?」
とご家族にお聞きしたところ、そこでご家族がハッと気づかれました。
実は、ご家族が骨粗鬆症の治療で使用していたビタミンD製剤を、ワンちゃんが誤って飲んでしまっていたのです。
このように、「急に水を飲むようになった」という変化が、思わぬ病気や中毒のヒントになることもあります。
胃腸炎などでも、一時的に多飲多尿がみられるケースがあります。
「お腹の調子が悪い」ということで来院されて、
「そういえば、最近お水もよく飲んでいるかもしれません」
というお話が出てくることがあります。
特に下痢をしているときなどに、飲水量が増えているケースがあります。
もちろん、胃腸炎だから必ず多飲多尿になるというわけではありません。
一時的な胃腸炎が原因であれば、下痢などの症状が改善すると、多飲多尿も落ち着いていくことがあります。
逆に、胃腸炎が治ったのに多飲多尿が続いている場合は、別の原因が隠れていないか確認する必要があります。
尿崩症は非常に珍しい病気なので、ほとんどの飼い主さんは出会うことがないと思います。
もしこの病気になった場合は、飲水量や尿量が非常に多くなるため、多くの飼い主さんが「これは普通ではない」と気づかれるのではないかと思います。
そのため、尿崩症については、
「気づけるか、気づけないか」よりも、診断や治療をどう進めていくかが難しい病気
という印象があります。
心因性多飲というものもあります。
これは時々経験するもので、よく観察してくださっている飼い主さんが、
「うちの子、最近やたらと水を飲むんです」
と気づいて相談に来られることがあります。
心因性多飲とは、ストレスや精神的な要因などによって水をたくさん飲む状態です。
ただし、ワンちゃんは「なぜ水をたくさん飲んでいるのか」を自分で説明してくれません。
そのため、心因性多飲と判断するためには、ほかに病気が隠れていないかを一つずつ確認していく必要があります。
実際に詳しくお話を聞いてみると、
など、別の原因や背景が見つかることもあります。
「心因性だろう」と思って終わりにするのではなく、ほかに隠れている問題がないかを確認することが大切です。
ここまで読んで、
「あれ?腎臓病は?」
と思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は、私自身の診療経験では、慢性腎臓病で「最近、水をたくさん飲むようになった」ということを主な理由として来院されるケースは、それほど多くないように感じます。
慢性腎臓病は、徐々に変化していくことが多いためです。
少しずつ飲水量が増えていたとしても、
「そういえば昔より飲んでいるかも?」
という程度では、なかなか気づきにくいものです。
そして、症状が出てから来院される場合には、多飲多尿ではなく、
といった症状が、主な来院理由になることが多い印象があります。
その時点では、病気がすでに進行しているケースもあります。
一方で、最近はワンちゃんでも定期検診を受けてくださる方が増えています。
そのため、症状がない段階で慢性腎臓病が見つかるケースも増えてきました。
私個人としては、慢性腎臓病は「症状が出てから見つける」のではなく、できるだけ症状がない段階で発見し、その時点からケアしていくことが大切だと感じています。
詳しくは、こちらの腎臓病のブログでも解説しています。
【慢性腎臓病についてはこちら】
猫ちゃんの慢性腎臓病の場合は、よくよく観察していると、ワンちゃんよりも多飲多尿に気づきやすいケースもあるように感じます。
それでも、
「歩いているから大丈夫」
「走れているから大丈夫」
「ごはんを食べているから大丈夫」
と思ってしまったり、
「うちの子には病気であってほしくない」
「動物病院を嫌がるから、できれば連れて行きたくない」
など、さまざまな理由から受診が遅れてしまうことがあります。
その結果、進行した状態で初めて発見されるケースもあります。
初めましてで、
「末期の慢性腎臓病です」
とお伝えすることは、毎年のようにあります。
そのたびに、私もとてもとても心が痛みます。
できることなら、もう少し早い段階で相談していただきたいと思っています。
ご家族だけでは、なかなか受診しづらいこともあります。
