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犬が足先をなめ続ける|アレルギーや皮膚炎の可能性

2026年10月22日

今年も山下公園にて、動物愛護フェスタに参加してきました。

朝他にも用事があったため、山手や元町の辺りを1時間くらい歩いてからの参加でした。お天気も良く、まだ開店前のお店の多い商店街を歩くのは中々新鮮で、神社にもお参りをして、なんだかちょっと得をした気分になりました。

動物愛護フェスタには、横浜市獣医師会の一員として参加しました。横浜市の獣医師会は、人によって色々と感想は違うかもしれませんが、町内会みたいなものです。私がお手伝いしていることは、ほぼボランティアみたいなもので、区民祭りや動物愛護フェスタなどで無料相談員をやったり、小学校飼育動物の指導を行ったりしてます。あと学術委員もやっており、獣医師や動物看護師向けですが、それ以外の方も参加できるセミナーを年に数回開催するお手伝いをしています。

話はだいぶ脱線したのですが、無料相談員をした時の相談事でなぜかほぼ毎回ある「足先を舐めるんです。」について、今回は書かせて頂こうと思います。

 

「うちの子足先を舐めるんですが、何故なんでしょう?」

これは色々と原因が考えられますが、まずは大まかに①本人が何かしらの違和感を感じているパターンと、②特に足先には違和感はない精神的な問題のパターン、が考えられます。

①には、かゆい、痛い、痺れている等、心配になる違和感のケースもありますが、ごはん粒(例えです)がついている、濡れていて気持ち悪い、ご家族がつけてくれたクリームが美味しい、ご家族がつけてくれた保湿剤が素敵な匂いがする等もあります。

②には、暇だなと思っていたら足先の毛が丁度跳ねていて、なんか気になった。なんだかイライラ・ソワソワするから足先を舐めてみた。等が考えられます。

どれなんでしょう?

本人が話してくれると、すぐにわかることなんですが、たぶん私を含め多くの獣医師はワンちゃんから、「いやー実は、足先が昨日から痒いんですよね」とか、「なんかこの毛の角度がですね。どうにも気になって仕方がないんです。」とか、聞き出すことが難しいんです。こんな時、自分もドリトル先生だったら便利なのにと良く思います。

そう、わからないんです。

わからないので、ご家族からの詳しいお話を聞いて、足先を見て、触って、時には臭いを嗅いでみて、場合によっては皮膚の検査(皮膚の表面にばい菌がいないかテープでペタペタして顕微鏡で見るとか)をしてみたり、痒そうかな?ということであれば、試しに痒み止めをやってみて頂いたりして、原因を追求していきます。

実に地味なんです。

 

相談を受ける際、獣医師サイドの私としては、どこまでやることが、本人にとって、そしてご家族にとって良いことなのか?ということを、いつも一生懸命考えています。

仮に原因が、痒みだとしたらアレルギーなのか?アレルギーの中でもアトピーだとしたら、基本的には緩和ケアとなるので、本人がどれくらい苦痛を感じているか、痒みが強いようであれば、皮膚が一見綺麗であっても、生活に支障が出ているので、ケアしてあげた方が良いなとか。食物アレルギーだとしたら、放っておくと足先だけじゃなく、お腹の調子も悪くなって、どんどん悪化すると、大きな病気の原因となるのではないかとか。

痛みや痺れであるのであれば、それはもちろん可哀想だし。早く改善させてあげたいな等、さまざまなことを考えています。

 

ご相談をしていただく際に、チェックしておいて頂きたいことが色々とあるのですが、今回は特に「痒みのスケール・VAS」についても書いてみようと思います。

前述の通り、人間もですが、動物がかゆいのかどうかは、本人しかわからないことです。

その本人にしかわからないことを、見た目で評価してみようという指標です。

痒みのスケール・VASって何?

VASは「Visual Analog Scale」の略で、もともとは人間の痛みなど、本人にしかわからない感覚を評価するために使われる指標です。

動物の場合、本人に「どれくらい痒い?」と聞くわけにはいきません。そこで、実際にどれくらい体を掻いているか、舐めているか、生活にどの程度影響が出ているかなどを、ご家族に観察していただくことが大切になります。

例えば、足先をたまにペロッと舐める程度なのか、それとも何度も舐め続けて、声をかけてもなかなかやめないのか。

あるいは、舐めることが気になって眠れない、遊びに集中できない、散歩中にも足先を気にしている、といった違いもあります。

皮膚が赤くなっているかどうかだけでは、痒みの強さは判断できません。見た目にはきれいな皮膚でも、本人はかなり痒いと感じていることがあります。

逆に、皮膚が赤くなっていたとしても、必ずしも現在の痒みが強いとは限りません。

ですから、診察の際には、皮膚の状態だけでなく、ご家族が普段の生活の中で感じている変化も大切な情報になります。

 

私個人としては、0〜10でご家族に評価をして頂いております。

以下を参考にして、どのレベルかを教えて頂けると、とてもとてもありがたいです。

0:全くかいていない。

1

2:1日の中でたまに(数回)かいていることを見かける(気がする)。←個人的にはアトピーの場合は、できたら0にしてあげたいけれども、綺麗な皮膚をキープして、これより下の痒みでコントロールできていたら、良好と考えています。

3

4:2と6の間くらい。←2だと何かのついでのご相談が多いけれども、4は「うちの子が痒そう」ということで病院に来られる方が多くなり始める印象。

5

6:1日の中で定期的にかいている。←痒そうだと気付く方がとても多くなり、受診される方が増える印象。

7

8:散歩中、楽しいことの途中でもかくことがある。夜寝ていても途中で起きてかくことがある。ごはんの途中でもかくことがある。←生活に大きく支障が出ていると思われる印象。

9

10:一日中かいている。診察室で緊張しているはずなのに、我慢できずかいてしまう。←可哀想だから早くなんとかしてあげたいと思う。

 

足先を舐める様子を、少しだけ観察してみてください

もし愛犬が足先を舐めていたら、次のようなことを確認してみてください。

  • いつから舐め始めたのか
  • 右足だけなのか、左足だけなのか、それとも複数の足なのか
  • たまに舐める程度なのか、長い時間舐め続けるのか
  • 寝ているときや遊んでいるときにも舐めるのか
  • 足先が赤くなっていたり、毛が茶色く変色したりしていないか
  • 歩き方に変化がないか、触ると嫌がらないか

こうした情報は、原因を考えるうえでとても役立ちます。

可能であれば、舐めている様子を動画に撮っておいていただくのもおすすめです。診察室では普段の行動が見られないこともありますから、動画が参考になる場合があります。

もちろん、これだけで原因がわかるわけではありません。ただ、原因を探すための大切な手がかりになります。

 

どんなときに動物病院へ行けばいい?

足先を一度舐めただけで、すぐに病気を心配する必要はありません。

ただし、何度も繰り返す、長い時間舐め続ける、皮膚が赤くなる、毛が抜ける、腫れる、出血する、といった変化があれば、一度診察を受けることをおすすめします。

また、足を地面につけたがらない、歩き方がおかしい、触ると強く嫌がるといった場合には、痒みだけでなく、痛みやケガなどが原因になっている可能性もあります。

大切なのは、舐めているという行動だけで原因を決めつけないことです。

 

原因がわからないからこそ、丁寧に調べます

獣医師としては、足先を舐めている理由がわかれば、それに合わせた治療や対応を考えることができます。

しかし、実際には一度の診察だけでは原因を特定できないこともあります。皮膚の検査をしたり、経過を観察したり、必要に応じて治療への反応を確認したりしながら、少しずつ原因を絞り込んでいきます。

その際に大切なのは、検査をたくさんすること自体が目的ではない、ということです。

どこまで調べることが本人の負担を減らすことにつながるのか。ご家族にとって無理のない方法は何か。そして、今の症状が本人の生活にどれくらい影響しているのか。

そうしたことを考えながら、一緒に治療方針を決めていきたいと思っています。

犬が足先を舐める理由は、本人に聞いてみないとわからないことばかりです。

残念ながら、私はまだドリトル先生にはなれていません。

だからこそ、ご家族から普段の様子を教えていただき、診察をして、必要な検査を行いながら、少しでも本人にとって良い方法を探していきたいと思っています。

愛犬が足先を舐めることが気になったら、ぜひ普段の様子を教えてください。

 

 

犬が体をかゆがる|原因と動物病院に行く目安

2026年10月22日

「最近、うちの子(ワンちゃん)がよく体をかいている」
「足先をしきりになめたり、噛んだりしている」
「皮膚が赤くなっているけれど、病院に行った方がいい?」

ワンちゃんが体をかゆがる症状は、動物病院でもよく見られるお悩みの一つです。

一時的な刺激によるかゆみもありますが、アレルギーやノミ・ダニ、皮膚の感染症など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。

特に、何度も体をかく、足先をなめ続ける、皮膚が赤くなる、毛が抜けるといった症状がある場合には注意が必要です。

かゆみが続くと、皮膚を傷つけてしまい、炎症や感染が悪化することもあります。

この記事では、犬が体をかゆがる主な原因や、かゆみが出やすい部位、動物病院を受診する目安について解説します。

ワンちゃんが体をかゆがるときに考えられる主な原因

ワンちゃんのかゆみには、さまざまな原因があります。見た目が似ていても、原因によって必要な治療は異なります。

1.アレルギー性皮膚炎

ワンちゃんのかゆみの原因として、アレルギー性皮膚炎が考えられます。

代表的なものには、次のような病気があります。

  • 犬アトピー性皮膚炎:環境中のアレルゲンなどが関係し、慢性的なかゆみを引き起こす病気
  • 食物アレルギー:食事に含まれる成分に対する免疫反応によって、皮膚症状などが起こる病気
  • ノミアレルギー性皮膚炎:ノミの吸血時に注入される唾液に対するアレルギー反応

アレルギー性皮膚炎では、足先、顔、耳、わきの下、お腹、内股などにかゆみが出ることがあります。

皮膚が赤くなる、足先をしきりになめる、耳をかくといった症状が見られることもあります。

また、かゆみが長く続くと、皮膚のバリア機能が低下し、細菌やマラセチアという酵母の一種が増えて、さらにかゆみが強くなることがあります。

アレルギーは、かゆみの原因を一つに絞れないことも多く、症状や経過を確認しながら診断していくことが大切です。

2.ノミ・ダニなどの寄生虫

ノミやヒゼンダニなどの寄生虫によって、強いかゆみが起こることがあります。

ノミが関係する場合は、腰からしっぽの付け根にかけて、かゆみや赤み、脱毛などが見られることがあります。

一方、ヒゼンダニによる疥癬(かいせん)では、耳のふち、肘、足先などに強いかゆみが出ることがあります。

ノミやダニは、飼い主さんが目で確認できない場合もあります。ノミが見当たらないからといって、寄生虫が原因ではないとは言い切れません。

また、散歩にあまり行かないワンちゃんや室内で暮らすワンちゃんでも、寄生虫に感染する可能性があります。

定期的な予防を行うとともに、強いかゆみが続く場合には動物病院で確認しましょう。

3.細菌やマラセチアによる皮膚の感染症

皮膚に細菌が増えることで起こる膿皮症や、マラセチアが増殖することで起こる皮膚炎も、犬のかゆみの原因になります。

次のような症状が見られることがあります。

  • 皮膚が赤くなっている
  • ブツブツや膿を持った発疹がある
  • フケが増えた
  • 皮膚がベタベタしている
  • 独特のにおいがする
  • 皮膚が黒ずんできた
  • 毛が抜けている

細菌やマラセチアによる皮膚炎は、アレルギーなどの基礎疾患に伴って起こることもあります。

そのため、感染症を治療して一時的に改善しても、根本的な原因が残っていると再発することがあります。

繰り返す皮膚炎では、目の前の炎症だけでなく、なぜ皮膚トラブルが起きているのかを調べることが重要です。

4.乾燥やシャンプーなどによる皮膚への刺激

皮膚の乾燥や、シャンプー・洗浄剤などによる刺激が、かゆみにつながることもあります。

シャンプーの種類や洗い方、すすぎ残し、洗浄の頻度などが皮膚に合っていないと、皮膚の状態が悪化する場合があります。

ただし、乾燥しているように見えても、アレルギーや感染症などが関係していることもあります。

シャンプーを変えたり、洗う回数を増やしたりする前に、皮膚の状態を確認することをおすすめします。

ワンちゃんがかゆがる場所から原因を考える

かゆがる場所は、原因を考えるうえで大切な手がかりになります。ただし、場所だけで病気を特定することはできません。

足先をしきりになめる・噛む

足先を何度もなめたり、歯で噛んだりしている場合は、アレルギー性皮膚炎や細菌・マラセチアの増殖などが考えられます。

散歩後に足を気にする場合は、刺激物などが付着している可能性もあります。

ただし、足先の痛みや異物など、かゆみ以外の原因もあるため、症状が続く場合は注意が必要です。

耳をかく・頭を振る

耳をしきりにかく、頭を何度も振る、耳が赤い、においが強いといった症状がある場合は、外耳炎などが疑われます。

アレルギーが関係している場合もありますが、耳ダニや細菌、マラセチアなどが原因となることもあります。

耳の中に綿棒を入れたり、自己判断で耳の洗浄液を使ったりせず、動物病院で確認しましょう。

お腹や内股をかゆがる

お腹や内股、わきの下などは、アレルギー性皮膚炎などで症状が出やすい部位です。

皮膚が赤くなっている、湿疹がある、同じ場所を繰り返しかいている場合は、皮膚炎が起きている可能性があります。

腰やしっぽの付け根をかゆがる

腰からしっぽの付け根にかけて強くかゆがる場合は、ノミアレルギー性皮膚炎などが考えられます。

ノミを見つけられなくても、原因として否定できるわけではありません。ノミ予防の状況も含めて、獣医師に伝えましょう。

ワンちゃんのかゆみは、どのくらいで動物病院に行くべき?

ワンちゃんが一時的に体をかくこと自体は、必ずしも病気とは限りません。

しかし、次のような症状がある場合には、動物病院での診察をおすすめします。

早めに受診したい症状

  • 何度も体をかいている
  • 足先をしきりになめたり噛んだりする
  • 皮膚が赤くなっている
  • フケや脱毛が増えてきた
  • 湿疹やブツブツができている
  • 皮膚から嫌なにおいがする
  • 耳をかく、頭を振るなどの症状がある
  • かゆみが何日も続いている
  • いったん治っても、同じ症状を繰り返す
  • かゆみで眠れない、落ち着かない

特に、皮膚をかき壊して出血している場合や、ただれ・膿などが見られる場合は、早めに受診しましょう。

また、顔が急に腫れる、呼吸が苦しそう、ぐったりしているなどの症状がある場合は、緊急性の高い状態の可能性があるため、すぐに動物病院へ連絡してください。

動物病院ではどのような検査をする?

ワンちゃんのかゆみを治療するには、まず原因を見極めることが大切です。

診察では、いつからかゆがっているのか、どの部位を気にしているのか、季節によって変化するのか、食事やノミ・ダニ予防の状況などを確認します。

必要に応じて、次のような検査を行います。

  • 皮膚検査(セロテープ検査):皮膚の細胞や分泌物などを確認し、細菌やマラセチアの増殖などを調べます。
  • 皮膚掻爬検査:皮膚の一部を採取して、ヒゼンダニなどの寄生虫を調べます。
  • 被毛や皮膚の確認:脱毛やフケ、皮膚の状態などを詳しく調べます。
  • 耳の検査:耳垢の状態や細菌・マラセチアなどの有無を確認します。

症状や経過によっては、食物アレルギーを調べるための除去食試験や、ほかの病気を確認する検査などが必要になることもあります。

アレルギー性皮膚炎は、検査一つだけで確定できるとは限りません。症状やほかの病気の可能性を踏まえて、総合的に判断します。

ワンちゃんのかゆみは、原因に合わせた治療が大切です

かゆみを抑える治療は重要ですが、原因によって治療方法は異なります。

例えば、ノミなどの寄生虫が原因であれば適切な駆虫・予防を行い、細菌やマラセチアの増殖が確認された場合は、その状態に応じた治療を行います。

アレルギー性皮膚炎では、かゆみを抑える薬やスキンケア、食事管理などを組み合わせて治療することがあります。

皮膚の状態によっては、薬用シャンプーなどを使用することもあります。

また、かゆみが治まっても、原因となる病気が残っていると再発する場合があります。治療後も皮膚の状態を確認し、必要に応じて治療を調整していくことが大切です。

かゆみ止めだけで一時的に症状を抑えるのではなく、原因を確認しながら治療することが、再発を防ぐためにも重要です。

なお、人間用のかゆみ止めや市販薬を自己判断で使用することは避けてください。犬に適さない成分や、状態によって使用できない薬もあります。

自宅でできる、かゆみのチェックと対策

受診までの間や、日頃の健康管理では、次の点を確認してみましょう。

1.かゆがる場所を確認する

足先、耳、お腹、顔、腰など、どこを気にしているかを観察します。

皮膚の赤み、フケ、脱毛、湿疹などがないかも確認しましょう。

2.かゆみの様子を記録する

いつから始まったのか、どの時間帯に多いのか、散歩やシャンプーの後に悪化するのかなどを記録すると、診察の参考になります。

かゆがっている様子を動画で撮影しておくのもおすすめです。

3.皮膚を傷つけないようにする

強くかいたり噛んだりすると、皮膚に傷ができて症状が悪化することがあります。

必要に応じて、獣医師に相談のうえエリザベスカラーなどを使用し、皮膚を傷つけないようにしましょう。

4.ノミ・ダニ予防を継続する

ノミなどの寄生虫は、皮膚のかゆみの原因になります。

室内で生活する犬でも感染の可能性があるため、生活環境や健康状態に合った予防を続けることが大切です。

5.自己判断で食事やシャンプーを頻繁に変えない

かゆみがあると、フードやシャンプーをすぐに変えたくなるかもしれません。

しかし、食物アレルギーの診断には適切な除去食試験が必要です。また、シャンプーを頻繁に変えることが、必ずしも改善につながるとは限りません。

症状が続く場合は、まず動物病院で原因を確認しましょう。

まとめ|ワンちゃんが体をかゆがるときは、原因を見極めることが大切です

ワンちゃんが体をかゆがる原因には、アレルギー、ノミ・ダニなどの寄生虫、細菌やマラセチアによる皮膚炎、皮膚への刺激など、さまざまなものがあります。

見た目だけで原因を判断することは難しく、複数の原因が重なっている場合もあります。

特に、

  • かゆみが何日も続いている
  • 皮膚が赤くなっている
  • 足先をしきりになめる
  • 毛が抜けてきた
  • 皮膚のにおいやベタつきが気になる
  • 同じ症状を何度も繰り返す

といった場合には、早めに動物病院で相談しましょう。

かゆみは、犬にとって大きなストレスになる症状です。放置すると皮膚を傷つけ、炎症が悪化してしまうこともあります。

「いつものことだから」「少しかゆいだけだから」と様子を見続けず、愛犬の皮膚に変化が見られたら、原因を確認して適切な治療につなげることが大切です。

横浜もみじ動物病院では、犬の皮膚のかゆみや赤み、脱毛などの皮膚トラブルについて診察を行っています。

愛犬が体をかゆがっている、皮膚の状態が気になるなど、お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。


よくある質問

Q.ウチの子が体をかゆがっていますが、皮膚が赤くなければ大丈夫ですか?

皮膚に赤みがなくても、アレルギーや寄生虫などが原因でかゆみが起きている場合があります。何度も体をかく、足先をなめ続けるなどの症状がある場合は、皮膚に目立った変化がなくても相談しましょう。

Q.足先をずっとなめるのはなぜですか?

アレルギー性皮膚炎や細菌・マラセチアの増殖、刺激物の付着などが考えられます。痛みや異物などが原因の場合もあるため、症状が続く場合は診察をおすすめします。

Q.かゆみは自然に治りますか?

一時的な刺激によるかゆみは自然に治まることもあります。しかし、アレルギーや寄生虫、皮膚の感染症などが原因の場合は、治療が必要になることがあります。かゆみが繰り返す、悪化する場合は受診しましょう。

Q.かゆがるとき、シャンプーをすれば治りますか?

原因によって異なります。皮膚の状態に合った薬用シャンプーが役立つ場合もありますが、皮膚炎の種類によっては刺激になったり、症状を悪化させたりすることもあります。自己判断で頻繁にシャンプーせず、獣医師に相談しましょう。

Q.食物アレルギーは、フードを変えれば分かりますか?