また、飼い主さん自身では気づきにくいケースもあります。
もしお友達やご家族など身近な方のワンちゃん、ネコちゃんについて、
「そういえば、最近お水をよく飲んでいるかも」
と思うことがあれば、受診をすすめてあげてください。
……少し話が逸れました。
ここまで、多飲多尿に気づくパターン、気づきにくいパターンについてお話ししてきました。
急に症状が出る場合は、比較的気づきやすいです。
一方で、慢性腎臓病のように徐々に変化していく病気では、飼い主さんが気づくのが難しいこともあります。
だからこそ、
「若い頃はどのくらい水を飲んでいたかな?」
と、ときどき振り返ってみてください。
そして、可能であれば定期検診も受けていただければと思います。
ただし、今まで気づかなかったからといって、ご自身を責めないようにしてください。
プロでも気づいてあげられないことがあります。
「そういえば、最近ちょっと水を飲む量が増えたかも」
そんな小さな気づきが、病気を見つけるきっかけになることがあります。
この記事が、その「そういえば」と思ったときの、ちょっとしたヒントになれば幸いです。
「病気かどうか分からないけれど、最近ちょっと水を飲む量が増えた気がする」
それだけでも、動物病院に相談して大丈夫です。
多飲多尿の原因は一つではありません。
生活環境による一時的な変化の場合もありますし、糖尿病や慢性腎臓病など、検査をして初めて分かる病気が隠れていることもあります。
気になる場合は、
などを分かる範囲で教えていただけると、診察の参考になります。
「これくらいで病院に行っていいのかな?」と思うような段階でも、まずはご相談ください。
元気で長生きな幸せなご家族が増えますように。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介
2026年9月11日
「最近、愛犬がよく水を飲むようになった」
「水入れの水が以前より早くなくなる」
「おしっこの量や回数も増えた気がする」
このような変化はありませんか?
暑い日や運動した後など、一時的に水をたくさん飲むことは珍しくありません。
しかし、以前と比べて明らかに水を飲む量が増え、それが何日も続いている場合には、病気が隠れている可能性があります。
犬の「水をたくさん飲む」「おしっこが増える」という症状は、動物病院では**「多飲多尿(たいんたにょう)」**と呼ばれ、さまざまな病気で見られる重要なサインの一つです。
今回は、犬が水をたくさん飲むときに考えられる原因や、動物病院を受診する目安について解説します。
犬が飲む水の量には個体差があります。
気温や運動量、食事の内容などによっても飲水量は変わるため、「この量なら必ず病気」という明確な基準があるわけではありません。
一般的には、1日に体重1kgあたり100mL以上の水を飲む状態は、多飲を疑う一つの目安とされています。
例えば、
| 犬の体重 | 1日100mL/kgの場合 |
|---|---|
| 3kg | 300mL |
| 5kg | 500mL |
| 10kg | 1,000mL |
| 20kg | 2,000mL |
となります。
ただし、これはあくまで目安です。
ドライフードを中心に食べている犬と、ウェットフードを食べている犬では、食事から摂取する水分量が異なります。また、暑い時期や運動量が多い日には、健康な犬でも飲水量が増えることがあります。
そのため、数字だけで判断するのではなく、
「以前と比べて明らかに水を飲む量が増えたか」
という変化を見ることも非常に大切です。
「多飲多尿」とは、その名前の通り、
という状態を指します。
水をたくさん飲むから、おしっこの量が増えることもあります。
一方で、病気によって尿をたくさん作るようになり、その結果として体から水分が失われ、喉が渇いて水をたくさん飲むという場合もあります。
つまり、
「水をたくさん飲んでいる」という症状だけでは、原因を判断することはできません。
多飲多尿を起こす原因には、腎臓の病気や糖尿病、ホルモンの病気など、さまざまなものがあります。
犬の多飲多尿で考えられる代表的な病気の一つが、慢性腎臓病です。
腎臓には、血液から老廃物を取り除くだけでなく、尿を濃縮して体に必要な水分を保つ働きがあります。