フードを一度変えただけでは、食物アレルギーかどうかを判断することは難しいです。診断には、適切な食事を一定期間続ける除去食試験などが必要です。獣医師と相談しながら進めましょう。

犬が咳をする|老犬の咳で注意したい心臓病のサイン

2026年10月8日

「最近、うちの子(犬)がよく咳をするようになった」
「夜になると咳が増える」
「年を取ってきたから、老犬によくあることなのかな?」

わんちゃんの咳は、ちょっとした気管の刺激から起こることもありますが、心臓病や呼吸器の病気が隠れていることもあります。

特にシニア犬では、心臓病が進行することで咳が出てくるケースがあります。

一方で、わんちゃんの咳は心臓病だけが原因ではありません。気管支炎、気管虚脱、肺炎、腫瘍など、さまざまな病気で咳が起こります。

そのため、「年齢のせい」「少し咳をしているだけ」と自己判断せず、咳が続く場合や、以前より増えてきた場合は動物病院で原因を確認することが大切です。

この記事では、犬の咳の原因と、特に老犬で注意したい心臓病のサインについて解説します。


わんちゃんが咳をする原因はさまざまです

わんちゃの咳には、さまざまな原因があります。

代表的なものとして、

  • 心臓病
  • 気管虚脱
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 犬の感染症
  • 肺の病気
  • 腫瘍
  • 誤嚥
  • アレルギーや気道への刺激

などがあります。

そのため、「咳をしている=心臓病」とは限りません。

ただし、特に高齢の犬では、心臓病が進行して咳が出ている可能性も考える必要があります。


老犬の咳で注意したい「心臓病」のサイン

犬の心臓病は、初期にはほとんど症状がないことがあります。

しかし病気が進行すると、次のような変化が見られることがあります。

① 夜や寝ているときに咳をする

「昼間はそれほど咳をしないのに、夜になると咳をする」

これは飼い主さんが気づきやすい変化の一つです。

特に、

  • 夜中に咳で起きる
  • 横になっているときに咳が出る
  • 寝ているときに何度も咳をする
  • 最近、夜の咳が増えてきた

といった場合には注意が必要です。

ただし、夜に咳をするだけで心臓病と決めつけることはできません。

気管や肺の病気でも同様の症状が起こるため、診察による確認が必要です。


② 散歩や運動をすると咳が出る

以前は普通に歩いていたのに、

「最近、散歩すると咳をする」

「少し歩いただけで疲れる」

「途中で立ち止まることが増えた」

という変化がある場合も注意しましょう。

心臓病が進行すると、運動時に十分な血液を送り出すことが難しくなり、運動すると疲れやすい、呼吸が速くなる、咳が出るなどの症状が見られることがあります。


③ 呼吸が以前より速くなった

咳だけでなく、安静時の呼吸数も重要なチェックポイントです。

犬がリラックスして寝ているときに、胸やお腹が上下する回数を数えてみましょう。

「以前より呼吸が速い」

「寝ているのに呼吸が苦しそう」

「呼吸の回数が増えてきた」

という変化がある場合には、早めに動物病院へ相談してください。

特に、咳と呼吸の変化が同時に見られる場合は注意が必要です。


心臓病では「咳」以外の変化にも注目しましょう

心臓病を疑うときには、咳だけを見るのではなく、普段の生活の変化を一緒に確認することが大切です。

例えば、

  • 散歩に行きたがらなくなった
  • 少し歩いただけで疲れる
  • 階段を嫌がるようになった
  • 寝ている時間が増えた
  • 呼吸が速くなった
  • 舌や歯ぐきの色がおかしい
  • 失神したことがある
  • 食欲が落ちてきた
  • お腹が膨らんできた

などです。

これらは心臓病以外の病気でも起こりますが、咳と一緒に複数の変化が出ている場合には、一度診察を受けることをおすすめします。


「年だから咳をする」は要注意

老犬になると、

「もう年だから仕方ない」

「歳を取れば多少咳をするもの」

と思ってしまう飼い主さんも少なくありません。

しかし、老化そのものが咳の原因とは限りません。

年齢を重ねた犬では、心臓病や気管・肺の病気などが増えてきます。

特に、

以前は咳をしていなかったのに、最近になって咳をするようになった

という変化がある場合には、「年齢のせい」と決めつけないことが重要です。

早い段階で病気を見つけることで、症状をコントロールしながら生活できる期間を長くできる可能性があります。


わんちゃんが咳をしているとき、動物病院では何をする?

咳の原因を調べるためには、まず飼い主さんから症状について詳しくお聞きします。

例えば、

  • いつから咳をしているか
  • どのくらいの頻度で咳をするか
  • 夜に多いか
  • 運動すると出るか
  • 興奮すると出るか
  • 乾いた咳か、湿った咳か
  • 咳以外に症状があるか

などです。

診察では聴診を行い、必要に応じて、

  • 胸部レントゲン検査
  • 心臓の超音波検査
  • 血液検査
  • 血圧測定
  • 心電図

などを組み合わせて原因を調べます。

心臓病が疑われる場合には、心臓の大きさや形、血液の流れなどを確認し、現在どの程度の状態なのかを評価します。


咳の動画を撮っておくと診察に役立ちます

わんちゃんの咳は、動物病院ではなかなか出ないことがあります。

そのため、咳をしているところをスマートフォンで動画撮影しておくと、診察時の大きな参考になります。

できれば、

  • 咳の音
  • 咳をしているときの姿勢
  • 咳が起こる時間帯
  • 寝ているときの呼吸

などが分かる動画を撮影しておくとよいでしょう。

「どんな咳なのか」を獣医師に伝えるためにも、動画は非常に役立ちます。


こんな咳がある場合は早めに動物病院へ

次のような症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。

早めに相談したい症状

  • 咳が何日も続いている
  • 咳をする回数が増えてきた
  • 夜に咳をする
  • 散歩や運動で咳が出る
  • 少し動いただけで疲れる
  • 安静にしていても呼吸が速い
  • 呼吸が苦しそう
  • 以前より寝ている時間が増えた
  • 失神したことがある
  • 食欲や元気が低下している

特に、咳+呼吸が速い、苦しそうという場合には注意が必要です。


呼吸が苦しそうな場合は、すぐに動物病院へ

犬が、

  • 明らかに呼吸が苦しそう
  • 舌や歯ぐきが青白い・紫色になっている
  • 横になれない
  • 首を伸ばして呼吸している
  • 口を開けて苦しそうに呼吸している
  • ぐったりしている
  • 意識を失った

といった状態の場合は、緊急性が高い可能性があります。

「明日まで様子を見よう」とせず、早急に動物病院へ相談してください。


自宅でできる「咳・呼吸」のチェック

普段から愛犬の様子を観察しておくと、病気の早期発見につながります。

特にシニア犬では、

① 咳の回数
② 咳が出る時間帯
③ 散歩中の様子
④ 安静時の呼吸
⑤ 食欲・元気

をチェックしておくとよいでしょう。

また、定期的に健康診断を受けることも大切です。

心臓病は、症状がほとんどない段階で見つかることもあります。


まとめ|老犬の咳を「年齢のせい」で済ませないことが大切です

犬の咳にはさまざまな原因があります。

特に高齢の犬では、心臓病が隠れていることもあるため、

「最近咳をするようになった」

「夜に咳が増えた」

「散歩で咳をするようになった」

「以前より疲れやすくなった」

などの変化があれば、一度動物病院で相談することをおすすめします。

わんちゃんの咳は、病気からのサインかもしれません。

「年だから仕方ない」と思って様子を見るのではなく、いつから、どのようなときに咳をするのかを観察し、必要に応じて検査を受けることが大切です。

横浜もみじ動物病院では、犬・猫の咳や呼吸の変化について診察を行っています。

愛犬の咳で気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。


よくある質問

Q. 犬が少し咳をするくらいなら、様子を見ても大丈夫ですか?

一時的な咳で、その後すぐに治まる場合には問題がないこともあります。

ただし、咳が繰り返す、数日続く、以前より増えている場合には、心臓病や呼吸器疾患などが隠れている可能性があります。

特に高齢犬では、一度診察を受けることをおすすめします。

Q. 老犬が夜に咳をします。心臓病でしょうか?

夜に咳をすることは心臓病でも見られますが、夜の咳だけで心臓病と判断することはできません。

気管や肺の病気などでも咳は起こります。

咳が続いている場合は、動物病院で原因を確認しましょう。

Q. 犬の心臓病ではどんな症状が出ますか?

病気の種類や進行度によって異なりますが、咳、運動すると疲れやすい、呼吸が速い、元気がない、失神などが見られることがあります。

ただし、初期には症状がほとんどない場合もあります。

Q. 咳をしている犬の動画を撮っておいた方がいいですか?

はい。

動物病院では咳が出ないこともあるため、自宅で咳をしている様子を動画で撮影しておくと診察の参考になります。

咳の音だけでなく、咳をしているときの姿勢や呼吸の様子も撮影できるとより参考になります。

Q. 犬の咳は何日続いたら病院に行けばいいですか?

「何日」という明確な基準だけで判断するのではなく、咳の程度や頻度、ほかの症状を含めて判断することが大切です。

特に、咳が繰り返す、増えている、呼吸が速い、苦しそう、元気や食欲が低下しているといった場合は、早めの受診をおすすめします。

🍁秋の健康チェックキャンペーン|

2026年9月25日

12月末まで 横浜もみじ動物病院では、犬・猫の健康チェックを行っています。 季節の変わり目に気になりやすい歯・歯肉、耳、皮膚の状態に加え、体重・食欲・元気・心臓やお腹などの全身状態、フィラリア予防の状況も確認します。 「症状はないけれど、健康状態を一度確認しておきたい」 「最近、口臭や歯の汚れが気になる」 「耳をよく掻く」 「皮膚のかゆみや脱毛が気になる」 という方もお気軽にご相談ください。 さらに、検診の血液検査を受けた方には、歯ブラシ1本をプレゼントしています🪥 秋の健康チェックをきっかけに、毎日の歯のケアや予防についても一緒に考えてみませんか? 📅 期間:12月末まで 横浜もみじ動物病院 犬・猫の一般診療、予防診療、健康相談・セカンドオピニオン・鍼治療・漢方などを行っています。 ご予約はネット予約が便利です✨ 「秋の健康チェック希望」とお伝えください🐾

猫が吐く|毛玉?病気?動物病院に行くべき症状

2026年9月15日

「猫が吐いたけど、毛玉かな?」

「1回吐いただけなら、様子を見ても大丈夫?」

「何度も吐いているけど、動物病院に連れて行ったほうがいい?」

猫と暮らしていると、一度は「猫が吐いた」という経験があるのではないでしょうか。

猫は毛づくろいをする動物なので、毛玉を吐くこともあります。

そのため、猫が吐いていても、

「猫は毛玉を吐くものだから」

と考えてしまうことがあります。

もちろん、毛玉を吐いた後に元気や食欲が戻り、その後は問題なく過ごしているのであれば、緊急性がない場合もあります。

しかし、猫の嘔吐には毛玉以外にもさまざまな原因があります。

胃腸の病気だけではなく、腎臓病、肝臓病、膵炎、甲状腺の病気、中毒、異物などが原因になっていることもあります。

また、

「吐いていること」そのものよりも、「吐いた後に猫の状態がどうなっているか」

が重要な場合もあります。

この記事では、猫が吐く原因、毛玉との見分け方、動物病院を受診したほうがよい症状について、飼い主さん向けに解説します。


猫は毛玉を吐くことがあります

猫は毛づくろいをするときに、自分の毛を飲み込んでいます。

通常、飲み込んだ毛の多くは消化管を通って便と一緒に排泄されます。

一方で、胃の中に毛がたまると、毛が絡まり合って「毛球」と呼ばれる状態になることがあります。

これを吐き出したものが、いわゆる「毛玉」です。

毛玉を吐くときには、

  • オエッ、オエッとする
  • 胃の内容物を吐く
  • 毛のまとまりが出てくる
  • 吐いた後は比較的元気
  • その後は普段通りに食べる

といった様子が見られることがあります。

ただし、

「毛が出てきた=必ず毛玉が原因だった」

とは限りません。

毛が一緒に出ていても、別の病気による嘔吐の可能性があります。


猫が吐く原因は毛玉だけではありません

猫の嘔吐には、さまざまな原因があります。

代表的なものとして、

胃腸の病気

  • 胃炎
  • 腸炎
  • 食事による消化不良
  • 慢性腸症など

消化管以外の病気

  • 腎臓病
  • 肝臓病
  • 膵炎
  • 甲状腺機能亢進症
  • 糖尿病など

その他

  • 異物の誤食
  • 中毒
  • 寄生虫
  • 薬剤などによる影響
  • 強いストレス

などがあります。

そのため、

「猫が吐いた=毛玉」

と決めつけてしまうのは注意が必要です。


「吐いたもの」だけでは病気かどうか分かりません

飼い主さんから、

「黄色いものを吐きました」

「透明な液体を吐きました」

「白い泡を吐きました」

「フードをそのまま吐きました」

「毛が混じっていました」

という相談を受けることがあります。

吐いたものを見ることはもちろん大切ですが、

吐いたものの色だけで病気を判断することはできません。

例えば、胃液や胆汁が混ざって黄色っぽく見えることもあります。

また、食べた直後にフードがほとんどそのまま出てくる場合には、「嘔吐」ではなく「吐出」と呼ばれる現象の可能性もあります。

重要なのは、

  • 何回吐いたのか
  • いつから吐いているのか
  • 食後どのくらいで吐いたのか
  • 食欲はあるのか
  • 水は飲めているのか
  • 元気はあるのか
  • 下痢はないか
  • 体重が減っていないか

などを合わせて考えることです。


猫が1回吐いただけなら、様子を見てもいい?

これは猫の状態によって変わります。

例えば、

1回だけ吐いたものの、その後は普段通り

という場合には、すぐに重い病気だと判断する必要はありません。

吐いた後に、

  • 普段通りに動いている
  • 食欲がある
  • 水を飲めている
  • 下痢がない
  • 苦しそうではない
  • その後は吐いていない

という状態であれば、まず落ち着いて様子を確認することもできます。

ただし、1回だけの嘔吐でも、

異物を食べた可能性がある

中毒の可能性がある

明らかに元気がない

などの場合は話が変わります。

また、高齢猫や持病のある猫、子猫では、嘔吐を軽く考えないほうがよい場合があります。


こんな場合は動物病院へ

猫が吐いたとき、特に注意してほしいのが「嘔吐を繰り返す」「元気や食欲がない」といったケースです。

早めに動物病院へ相談してほしい症状

  • 何度も吐いている
  • 短時間に繰り返し吐く
  • 吐いた後も気持ち悪そうにしている
  • 食欲がない
  • 水を飲めない
  • 水を飲んでも吐く
  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 下痢もしている
  • 血が混じっている
  • 体重が減ってきている
  • 数日間、吐くことを繰り返している
  • 異物を食べた可能性がある
  • 人の薬や危険なものを口にした可能性がある
  • 呼吸がおかしい
  • お腹を痛がっている

このような場合には、「毛玉かな」と様子を見続けるのではなく、動物病院で相談することをおすすめします。


特に注意したいのは「吐く+食べない」

猫の嘔吐で、私が飼い主さんに特に注意してほしいと思っている組み合わせがあります。

それが、

「吐く+食べない」

です。

1回吐いただけでも、その後まったく食べない。

何度も吐いて、食欲も落ちている。

こうした場合には、単なる毛玉だけではなく、何らかの病気が隠れている可能性があります。

猫は「食べないこと」を長く放置しないほうがよい動物です。

特に肥満した猫では、食欲不振をきっかけに肝リピドーシスなどの問題につながることがあります。

そのため、

「吐いたけど、明日には食べるだろう」

と長期間様子を見ないことが大切です。

猫が急にご飯を食べなくなった場合については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

→ 猫が急にご飯を食べなくなった|何日まで様子を見ていい?


「毛玉を吐いているから大丈夫」とは限りません

猫が毛玉を吐くこと自体は珍しいことではありません。

しかし、

「最近、毎週のように吐く」

「以前より吐く回数が増えた」

という場合には注意してください。

例えば、慢性的な胃腸の病気や、腎臓などの病気が隠れていることがあります。

また、毛づくろいが増えている猫では、毛を飲み込む量が増えている可能性もあります。

「毛玉を吐いている」と思っていた猫が、実は別の病気を抱えていたということもあります。

大切なのは、

「吐いたものに毛が入っているか」だけではなく、「どのくらいの頻度で吐いているのか」「猫自身の状態がどうなのか」

を見ることです。


猫が吐いたとき、飼い主さんが確認してほしいこと

動物病院に相談するときには、次のことを確認しておくと診察の助けになります。

① 何回吐いた?

「今日1回だけ」なのか、

「朝から3回」なのか、

「ここ1か月、週に1回程度」なのか。

頻度は重要な情報です。

② いつ吐いた?

食事の直後なのか、数時間経ってからなのか。

時間帯や食事との関係も確認しておきましょう。

③ 何を吐いた?

可能であれば、吐いたものを写真に撮っておくと診察時の参考になります。

  • フード
  • 毛
  • 液体
  • 泡
  • 血液
  • 異物

などが含まれていないか確認します。

④ 食欲はある?

「少し食べた」ではなく、

普段の何割くらい食べているのか

まで分かると、より参考になります。

⑤ 水は飲めている?

水を飲めているか、飲んだ後に吐いていないかも確認しましょう。

⑥ 元気はある?

いつも通り遊ぶのか、寝てばかりいるのか。

猫は体調不良を隠すことがあるため、普段との違いを見ることが大切です。

⑦ 便や尿はいつも通り?

嘔吐だけでなく、

  • 下痢
  • 便秘
  • 尿量の変化
  • 排尿回数の変化

なども確認しておきましょう。


猫が吐いたとき、写真を撮っておくと役立ちます

少し抵抗があるかもしれませんが、吐いたものをスマートフォンで撮影しておくと、診察時に役立つことがあります。

例えば、

「毛玉だと思っていたけど、実は血が混じっていた」

「フードを吐いたと思ったけれど、異物のようなものが混じっていた」

など、後から確認できる場合があります。

また、猫が吐く様子そのものを動画で撮影できれば、嘔吐なのか吐出なのか、あるいは咳など別の症状なのかを判断する手がかりになることもあります。

無理に撮影する必要はありませんが、可能であれば記録しておくとよいでしょう。


動物病院ではどんな検査をする?

猫の嘔吐では、症状や年齢、身体検査の結果などから必要な検査を選択します。

血液検査

腎臓や肝臓の状態、血糖値、電解質などを確認します。

嘔吐の原因が消化管だけではない場合もあるため、血液検査が重要になることがあります。

レントゲン検査

消化管内のガスの状態や、異物などを確認するために行うことがあります。

超音波検査

胃や腸、肝臓、膵臓などの状態を確認するために行います。

特に慢性的な嘔吐では、超音波検査が診断の手がかりになることがあります。

糞便検査

寄生虫などが疑われる場合には、便を調べることがあります。

必要な検査は猫によって異なります。

「猫が吐いたから必ず血液検査」というわけではなく、診察をしたうえで必要な検査を組み合わせます。


猫の嘔吐で「様子を見すぎない」ことも大切です

猫は体調不良を隠すことがあります。

そのため、

「吐いたけど、いつも寝ている時間だから分からない」

「少しは食べているから大丈夫」

「毛が出たから毛玉だろう」

と考えているうちに、病気が進行してしまうことがあります。

もちろん、猫が1回吐いただけですべてが病気というわけではありません。

大切なのは、

「その後、猫がどうしているか」

を見ることです。

吐いた後も元気で食欲があり、その後は吐かないのであれば、緊急性が低いケースもあります。

一方で、

吐くことを繰り返す

食べない

元気がない

水も飲めない

血が混じる

異物を食べた可能性がある

といった場合には、動物病院への相談をおすすめします。


まとめ|猫が吐いたら「毛玉だから大丈夫」と決めつけない

猫は毛づくろいをするため、毛玉を吐くことがあります。

しかし、猫が吐く原因は毛玉だけではありません。

胃腸の病気だけでなく、腎臓病、肝臓病、膵炎、中毒、異物など、さまざまな病気が嘔吐の原因になることがあります。

そのため、

「毛が出てきたから大丈夫」

と決めつけないことが大切です。

特に、

  • 何度も吐く
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 水も飲めない
  • 水を飲んでも吐く
  • 血が混じる
  • 下痢を伴う
  • 体重が減っている
  • 異物や中毒物質を食べた可能性がある

といった場合には、動物病院に相談してください。

そして、猫が吐いたときには、

「何を吐いたか」だけではなく、「その後の元気・食欲・水分摂取・排便・排尿」

まで見てあげることが大切です。

「毛玉かな?」

と迷うようなときも、吐く回数が増えている、以前より頻繁に吐くようになったなどの変化があれば、一度動物病院で相談してみてください。

横浜もみじ動物病院でも、猫の嘔吐について診察しています。

猫の「吐く」という症状にはさまざまな原因がありますので、気になる変化があればお気軽にご相談ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 猫はどのくらい吐いたら病院に行ったほうがいいですか?