腎臓の機能が低下すると、尿を十分に濃縮することができなくなり、薄い尿をたくさん出すようになることがあります。
その結果、
「おしっこの量が増える」
↓
「体から水分が失われる」
↓
「水をたくさん飲む」
という変化が見られるようになります。
初期の慢性腎臓病では、食欲や元気が保たれていることもあります。
そのため、
「元気そうだから大丈夫」
とは限りません。
以前より水を飲むようになった、おしっこの量が増えたという変化があれば、一度検査を受けることをおすすめします。
糖尿病も犬の多飲多尿の代表的な原因です。
糖尿病では血液中のブドウ糖が増えます。
血糖値が高くなると、尿の中にも糖が排泄されるようになります。尿中の糖が増えることで水分も一緒に排泄され、尿量が増加します。
そのため、
といった症状が見られることがあります。
「食欲はあるのに痩せてきた」「以前より水をよく飲む」という場合には注意が必要です。
犬では、**クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)**でも多飲多尿がよく見られます。
クッシング症候群は、体内でコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。
多飲多尿のほかにも、
などの症状が見られることがあります。
特に中高齢の犬で、
「最近、水をよく飲むようになった」
「食欲がすごく増えた」
「お腹が以前よりぽっこりしてきた」
という変化が重なっている場合には、一度ご相談ください。
避妊手術を受けていない女の子では、子宮蓄膿症にも注意が必要です。
子宮蓄膿症は、子宮の中に細菌感染が起こり、膿がたまる病気です。
多飲多尿のほか、
などの症状が見られることがあります。
ただし、陰部から分泌物が出ないタイプの子宮蓄膿症もあります。
そのため、「陰部から何も出ていないから子宮蓄膿症ではない」とは言い切れません。
避妊手術をしていない女の子で、急に水をたくさん飲むようになった場合には、特に注意が必要です。
犬の多飲多尿は、腎臓病や糖尿病、クッシング症候群だけで起こるわけではありません。
その他にも、
などが原因となることがあります。
つまり、
「水をたくさん飲む=糖尿病」
「水をたくさん飲む=腎臓病」
というように、症状だけで病気を決めることはできません。
血液検査や尿検査などを組み合わせて、原因を探していくことが大切です。
愛犬に以下のような変化がある場合には、一度動物病院で相談することをおすすめします。
特に、水をたくさん飲む状態とおしっこの増加がセットで続いている場合には、一度検査を受けることをおすすめします。
「水をたくさん飲むだけで病院に行っていいの?」
と思われる飼い主さんもいるかもしれません。
多飲多尿の原因を調べる場合、まずは飼い主さんから詳しくお話を伺います。
例えば、
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて、
腎臓、肝臓、血糖値、電解質などを確認します。
尿の濃さ、尿糖、タンパク、炎症などを確認します。
腎臓や肝臓、副腎、子宮などの状態を確認することがあります。
クッシング症候群など、ホルモンの病気が疑われる場合に追加で検査します。
このように、多飲多尿という一つの症状から、必要な検査を組み合わせて原因を探していきます。
「うちの犬、本当に水を飲みすぎなのかな?」
と思ったら、まずは24時間の飲水量を測ってみるのもおすすめです。
水を入れるときに量を測り、途中で水を追加した場合にはその量も記録します。
そして24時間後に残っている水の量を引けば、おおよその飲水量が分かります。
また、
などをメモしておくと、診察時の重要な情報になります。
多飲多尿が見られる犬では、
「おしっこが多いから、水を飲ませる量を減らそう」
と考えてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、病気によって体から水分が失われている場合、犬はその不足分を補うために水を飲んでいる可能性があります。
そのため、自己判断で水を制限することは避けてください。