回数だけで「何回なら受診」という明確な基準を決めることはできません。

1回だけ吐いて、その後は元気・食欲ともに普段通りという場合には、様子を確認できることもあります。

一方で、短時間に何度も吐く、繰り返し嘔吐する、食欲や元気がない、水も飲めないなどの症状があれば、動物病院への相談をおすすめします。

Q. 猫が毛玉を吐いたので病院に行かなくても大丈夫ですか?

毛玉を吐いた後、元気や食欲があり、その後も吐かないのであれば、緊急性が低い場合もあります。

ただし、頻繁に毛玉を吐く、以前より吐く回数が増えた、食欲が落ちている、体重が減っているなどの場合には、毛玉以外の原因が隠れている可能性があります。

Q. 猫が黄色い液体を吐きました。大丈夫ですか?

黄色い液体は胆汁などが混ざっていることがありますが、吐いたものの色だけで原因を判断することはできません。

吐く回数や食欲、元気、下痢などの症状と合わせて判断する必要があります。

Q. 猫が透明な液体や泡を吐きました。病気ですか?

透明な液体や泡を吐くことがありますが、これだけで病気の有無を判断することはできません。

繰り返し吐く、食欲がない、元気がないなどの症状があれば、動物病院へ相談してください。

Q. 猫が食べた直後にフードをそのまま吐きました。

食後すぐに、ほとんど消化されていないフードを吐き出す場合は、「嘔吐」ではなく「吐出」の可能性があります。

嘔吐と吐出では原因が異なる場合があるため、可能であれば吐く様子を動画で撮影しておくと診察の参考になります。

Q. 猫が吐いていますが、水は飲めています。様子を見ていいですか?

水を飲めていることは重要ですが、それだけで問題がないとは判断できません。

吐く回数、元気、食欲、下痢などを合わせて確認してください。

繰り返し吐いている場合や、元気・食欲が低下している場合は、動物病院へ相談してください。

Q. 猫が吐いて食べません。何日くらい様子を見ていいですか?

「何日まで大丈夫」と一律に決めることはできません。

特に、嘔吐と食欲不振が同時に起きている場合は、毛玉だけとは限りません。

猫が急に食べなくなった場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

Q. 猫が何度も吐いていますが、元気はあります。病院に行ったほうがいいですか?

元気があることは良い兆候ですが、繰り返す嘔吐は注意が必要です。

特に、以前より明らかに吐く回数が増えた、何日も繰り返している、体重が減っているなどの場合には、動物病院で一度相談することをおすすめします。

Q. 吐いたものに毛が入っていれば毛玉が原因ですか?

必ずしもそうとは限りません。

毛づくろいによって飲み込んだ毛が一緒に出てくることはありますが、毛が混じっていても別の病気による嘔吐の可能性があります。

吐いたものだけでなく、猫の全身状態や嘔吐の頻度も確認してください。

猫が何度もトイレに行く|尿が出ないときはすぐ動物病院へ

2026年9月13日

「さっきトイレに行ったばかりなのに、またトイレに行っている」

「何度もトイレに入るけれど、尿が少ししか出ていない」

「トイレにいる時間が長い」

「砂をかいているけれど、おしっこが出ている様子がない」

猫と暮らしていると、このような変化に気づくことがあります。

猫が何度もトイレに行っていると、単純に「おしっこの回数が増えた」と思ってしまうかもしれません。

しかし、猫の場合には、尿をたくさんしているのではなく、「尿を出したいのに出せない」状態になっていることがあります。

特に注意してほしいのが、

「何度もトイレに行くのに、尿がほとんど出ていない」

というケースです。

尿道閉塞などによって尿が出なくなっている場合、緊急の処置が必要になることがあります。

この記事では、猫が何度もトイレに行くときに考えられる原因や、ご家庭で確認してほしいこと、そして「尿が出ないとき」に注意してほしい理由について解説します。


猫が何度もトイレに行くとき、まず確認してほしいこと

猫が何度もトイレに行っているとき、最初に確認してほしいのは、

「実際に尿が出ているかどうか」

です。

例えば、

  • 普通の大きさの尿の塊がある
  • いつもより小さい尿の塊しかない
  • 数滴しか出ていない
  • 血尿が出ている
  • 尿が出ているか分からない
  • トイレに行くけれど尿の塊が見当たらない

このような違いがあります。

特に、

何度もトイレに行っているのに、尿の塊がほとんどない

という場合には注意が必要です。

猫の排尿異常では、頻繁にトイレに行く、排尿時に力む、血尿が出るなどの症状が見られることがあります。

一方で、尿道が詰まっている場合には、尿を出そうとして何度もトイレに行くものの、尿がほとんど出ない、あるいは全く出ないことがあります。


「何度もトイレに行く=おしっこが多い」とは限りません

ここは、飼い主さんにぜひ知っておいていただきたいポイントです。

例えば、

本当に尿の量が増えているケース

腎臓病などでは、尿を濃縮する力が低下して、尿の量そのものが増えることがあります。

この場合は、

「尿の量が多い」

ということが問題になります。

一方で、

尿を出したいのに、少ししか出ないケース

膀胱炎などでは、膀胱や尿道に違和感があるため、何度も排尿姿勢をとることがあります。

この場合、

トイレに行く回数は多いのに、1回あたりの尿量は少ない

という状態になります。

さらに、

尿が出ないケース

尿道が閉塞している場合には、

何度も排尿姿勢をとるのに、尿がほとんど出ない、または全く出ない

ということがあります。

この状態は特に注意が必要です。


猫が何度もトイレに行く原因

猫が何度もトイレに行く原因には、さまざまなものがあります。

① 膀胱炎

猫の排尿異常でよく見られる原因の一つです。

膀胱に炎症が起こると、

  • 何度もトイレに行く
  • 少量ずつしか尿が出ない
  • 排尿時に力む
  • 血尿が出る
  • トイレ以外で排尿する
  • 排尿時に痛そうにする

などの症状が見られることがあります。

猫では、細菌感染だけでなく、原因を特定できない特発性膀胱炎などもあります。

そのため、「膀胱炎っぽいから大丈夫」と自己判断するのではなく、尿検査などで原因を確認することが大切です。


② 尿石・尿砂・尿道栓子

尿の中にできた結晶や結石、尿道栓子などが尿路を刺激したり、尿道を塞いだりすることがあります。

尿路結石などでは、

  • 頻繁にトイレに行く
  • 排尿時に痛がる
  • 血尿が出る
  • 少量しか尿が出ない

などの症状が見られることがあります。

特にオス猫では、尿道が細いため、尿道閉塞につながることがあります。


③ 尿道閉塞

今回の記事で、最も注意していただきたいのが尿道閉塞です。

尿道閉塞とは、膀胱にたまった尿が尿道を通って外に出せなくなっている状態です。

猫では、尿道栓子や結石などが原因となることがあります。

特にオス猫は、メス猫に比べて尿道閉塞を起こしやすいことが知られています。

初期には、

「何度もトイレに行く」

という、一見すると膀胱炎のような症状だけに見えることがあります。

しかし、

実際には尿が出ていない

ということがあります。


猫の尿が出ないときは、すぐに動物病院へ

これは非常に大切なことなので、強調しておきます。

猫が何度もトイレに行っているのに、尿が出ていない場合は、様子を見ずに早急に動物病院へ相談してください。

完全に尿が出なくなると、体内に老廃物が蓄積していきます。

さらに、重度の尿道閉塞では高カリウム血症などの電解質異常が起こり、心臓のリズムに影響するなど、命に関わる状態になることがあります。

完全閉塞では、状態が急速に悪化することがあります。

そのため、

「朝は元気そうだったから、もう少し様子を見よう」

「何度もトイレに行っているけれど、少しは出ているから大丈夫だろう」

と考えてしまうのは危険です。

尿が出ているか分からない場合も、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。


「便秘かな?」と思ってしまうことがあります

猫の尿道閉塞で、飼い主さんが気づきにくい理由の一つに、

排尿姿勢と排便姿勢が似ている

ということがあります。

トイレの中でじっと力んでいる姿を見ると、

「便が出ないのかな?」

「便秘かな?」

と思ってしまうことがあります。

実際、尿道閉塞の猫で見られる排尿努力を、便秘だと勘違いしてしまうことがあります。

そのため、

「トイレで力んでいる=便秘」と決めつけないこと

が大切です。

「便が出ていないのか」

「尿が出ていないのか」

を確認してみてください。


こんな症状があれば早めに受診してください

猫に次のような変化があれば、動物病院での診察をおすすめします。

排尿に関する変化

  • 何度もトイレに行く
  • トイレに長時間いる
  • 排尿姿勢を何度もとる
  • 尿が少量しか出ない
  • 尿が出ているか分からない
  • 尿が全く出ていない
  • 血尿がある
  • 排尿時に鳴く
  • 陰部を頻繁になめる
  • トイレ以外で排尿するようになった

全身状態の変化

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 吐いている
  • 動きたがらない
  • ぐったりしている
  • 痛そうにしている

特に、

「何度もトイレに行く+尿が出ていない」

という組み合わせには注意してください。

さらに、

「尿が出ない+元気がない・食べない・吐く」

という状態であれば、より緊急性が高い可能性があります。


動物病院ではどんな検査をする?

猫の頻尿や血尿、排尿困難の原因を調べるためには、症状だけでなく、身体検査や尿検査などを組み合わせて判断します。

必要に応じて、

尿検査

尿の濃さ、血液、炎症、結晶などを確認します。

血液検査

腎臓の数値や電解質などを確認します。

特に尿道閉塞が疑われる場合には、腎機能やカリウムなどの電解質を確認することが重要になります。

レントゲン検査

尿路結石などが疑われる場合に行います。

超音波検査

膀胱内の状態や膀胱壁、腎臓などを確認するために行うことがあります。

ただし、すべての猫にすべての検査を行うわけではありません。

症状や身体検査の結果を見ながら、必要な検査を組み合わせて原因を探します。


尿道閉塞だった場合はどうする?

尿道閉塞が確認された場合には、まず猫の全身状態を確認します。

重度の尿道閉塞では、脱水や腎機能の異常、高カリウム血症などが起こっていることがあります。

その場合には、状態を安定させながら、尿の通り道を確保する処置が必要になります。

一般的には、カテーテルなどを用いて閉塞を解除し、膀胱から尿を排出させます。

状態によっては入院管理が必要になることもあります。

つまり、

「尿が出ないけれど、猫がまだ歩けているから大丈夫」

という病気ではありません。

見た目にはそれほど重症に見えない段階でも、体の中では異常が進行している可能性があります。


家で確認しておきたいこと

猫が何度もトイレに行っている場合、動物病院に相談する前に、可能な範囲で次のことを確認しておくと診察の参考になります。

① 最後に普通に尿が出たのはいつか

「最後に普通の大きさの尿が出た時間」を確認しておきましょう。

② 尿の量

いつもと比べて、

  • 多い
  • 少ない
  • 数滴しか出ない
  • 全く出ていない

などを確認します。

③ 尿の色

血尿がないか確認します。

④ トイレに行く回数

普段と比べて明らかに増えていないか確認します。

⑤ 元気・食欲

排尿異常だけなのか、それとも元気や食欲も落ちているのかを確認します。

⑥ 嘔吐

吐いていないか確認します。

これらの情報は、動物病院で診察するときにも役立ちます。


「尿が出ているか分からない」ときはどうすればいい?

多頭飼育の場合や、猫砂の種類によっては、

「どの猫が尿をしたのか分からない」

「尿の量が確認しにくい」

ということもあります。

その場合、

「尿が出ているか分からないから、もう少し様子を見る」

のではなく、排尿異常が疑われる場合は動物病院へ相談することをおすすめします。

特にオス猫で、

  • 何度もトイレに行く
  • 排尿姿勢をとる
  • 少量しか出ない
  • 尿が確認できない

という状態であれば、尿道閉塞の可能性を考える必要があります。


猫のおしっこの変化は、早めに気づくことが大切です

猫は体調が悪くても、飼い主さんから見ると普段通りに見えることがあります。

そのため、

「元気はあるから大丈夫」

「ご飯は少し食べているから大丈夫」

とは限りません。

特に排尿については、

「何回トイレに行ったか」だけではなく、「実際に尿が出ているか」

を見ることが重要です。

猫が何度もトイレに行くようになったら、まず尿の量を確認してみてください。

そして、

尿が出ていない

ほとんど出ていない

出ているかどうか分からない

という場合には、様子を見すぎず、動物病院に相談してください。


まとめ|猫が何度もトイレに行くときに確認してほしいこと

猫が何度もトイレに行くときには、まず、

「本当に尿が出ているのか?」

を確認してください。

猫の頻尿や排尿困難には、膀胱炎や尿石症などさまざまな原因があります。

その中でも、

尿道閉塞は緊急性の高い病気です。

特にオス猫で、

  • 何度もトイレに行く
  • 排尿姿勢をとる
  • 少量しか尿が出ない
  • 尿が出ていない
  • 排尿時に痛そう
  • 元気や食欲が低下している

という場合には、早めの受診をおすすめします。

「尿が出ていないかもしれない」

と感じたら、「もう少し様子を見よう」とせず、まず動物病院へご相談ください。

横浜もみじ動物病院でも、猫の排尿異常について診察しています。

当院は予約優先制ですが、予約なしでも診療を受け付けています。緊急性がある場合には、状況に応じて対応しますので、まずはお電話でご相談ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 猫が何度もトイレに行くのはなぜですか?

膀胱炎、尿石症、特発性膀胱炎、尿道閉塞など、さまざまな原因が考えられます。

単純に尿の量が増えている場合だけでなく、「尿を出したいのに出せない」ために何度もトイレに行っている場合があります。

まずは実際に尿が出ているか確認することが大切です。

Q. 猫がトイレに何度も行くけれど、少しは尿が出ています。大丈夫ですか?

少し尿が出ているからといって、必ずしも問題がないとはいえません。

膀胱炎や尿石症などでも、何度もトイレに行って少量しか尿が出ないことがあります。

特に、いつもより明らかに尿が少ない、排尿時に痛そう、血尿があるなどの場合には、動物病院での診察をおすすめします。

Q. 猫の尿が出ない場合、どのくらい様子を見てもいいですか?

尿が出ていない場合は、時間を決めて様子を見るのではなく、できるだけ早く動物病院へ相談してください。

完全な尿道閉塞は緊急疾患で、時間の経過とともに全身状態が悪化する可能性があります。

Q. オス猫のほうが尿が詰まりやすいのですか?

はい。オス猫はメス猫に比べて尿道が細く、尿道閉塞を起こすリスクが高いことが知られています。

Q. 猫がトイレで力んでいるので、便秘だと思っています。

猫では排尿時の姿勢と排便時の姿勢が似ているため、尿道閉塞による排尿努力を便秘と勘違いすることがあります。

便だけでなく、尿が実際に出ているかも確認してください。

Q. 血尿が出ていますが、元気なら様子を見てもいいですか?

血尿があっても元気そうに見えることはありますが、膀胱炎や尿石症などの可能性があります。

特に頻尿や排尿時の痛み、尿量の減少などを伴っている場合は、一度動物病院で診察を受けることをおすすめします。

Q. 猫の尿道閉塞は治療できますか?

尿道閉塞が起きている場合は、閉塞を解除して尿の流れを回復させる処置が必要です。

同時に、脱水や腎機能、電解質など全身状態を確認し、必要な治療を行います。状態によっては入院が必要になることもあります。

Q. 猫が何度もトイレに行くとき、病院には尿を持って行ったほうがいいですか?

可能であれば新鮮な尿を持参できる場合もありますが、尿が出ていない可能性がある場合は、尿を採取することに時間をかけないでください。

まずは受診を優先してください。


関連記事

猫の排尿異常は、腎臓や尿路の病気とも関係します。

当院では、猫の腎臓病についても解説しています。

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症状が一つだけではなく、「食欲が落ちた」「水を飲む量が増えた」「尿の量が変わった」など複数の変化がある場合には、まとめて獣医師に伝えることが大切です。

横浜もみじ動物病院

獣医師 中西 啓介

犬猫の食欲不振について、獣医師が伝えたいこと|「食べている」と思っていませんか?

2026年9月12日

前回、前々回と、ワンちゃんと猫ちゃんの「食欲不振」について書かせていただきました。

「急にご飯を食べなくなったら、どのくらい様子を見ていいの?」
「どんな症状があれば動物病院に行ったほうがいいの?」

そんな疑問を持つご家族の参考になればと思って書いたものです。

実際の診療でも、「急にご飯を食べなくなった」というケースは、
ご家族が比較的早く異変に気づいて来院されることが多いように感じます。

皮膚をかゆがっている、少し吐いた、便が少しゆるい、といった変化に比べると、
「いつも食べている子が、急に食べなくなった」という変化は、
ご家族にとっても分かりやすく、大きな心配事になりやすいからです。

急な変化であれば、ご家族が気づいて動物病院へ連れてきてくださる。
その意味では、私は「急に起こった食欲不振」については、それほど心配していません。

もちろん、急な食欲不振の中にも、大変な病気が隠れていることはあります。
しかし、少なくとも「気づくことができる」という点では、比較的対応しやすいのではないかと思っています。

 

本当に難しいのは「少しずつ食べなくなっている」ケース

私が難しいと感じるのは、むしろこちらです。

実は、ずっと前から食欲が落ちていた。
でも、ご家族は「食べている」と思っている。

このようなケースです。

もちろん、これはご家族が悪いわけではありません。
犬や猫は、「今日は昨日より10g食べる量が減った」ということを教えてくれるわけではありません。
毎日一緒に暮らしているからこそ、少しずつ起こる変化には気づきにくいこともあります。
特に猫では、その傾向が強いように感じます。

そして、私自身も診療のあとに、

「もっと早く気づいてあげられていたら」
「何か一つでもアドバイスできていたら」

と思ってしまうことがあります。

少しデリケートな話になりますが、今回は獣医師として、私が日々の診療で感じていることを書いてみたいと思います。

 

ある患者さんのお話

実際のお話を多少脚色していますが、診療では時々このようなことがあります。

主:飼い主さん 獣:獣医師

主「最近、食欲がないんです」
獣「いつからですか?」
主「ここ3日、ほとんど食べていないんです」
獣「そうなんですね。何かきっかけはありますか?」
主「特にないです。半年前にドライフードを食べなくなって、ウェットフードにしたら、よく食べるようになっていたんです」
獣「なるほど。ウェットフードはどこのメーカーのものを、どのくらい食べていますか?」
主「どこのだったかな……。○○のメーカーのものを、1日2袋くらいです」
獣「半年前から、ずっと1日2袋ですか?」
主「いえ、1か月くらい前から1袋くらいになって、1週間前からさらに半分くらいしか食べなくなって……。ここ3日はほとんど食べていません」
獣「嘔吐や下痢はありますか?」
主「食べなくなってからは吐いていません。便も出ていません。下痢はないです」
獣「それ以前はどうでしたか? 若い頃から吐いていましたか?」
主「若い頃は、そんなに吐いていなかったと思います。でも歳を取ってからは、月に何回か吐いていたかもしれません」
獣「半年前にドライフードを食べなくなってからはどうですか?」
主「毎週吐いていました。食べなくなってからは吐いていません」
獣「ちなみに、今日の体重が2kgですが、若い頃は何kgくらいありましたか?」
主「5kgくらいはあったと思います」

ここまでお話を聞くと、獣医師としては少し考え込んでしまいます。

 

「3日食べていない」だけではなかった

この子の場合、「3日前から食べていない」ということだけを見ると、急な食欲不振に見えます。

しかし、実際には、半年前からドライフードを食べなくなっていた。
そして、1か月前から食べる量が減っていた。
さらに、1週間前から、さらに食べる量が減っていた。
そして、ようやく「ここ3日ほとんど食べていない」というところで来院されたわけです。

つまり、「3日間食べていない」のではなく、半年間かけて、少しずつ食欲が落ちていた可能性があります。

さらに、若い頃にはなかった嘔吐が、半年前から毎週のように起こっていた。
そして体重を見ると、若い頃には5kgほどあった猫が、現在は2kg。

もちろん、体重が減った理由は一つとは限りません。
実際に検査をしてみなければ病気を特定することはできません。
しかし、身体検査やこれまでのお話を合わせると、かなり進行した慢性疾患が隠れている可能性を強く考える状況です。

 

「硬いものを食べなくなった」は、年齢のせい?