水はいつでも飲めるようにしたうえで、飲水量が増えている原因を調べることが大切です。
犬が水をたくさん飲む原因は、暑さや運動などによる一時的なものから、腎臓病、糖尿病、クッシング症候群などの病気までさまざまです。
大切なのは、
「うちの犬は昔からよく飲むから」
と決めつけるのではなく、
「以前と比べて変化していないか」
を見ることです。
特に、
「水を飲む量が増えた」+「おしっこが増えた」
という変化が続いている場合には、元気や食欲があっても一度動物病院で相談してみましょう。
早い段階で病気を見つけることができれば、その後の治療や生活管理につながる場合があります。
横浜もみじ動物病院では、飼い主様からお話を伺いながら、その子の状態に合わせて必要な検査をご提案しています。
「病気かどうか分からないけれど、最近ちょっと水を飲む量が増えた」
という段階でも構いません。
愛犬の飲水量やおしっこの変化が気になる場合は、お気軽にご相談ください。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介
2026年4月16日
2026年3月12日
去年の秋、山下公園で開催された獣医師会の無料相談会に参加しました。午前中だけでも何人もの飼い主さんとお話できて、とても新鮮で楽しかったです。
その中で多かった質問が、「そろそろ歳をとってきたので、健康診断をしたいけれど、何をしたら良いですか?」という内容でした。今回はこの質問に基づき、私見も交えて犬猫の健康診断についてまとめてみます。
人の場合、仕事や法律に基づき、定期健康診断やがん検診の受診が決まっていることがあります。学生さんや働いていない方でも、市町村から検診案内が届くことがあります。
一方、犬猫には法律で決まった定期検診はありません。ペットショップやブリーダーなどの業者では獣医師による定期健診が義務付けられていますが、一般飼い主さん向けは「推奨レベル」に留まります。
明確な公的な答えがないため、「何をしたら良いですか?」という質問が自然に出るわけです。
年1回の定期健康診断を推奨
例として以下の項目が挙げられます:
体重・体温・心拍・呼吸
血液検査(肝臓・腎臓・貧血など)
尿検査
便検査
歯・口腔・皮膚・耳・目のチェック
高齢犬・猫はより詳細な検査が推奨されます
健康な犬・猫:年1回
高齢ペット:年2回以上が望ましい
内容例:
体重、体温、心拍、呼吸
歯・口腔・皮膚・耳・目
血液・尿・便検査
必要に応じて心臓や腫瘍のスクリーニング(※症状のない健康な動物から病気の疑いを選別する検査)
研究によれば、定期的に健康診断を受けている犬猫は、そうでない子よりも長生きする傾向があります。
私見を交えると、健康診断でまず重視すべきは「問診と身体検査」です。
腕の良い獣医師なら、これだけでもかなりのことを見抜くことがあります。
次におすすめは「血液検査+尿検査」です。犬猫の三大死因は順序は異なりますが、①がん、②心臓病、③腎臓病です。
心臓病は聴診で早期発見できることが多い
腎臓病は血液・尿検査が最も有効で、近年ではSDMAやシスタチンCなど、早期発見に役立つ項目もあります
さらに余裕があれば、レントゲン検査や超音波検査もおすすめです。若いうちに先天的な問題の有無を確認したり、年齢を重ねた時に比較対象として役立ちます。
便検査は、特に子犬・子猫や外猫の場合に寄生虫の確認として重要です。
歯科検診も重要です。こちらは別のブログを参考ください。
健康診断でできることは、あくまで検査ごとの範囲内です。
血液検査でわかるのは血液の情報だけ
骨折や一部の臓器の問題は、血液検査だけではわかりません
スクリーニングで「怪しい」とわかっても、確定診断には生検(細胞や組織の顕微鏡検査)が必要です
「全ての病気が一回の健診でわかる」と考えるのは間違いです。しかし、それでも様々な病気の早期発見につながり、健康寿命や寿命を伸ばす助けになります。
がんマーカーは存在しますが、「陽性=今がんがある」ではなく、「陰性=がんなし」とも限りません。そのため、単独での確定診断には使えません。
急速に進行する悪性腫瘍(乳腺癌、リンパ腫、脾臓血管肉腫など)は、発見時には末期の場合もあります
健康診断の主な目的は、こうした急速進行がんの早期発見ではなく、リスク評価や生活習慣病の早期発見です
しかし、悪性度の低いがんや、幸運にも早期に発見できるケースもあり、健診の意義は十分にあります
犬猫の健康診断は法律で義務付けられていないため、内容は病院や獣医師によって異なります
基本は年1回の問診・身体検査・血液検査・尿検査・便検査
レントゲン・超音波は余裕があれば追加
健診には限界がありますが、早期発見・健康寿命延伸に大きな意義があります
がんマーカーやCTだけに頼らず、総合的に評価することが大切です
2026年3月12日
去年の秋に、山下公園で獣医師会の無料相談会に参加してきました。午前中だけでも何人もお話ができて新鮮で楽しかったです。今回その中で結構多かった「そろそろ歳をとってきたから、健康診断をしたいと思うのだけど、何をしたら良いかしら?」とのご質問について、私見を多分に踏まえて書かせて頂こうと思います。
なんでこの質問が出たのか?って考えたのですが、そうなんですよね。人みたいに決まってないんですよね。
人だと、お仕事をしている方(条件はありますが)、学生さんに関して言えば、法律上こういった項目の健康診断を定期的に受けて下さいねってあるんです。お仕事をされていない方でも、女性だったら市からがん検診推奨の案内が来ます。
ウチの会社のスタッフも私も毎年行っています。私も人の病院さんに、「企業検診を受けたいです」と、お問い合わせをしたことがありまして、「何の検査を受けたいの?」って聞き返されました。「いや、企業検診をですね・・・」と色々お話を聞いてみると、最低限の項目は決まってはいるけど、企業によってはより広い項目で検査を受けられているところもあるとのこと。なるほど、と思いました。一方犬猫には、法律・ガイドライン上、ペットショップやブリーダーなどの業者さんは、獣医師による定期検診が義務付けられているものの、一般の飼い主さんは、推奨されているというレベルなのです。
明確な公的な答えがないから、質問が出るんですよね
法律では決まってはいないのですが、一応準公的な指針として、日本獣医師会とアメリカの獣医師団体(AVMA)の推奨事項を書いてみよと思います。(英語を翻訳しているので、間違っていたらすみません。)
日本獣医師会
American Veterinary Medical Association (AVMA)
※スクリーニングとは、症状のない人や健康な人から、病気の疑いがある人を選別する検査のことで、人ではマンモグラフィーが有名ですね。スクリーニングの段階では、怪しいよねってことがわかり、そこから病理組織生検、つまり出来物を採取して顕微鏡で観察することで、多くの場合は確定診断が出ます
これを推奨する理由としては、定期的に健診を受けられる犬猫の方が、そうでない犬猫よりも、長生きする傾向があるという報告もあるからです。
なので、年に1回、問診と身体検査と、血液検査、尿検査、便検査を受けられることが、一般的な推奨事項なのかなと思います。
次に、血液検査の内容についてなのですが、これは大体人と似た内容が推奨されています。偉い先生達が、若い子なら最低限こういった項目、健康な成犬・猫ならこういった項目、高齢犬猫ならこういった項目と、提案されており、多くの先生の支持を受け、検査を専門に取り扱う機関などでも推奨されています。健診パッケージのようなものが存在します。
あとは、それぞれの動物病院の、獣医師の考えでも、内容が変わってきます。
ここからは私見を多分に踏まえた内容となります。
健康診断で何をするのが一番おすすめですか?と聞かれたら、最近流行りのコストパフォーマンス(コスパ)を考えると、一番は問診と身体検査だと思います。
話が飛んでごめんなさい。私の恩師の1人、故H先生が、飼い主さんとの電話にて、こうおっしゃったのを今でも記憶しています。「診察料で1000円(当時)だけお持ち頂ければ、色々とご相談だけでもお受けしておりますので、ぜひいらしてください。」
この言葉を聞いて、正直最初に思ったのは、「先生、消費税計算し忘れてる、後で突っ込まれないかな・・・」だったのですが、まあまあそこは良いとして、後で色々と考えてみて、診察料だけで、問診と身体検査して、専門家から色々とお話受けられるのって確かにお得だなって思いました。