このケースで、私が特に気になるのが、
「半年前にドライフードを食べなくなった」というところです。

猫がドライフードを食べなくなってウェットフードを食べるようになった。
ウェットフードなら食べるので、
「ドライフードが嫌いになったのかな?」
「歳を取ったから、柔らかいものが好きになったのかな?」
と考えることもあると思います。

もちろん、本当に好みの問題である場合もあります。
しかし、「硬いものを食べなくなった」という変化の裏側に、歯や口の中の痛みが隠れていることがあります。
また、食欲そのものが落ちている可能性もあります。

「食べられるものを食べているから大丈夫」とは限りません。
食事の種類が変わったときには、なぜそのフードしか食べなくなったのか?という視点も大切です。

 

猫は「病気を隠す」のがとても上手です

猫の診療で難しいと感じる理由の一つが、猫は体調不良を外から分かりにくくすることがある、ということです。

かなり体調が悪くても、

・歩くことができる
・ジャンプすることができる
・走ることもある
・ご家族の顔を見れば「ニャー」と鳴く
・スリスリしてくる

そんなこともあります。
だからこそ、「元気そうだから大丈夫」とは限りません。

猫の場合は、

・食べる量が少し減った
・以前より吐くようになった
・体重が少しずつ減っている
・水を飲む量が増えた
・トイレに行く回数が変わった

といった、小さな変化の積み重ねが重要です。

 

「食べているから大丈夫」ではなく、量を見てほしい

私が猫のご家族にぜひお願いしたいのは、
「食べているかどうか」だけではなく、「どのくらい食べているか」を見てほしい ということです。

例えば、「ちゃんと食べています」と言われても、
以前は1日2袋食べていたのが、今は1袋。
さらに半袋。
それでも「何かは食べている」ため、ご家族からすると「食欲はある」と感じることがあります。

しかし、実際には食事量が半分、さらにその半分になっているかもしれません。
少しずつ減っている変化は、急に全く食べなくなる変化よりも、気づきにくいものです。

 

体重を測るだけでも、早期発見につながります

猫の体調変化に気づくために、ご家庭でできることの一つが体重を定期的に測ることです。
特に、

・高齢の猫
・腎臓病などの持病がある猫
・以前より食べる量が減ってきた猫
・嘔吐が増えてきた猫

では、体重の変化を確認しておくことをおすすめします。

「見た目は変わっていない」と思っていても、数字を見ると少しずつ減っていることがあります。

毎日測る必要はありません。
例えば定期的に体重を測り、記録しておくだけでも、
「いつから体重が減り始めたのか」を知る大きな手がかりになります。

 

ご家族を責めたいわけではありません

ここまで書いてくると、
「もっと早く病院に連れて行けばよかったのでは?」
と思われる方もいるかもしれません。

でも、私はご家族を責めたいわけではありません。
ご家族には、ご家族なりの事情があります。

仕事や生活のこと。
他のご家族のこと。
動物病院に連れて行くことへの不安。
「病院に行ったら、病気だと言われるかもしれない」という怖さ。
「もう歳だから仕方ないのかな」と思ってしまう気持ち。

猫の場合には、そもそも動物病院へ連れて行くこと自体が大変なこともあります。
普段動物病院にかかっていなければ、
「どこの病院に連れて行けばいいのかわからない」ということもあるでしょう。

いろいろな事情があるのだと思います。
だからこそ、この記事を読んでくださった方には、
「食べているから大丈夫」ではなく、「以前と比べて食べる量が変わっていないか?」
ということを、一度確認してみてほしいと思っています。

 

「もっと早く気づいてあげられたら」と思うから

獣医師として診療をしていると、
「もっと早く見つけてあげられたらよかったのに」
と思ってしまうことがあります。

もちろん、来院されていない以上、私たちが診察することはできません。
それは分かっています。

 

それでも、

「半年前に相談してもらえていたら、何かアドバイスできたかもしれない」
「体重を測ってもらえていたら、もっと早く変化に気づけたかもしれない」
「食事量の変化を一緒に確認できていたら」

と思うことがあります。

 

これは、私個人の感傷なのかもしれません。
それでも、今回この記事を書いたのは、
「誰か一人でも、この記事を読んで早く気づいてくれたらいいな」と思ったからです。

 

獣医師は、診察をして、検査をして、病気を診断し、治療することはできます。
でも、それだけでは十分ではありません。
毎日その子と一緒に暮らしているご家族にしか気づけない変化があります。

・昨日より少し食べる量が減った
・最近、ドライフードを残すようになった
・前より吐くことが増えた
・なんとなく痩せてきた気がする

そういった小さな変化を、私たち獣医師が最初から見つけることはできません。
獣医師だけの力では、どうしても限界があります。
ご家族が日々の変化に気づいてくださり、その情報を私たちに教えてくださる。
私たちは、その情報をもとに診察や検査をして、必要な治療やアドバイスをする。
そうやって初めて、その子の健康を守ることができるのだと思います。

 

だからこそ、私はご家族に「病気を見つけてください」とお願いしたいわけではありません。
病名を当てる必要もありません。

ただ、「なんとなく、いつもと違う」という感覚を大切にしてほしいと思っています。

・食べる量が少し減った
・以前は食べていたものを食べなくなった
・吐く回数が増えた
・体重が少しずつ減っている

そういった小さな変化を、「歳のせいかな」「好き嫌いかな」と片づけず、一度ご相談いただければと思います。

 

「こんなことで病院に行っていいのかな?」と思うくらいの変化でも構いません。
早い段階でご相談いただければ、病気があるのかどうかを確認することもできますし、
病気がなければ安心することもできます。

何より、「もっと早く気づいてあげればよかった」
と後悔することを、少しでも減らせればと思っています。

犬や猫は、自分から「最近ちょっと食べる量が減りました」と教えてくれることはありません。
だからこそ、ご家族が気づいてあげることが、とても大切なのだと思います。
今回の記事が、皆さんのワンちゃん・猫ちゃんの小さな変化に気づくきっかけになれば幸いです。

 

横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介

猫が急にご飯を食べなくなった|何日まで様子を見ていい?

2026年9月12日

「いつもはご飯を楽しみにしている猫が、急に食べなくなった」

「元気そうに見えるけど、何日くらいなら様子を見ても大丈夫?」

「水は飲んでいるけれど、ご飯を食べない……」

猫と暮らしていると、このような状況に遭遇することがあります。

猫は食事の好みが変わりやすく、フードの変更や環境の変化などによって一時的に食べなくなることもあります。

しかし、猫の食欲不振は「ただの好き嫌い」ではなく、病気のサインとして現れていることもあります。

特に猫では、食べない状態が続くことで、**肝リピドーシス(脂肪肝)**などの問題につながることがあります。

そのため、「何日も食べていないけれど、元気だからもう少し様子を見よう」と長期間放置するのはおすすめできません。

この記事では、猫が急にご飯を食べなくなったときに考えられる原因や、様子を見てもよいケース、動物病院を受診する目安について解説します。


猫がご飯を食べないとき、何日まで様子を見ていい?

結論からいうと、「何日食べなくても大丈夫」と一律に決めることはできません。

猫の年齢、体格、持病、普段の食欲、食べない程度、その他の症状などによって、受診のタイミングは変わります。

ただし、

猫が急にまったく食べなくなった場合は、犬以上に早めの対応をおすすめします。

特に、

  • ほとんど何も食べない状態が続いている
  • 水も飲まない
  • 元気がない
  • 嘔吐している
  • 下痢をしている
  • 痛そうにしている
  • 体重が減っている
  • 肥満傾向がある
  • 持病がある
  • 子猫や高齢猫である

といった場合には、長く様子を見るべきではありません。

「1日食べなかったから必ず危険」という意味ではありませんが、猫の食欲不振は早めに原因を確認することが大切です。


猫が急にご飯を食べなくなる原因

猫の食欲不振には、さまざまな原因があります。

① フードや環境の変化

病気ではなくても、猫は環境の変化に敏感です。

例えば、

  • フードを突然変更した
  • 食器を変更した
  • 食器の場所を変えた
  • 引っ越しをした
  • 家に新しい動物が来た
  • 来客があった
  • ペットホテルに預けた
  • 工事などで大きな音がしている

などがストレスになり、食欲が低下することがあります。

猫は「いつもと違う」という変化に敏感な動物です。


② フードの好み・食事環境の問題

猫では、食事そのものに問題があるケースもあります。

例えば、

  • フードの匂いが気に入らない
  • ウェットフードを冷蔵庫から出したばかり
  • フードが古くなっている
  • 食器が汚れている
  • 食器の位置が落ち着かない
  • 他の猫に食事を取られてしまう

などです。

「食欲がない」と思っていたら、実は食べたいけれど落ち着いて食べられないということもあります。


③ 歯や口の中が痛い

猫が「食べたいのに食べられない」状態になっていることもあります。

代表的なのが、

  • 歯周病
  • 歯肉炎
  • 口内炎
  • 歯の吸収病巣
  • 歯の破折
  • 口の中の腫瘍

などです。

特に、

ご飯の前までは来るけれど食べない

フードを口に入れるけれど、すぐにやめる

ドライフードを嫌がる

食べるときに口を気にする

といった様子があれば、口の中に痛みがある可能性があります。

猫の口内炎などでは、かなり強い痛みによって食事ができなくなることもあります。


④ 胃腸の病気

胃腸炎などの消化器疾患でも食欲が低下します。

食欲不振と一緒に、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 軟便
  • 便秘
  • お腹を痛がる
  • 元気がない

などが見られることがあります。

猫は吐くこと自体は珍しくありませんが、食欲不振を伴って繰り返し吐いている場合は注意が必要です。


⑤ 腎臓病

猫では腎臓病が非常に身近な病気です。

腎臓病が進行すると、

  • 食欲が落ちる
  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増える
  • 体重が減る
  • 吐く
  • 元気がなくなる

などの症状が見られることがあります。

特に高齢の猫で、

最近、水を飲む量が増えた+食欲が落ちてきた

という場合には、一度検査を受けることをおすすめします。


⑥ 肝臓・胆のう・膵臓などの病気

猫の食欲不振は、肝臓や胆のう、膵臓などの病気でも起こります。

猫では複数の消化器・肝胆道系の病気が同時に関係することもあり、食欲不振だけでは原因を判断できません。

そのため、

「昨日から食べないだけだから、もう少し待とう」

と自己判断せず、ほかの症状も含めて観察することが大切です。


⑦ 異物を飲み込んでいる

猫は、紐やビニール、包装材などを誤って飲み込むことがあります。

異物によって消化管に問題が起こると、

  • 食欲がない
  • 吐く
  • 元気がない
  • お腹を痛がる
  • 排便が減る

などの症状が見られることがあります。

特に、

「食べなくなる前に、紐やビニールなどで遊んでいた」

という場合には注意してください。

異物誤食が疑われる場合は、症状が軽そうに見えても動物病院へ相談しましょう。


猫が1食食べないだけなら大丈夫?

猫が1回の食事を食べなかったからといって、必ず病気というわけではありません。

例えば、

  • 元気がある
  • 水を飲んでいる
  • 嘔吐・下痢がない
  • 普段通り排便・排尿している
  • その後の食事は食べる

という場合には、一時的な食欲の変化という可能性もあります。

しかし、猫は犬に比べて食べない状態を長く放置しないことが重要です。

「1食抜いたから、明日まで待とう」と何度も先延ばしにするのではなく、食欲が戻らない場合は早めに動物病院へ相談しましょう。


特に注意したいのが「肥満の猫」

猫の食欲不振で特に注意したいのが、肥満傾向のある猫です。

猫が食事を取れなくなると、体に蓄えられていた脂肪がエネルギーとして利用されます。

しかし、その脂肪が肝臓に過剰に蓄積すると、**肝リピドーシス(脂肪肝)**を起こすことがあります。

そのため、

「太っているから、何日か食べなくても体に蓄えがあるだろう」

という考え方は危険です。

むしろ肥満猫では、食欲不振が続いた場合により注意する必要があります。


こんな症状があれば早めに動物病院へ

猫が食べないことに加えて、以下のような症状がある場合には、早めに受診しましょう。

食べない+元気がない

寝てばかりいる、動きたがらない、呼びかけへの反応がいつもと違うなどの場合は注意が必要です。

食べない+嘔吐

何度も吐いている、水を飲んでも吐く、といった場合は早めの診察が必要です。

食べない+下痢

下痢が続いている場合や、血便がある場合には受診をおすすめします。

食べない+水を飲まない

食事だけでなく水分も取れていない場合は、脱水にも注意が必要です。

食べない+痛そう

うずくまっている、触られるのを嫌がる、落ち着かないなどの様子があれば、痛みを伴っている可能性があります。

食べない+おしっこがおかしい

特に猫では尿の異常にも注意が必要です。

「何度もトイレに行くのに尿が出ていない」

「少量しか出ていない」

「排尿時に痛そう」

などの場合は、食欲不振とは別に緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。


「好きなおやつなら食べる」なら大丈夫?