腕の良い先生だと、本当にこれだけで、かなりのことを当ててきます。びっくりします。たぶんこれだけでも、相当な価値があると思います。コスパは最強かもしれません。例えば犬猫の3大疾患の心臓病では、聴診がすごく役に立ちます。早期発見の一番のツールだと思います。ワクチンの時などに、一緒にお話を聞いてみても良いかもしれません。(体調が悪い時は、ワクチンはうてません。体調が悪い時は、様子を見すぎず、普通に診察を受けて下さい。)
次にコスパが良いかなと思うのは、血液検査+尿検査です。犬猫の3大死因は、順序は違いますが、①がん、②心臓病、③腎臓病です。②は心臓の雑音で早期発見できるケースが多いです。③は猫では死因のトップですが、血液検査と尿検査が圧倒的に強いです。昨今では、昔と違い、SDMAやシスタチンCなどと言った、腎臓病の早期発見の項目が出ましたので、早い段階での発見が可能となりました。
あとは、レントゲン検査と超音波検査がその次で、余裕のある方は積極的にやられると良いと思います。若いうちに一回、明らかな先天的なトラブルがないかをチェックしておく。歳をとった時の比較対象にもなる。そしてある程度歳をとったら定期的に、検査を受けられるというのが割とスマートなのかなと考えています。
若い子で、問診でも身体検査でも血液検査でも尿検査でもわからないし、本人は全く元気でご家族も全くわからないトラブルを抱えているケースが時々あります。それは実は健康寿命や寿命に大きな影響を与えるトラブルであることもあります。例えば、生まれながらに片方腎臓がないや小さい、肝臓が小さい、股関節の形態がおかしい、横隔膜ヘルニアがあるなどです。なので若い時に一度検査を受けてみて、問題が何もないなら、7歳位、人での40歳位、人でも色々な病気が増えてくるあたりで、定期検診に組み込むのもアリかと思います。
健康診断としての便検査は、子犬ちゃん子猫ちゃん、外猫ちゃんの検診ではすごく推奨です。寄生虫がいるケースがありますので。身体検査の次くらいに推奨です。
歯科検診も個人的には強く推奨しております。こちらは別のブログを参考頂けば幸いです。あとは特殊なモノとして、中医学での体質診断などもあります。
ここで、健康診断の限界にかかわる部分についても書かせていただきます。
そもそも何で色々な種類の検査があるのでしょう?
それは単純に1つの検査ではわからないからです。
話を聞いていると、「血液検査をすれば全てがわかる」みたいに考えていらっしゃる飼い主さん、たぶん一定数いらっしゃいます。
いえ、もちろん全部はわかりません。
血液検査でわかるのは、血液検査でわかることだけです。
残念ながら骨折という重大なトラブルがあっても、血液検査ではわかりません。
骨折に伴い筋肉の損傷や、炎症が起こっている可能性はわかるかもしれません
たぶんドラえもんの「お医者鞄」があれば最強なのだと思います。
アレがあれば、すぐにでもお取り寄せしたい位で、1つの検査キットで、全てがわかるという優れものです。治療薬まで出てくるので、お医者さんがいらないかもしれないという凄まじい性能を誇ります。
でも、私も今のところドラえもんには出会えていないので、色々な検査をして、病気がないかをチェックします。それでも各検査には限界があるので、漏れが出てしまうことがあります。
健診をすれば、全てがわかるということではないのですが、それでもやはり、様々な病気の早期発見につながり、健康寿命や寿命を伸ばす大きな助けになりますので、とても重要なことだと思います。
三大疾患のがんの健診についてですが、がんは本当に厄介です。
がんマーカーってあるじゃないですか?と時々聞かれますが、確かにあるんですが、私が知りたい情報が得られないことが多いので、現状では特殊な条件じゃないとあまり利用していません。
がんマーカーが陽性ですってなった時に、がんの可能性も十分にありますが、がんじゃない可能性も十分ありますとか、がん体質らしいというのはわかった。けど今がんなのかはわからない。ある可能性も十分にありますとか。
それって、いっそのこと全身的にCT検査などをした方が早いのでは?と、なってしまいます。CT検査ももちろん万能ではなく、ある程度の大きさの出来物が検出される可能性があるという検査です。費用もかかりますし、動物の場合には基本的に全身麻酔が必要です。更にできものがあったから、直ちに「がん」ではなくて、できものを丸ごと摘出するかして、病理組織検査を実施して。初めて確定診断が出ることがほとんどです。それってつまり手術ということになります。本当に手術が必要なのかもわかりません。手術をするべきかの、当たりをつけるためには、場所にもよりますが、針を刺すなどして、できものの細胞を採って調べるという細胞診という追加検査を実施することも多いです。
私としては、そういう大掛かりことをしなくても、採血や採尿で簡単に検査材料が取れて、そのマーカーが陽性なら、100%近く治療をした方が良い悪性のがんがあります。陰性ならほぼ100%悪性腫瘍ではありません。ということがわかって、もしできたら場所や種類まで特定してくれると嬉しいです。
それは、私の知る限りでは今のところ実用化はされていないと思います。
そもそもがんについてですが、
犬猫や人の体には何兆個もの細胞があり、健常な犬猫でも毎日たくさんの細胞が死んでおり,細胞分裂によって即座に補充されています。しかし、長い年月の環境変化や発がん性物質などにより、細胞の設計図である遺伝子が傷つくと、細胞の複製ミスにつながり、これが突然変異と呼ばれる現象で細胞が無制限に増殖し、がんが発生すると考えられています。がんは実は若い時から、毎日発生しているのですが、体内の免疫細胞達が除去をしています。
この無制限に増殖した細胞つまり「がん細胞」を、簡単に種類分けすると、命を奪ってしまうようなものが、悪性腫瘍と呼ばれ、命には影響がないものを良性腫瘍と呼びます。経験的なものになりますが、犬猫も長生きしていると、がんになることは多いです。良性、良性と来ても、最後には悪性となることも多いです。もちろん悪性だから命を落とすのですが。犬猫が最後に命を落とす悪性腫瘍は、1〜2ヶ月前には、身体検査でも画像診断でもわからなかったものが、急激に大きくなり、1〜2ヶ月後には、末期がんですというパターンが多いです。ゆっくりと進行するパターンももちろんあります。猫ではリンパ腫が多いです。避妊手術をしていない雌猫は乳腺癌が多いです。犬の場合は、脾臓の血管肉腫というがんや、同様にリンパ腫というがんが多いです。発見した時にはすでに食欲がない、元気がない、転移をしているというような末期状態が多く、数ヶ月で命を落とすパターンも多いです。これは悪性度の高いがんです。実は健康診断では、悪性度の高いがんの早期発見はメインの目的にはしていません。健康診断で早期発見を狙っているがんでのメインターゲットは、半年〜2年くらいかけて命を奪う悪性度ややや低めの悪性腫瘍です。肝細胞癌は1つかもしれません。早く見つけて手術をすると治る可能性が十分にあるとされます。
もちろん急激な進行をする悪性腫瘍も、早期発見・早期治療が望ましいです。ただ発生と進行が早いので、毎月のように健康診断をすることが、現実的なことなのか?という疑問が生まれます。なので、急激な進行をする悪性腫瘍の早期発見を一般の健康診断ではメインのターゲットとはしていないのです。特に胸の中や、お腹の中でできるものについてはそうなります。ただ体の表面にできるものに関しては、ご家族の普段からのチェックで早期発見につながる可能性があります。
じゃあ、がん検診が無駄か?というとそうではなく、がんのリスクを上げる生活習慣病の早期発見により、がんのリスクを下げられる可能性が十分にあります。
動物病院なのでもちろん仕方がないのですが、病気になって病院に来られる方は多いです。もちろん一生懸命対応しています。ただその子達が病気にならないでいられる方法はなかったのか、何か事前にアナウンスできなかったのか、とよく自問しております。なるべく病気にならないように元気で長生きして欲しいと思っております。健康診断は、元気で長生きをしていく、大きなお手伝いになるのではないかと思っております。
最後に、今回は私見を多々ふまえて書かせて頂きました。先生によって色々なお考えがありますので、担当の先生ともよくご相談してみてください。