「いつものご飯は食べないけれど、おやつなら食べる」

という猫もいます。

この場合、フードの好みや食事環境が原因の可能性もあります。

しかし、

「おやつを食べる=病気ではない」

とは限りません。

病気の初期には、食欲が完全になくなるのではなく、好きなものだけ食べるという状態になることもあります。

普段と明らかに食べ方が違う状態が続く場合には、注意して観察しましょう。


動物病院では何を調べる?

猫の食欲不振で動物病院を受診した場合、まず、

  • いつから食べないのか
  • どのくらい食べていないのか
  • どのくらいの量なら食べるのか
  • 水は飲んでいるか
  • 嘔吐や下痢はないか
  • おしっこは出ているか
  • 体重は減っていないか
  • フードを変更したか
  • 最近環境の変化があったか
  • 誤食の可能性はないか

などを確認します。

そのうえで身体検査を行い、必要に応じて、

  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 超音波検査
  • 尿検査
  • 口腔内の検査

などを組み合わせて原因を探します。

猫の食欲不振は原因が非常に多いため、状況に応じて検査を選択することが重要です。


家で様子を見る場合に確認しておきたいこと

短時間様子を見る場合でも、「食べた・食べていない」だけでなく、次のことを確認してください。

食事

  • 何時にどのくらい食べたか
  • 好きなものなら食べるか
  • 水分の多い食事は食べるか

水分

  • 水を飲んでいるか
  • 飲む量がいつもと違わないか

排泄

  • おしっこが出ているか
  • 便が出ているか
  • トイレに何度も行っていないか

全身状態

  • 元気があるか
  • 普段通り動くか
  • 吐いていないか
  • 痛そうではないか

こうした情報は、動物病院を受診したときにも非常に役立ちます。


「食べないけど元気だから大丈夫」は危険?

猫の場合、これは特に注意したい考え方です。

猫は体調不良を隠す傾向があり、病気があっても初期には明らかな「ぐったり」が見られないことがあります。

そのため、

「元気そうだから何日も大丈夫」

とは限りません。

特に、普段は食欲旺盛な猫が突然食べなくなった場合には、食欲の変化そのものを重要なサインとして考える必要があります。


まとめ|猫が急にご飯を食べなくなったら

猫が急にご飯を食べなくなった場合、まずは、

  • いつから食べていないか
  • どのくらい食べていないか
  • 水は飲んでいるか
  • 元気はあるか
  • 嘔吐や下痢はないか
  • おしっこ・うんちは出ているか
  • 口を痛がっていないか
  • 異物を食べていないか
  • 最近、環境やフードに変化がなかったか

を確認しましょう。

1食食べなかっただけで必ず病気というわけではありません。

しかし、猫では食欲不振を長く様子見ることはおすすめできません。

特に、

「まったく食べない」
「食べない状態が続いている」
「元気がない」
「吐いている」
「下痢をしている」
「水も飲まない」
「痛そう」
「おしっこがおかしい」
「異物を食べた可能性がある」

といった場合には、早めに動物病院へ相談しましょう。

また、肥満傾向のある猫では、食欲不振が続くことで肝リピドーシス(脂肪肝)につながることがあるため、特に注意が必要です。

「何日までなら大丈夫」と日数だけで判断するのではなく、普段の食欲からどの程度変化しているか、ほかに症状がないかを含めて判断することが大切です。

「いつもと違う」と感じた時点で、心配であれば動物病院へご相談ください。

愛猫が食べない理由を早めに見つけ、必要な治療につなげることが大切です。

 

横浜もみじ動物病院

獣医師 中西 啓介

犬が急にご飯を食べない|食欲不振の原因と動物病院に行く目安

2026年9月12日

「いつもは喜んでご飯を食べるのに、今日は全然食べない」

「大好きなおやつも食べないけど、少し様子を見ても大丈夫?」

「犬が急にご飯を食べなくなったけど、動物病院に行ったほうがいい?」

犬と暮らしていると、このような経験をすることがあります。

犬がご飯を食べない原因は、単なる食欲のムラや環境の変化から、胃腸炎、歯や口の痛み、膵炎、腎臓病、肝臓病、異物誤食など、さまざまです。

特に注意したいのは、「ご飯を食べない」という症状だけでは、原因の重さを判断できないことです。

この記事では、犬が急にご飯を食べなくなったときに考えられる原因や、様子を見てもよいケース、早めに動物病院を受診したほうがよいケースについて解説します。


犬が急にご飯を食べないとき、まず確認したいこと

犬がご飯を食べないときは、まず「食べない」ということ以外に変化がないか確認してみましょう。

① 元気はありますか?

普段と変わらず元気に歩き回っているのか、それとも寝ている時間が明らかに増えているのか。

食欲だけが落ちているのか、元気もなくなっているのかは重要なポイントです。


② 水は飲んでいますか?

水を普段通り飲んでいるかも確認しましょう。

ご飯を食べないだけでなく、水もほとんど飲まない場合には、脱水などにも注意が必要です。


③ 吐いたり、下痢をしたりしていませんか?

食欲不振と一緒に、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 軟便
  • 血便
  • 吐きそうな仕草

などがないか確認しましょう。

食欲不振に消化器症状が加わっている場合には、単なる食欲のムラではなく、胃腸の病気などが隠れている可能性があります。


④ 痛そうにしていませんか?

「触ると嫌がる」

「お腹を丸めている」

「祈るような姿勢をする」

「落ち着かず、何度も姿勢を変える」

などがないか確認してください。

犬は痛みを言葉で伝えることができません。

食べないことが、痛みのサインとして現れている場合もあります。


⑤ おやつや好きなものなら食べますか?

いつものドッグフードは食べないけれど、おやつは食べるという場合もあります。

この場合、単純な食欲低下ではなく、

  • フードに飽きた
  • おやつをもらえると学習している
  • フードの匂いや味が気に入らない

などの可能性も考えられます。

ただし、「おやつを食べるから病気ではない」とは限りません。

病気の初期には、食欲が少し落ちているだけということもあります。


犬がご飯を食べない原因

犬の食欲不振にはさまざまな原因があります。

① 一時的な食欲の変化

元気があり、その他に目立った症状がない場合には、

  • 暑さ
  • 運動量の変化
  • 環境の変化
  • ストレス
  • おやつの食べすぎ
  • フードの変更

などによって一時的に食べなくなることがあります。

例えば、旅行や引っ越し、ホテルに預けた後など、普段と違う環境がきっかけになることもあります。


② 胃腸の不調

胃腸炎などによって食欲が低下することがあります。

食欲不振に加えて、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 軟便
  • お腹が鳴る
  • 元気がない

などが見られる場合は注意が必要です。


③ 歯や口の中の痛み

「食べたいのに食べられない」というケースもあります。

例えば、

  • 歯周病
  • 歯の破折
  • 口内炎
  • 口の中の腫瘤
  • 歯肉の炎症

などです。

「ご飯を食べない=胃腸の問題」とは限りません。

特に、

食べ物を口に入れようとするけれど途中でやめる

硬いフードを嫌がる

食べにくそうにする

といった様子があれば、口の中の痛みも考える必要があります。


④ 膵炎などの消化器疾患

犬では膵炎によって食欲が低下することがあります。

食欲不振に加えて、嘔吐や下痢、腹痛、元気消失などが見られることがあります。

特に、

「急に食べなくなった」+「元気がない」+「吐く・お腹が痛そう」

という場合には、単純な食欲のムラだと決めつけないことが大切です。


⑤ 異物誤食・腸閉塞

犬が何かを食べてしまった後に食欲がなくなった場合は、異物誤食にも注意が必要です。

おもちゃ、布、ビニール、紐、骨など、犬が誤って飲み込んでしまうものは少なくありません。

異物によって消化管が詰まると、

  • 食欲がない
  • 嘔吐
  • 元気がない
  • お腹を痛がる
  • 便が出ない

などの症状が見られることがあります。

異物誤食は、「そのうち便と一緒に出てくるだろう」と様子を見ているうちに状態が悪化することがあります。

「何か食べたかもしれない」という場合には、早めに動物病院へ相談しましょう。


⑥ 腎臓病・肝臓病などの全身性疾患

食欲不振は、胃腸だけの問題とは限りません。

腎臓病や肝臓病など、全身の病気でも食欲が低下することがあります。

特に、

  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増えた
  • 体重が減ってきた
  • よく吐く
  • 元気がない
  • 毛艶が悪くなった

など、以前から別の変化がある場合には注意が必要です。


犬が1食食べないだけなら様子を見てもいい?

ここは飼い主さんから非常によく聞かれる質問です。

元気があり、水も飲めていて、嘔吐や下痢などの症状もなく、普段と大きく変わらない場合には、1食程度食べないだけで必ずしも緊急というわけではありません。

ただし、犬の年齢や持病、普段の食欲などによって判断は変わります。

例えば、

  • 子犬
  • 高齢犬
  • 持病がある犬
  • もともと体調を崩しやすい犬
  • 最近体重が減っている犬

などでは、食欲不振を長く様子見しないほうがよい場合があります。

また、「何時間食べなかったら絶対に大丈夫」という明確な基準があるわけではありません。

食べない時間だけではなく、犬の全身状態を見ることが大切です。


こんな場合は早めに動物病院へ

次のような症状がある場合は、様子を見すぎず動物病院への受診をおすすめします。

食べない+元気がない

いつもなら動き回る時間なのに、ずっと寝ている。

呼びかけへの反応が悪い。

散歩に行きたがらない。

このような場合は注意が必要です。

食べない+嘔吐

何度も吐いている場合や、水を飲んでも吐いてしまう場合は、早めの診察が必要です。

食べない+下痢・血便

下痢が続いている、血便が出ている、便の状態が明らかにおかしい場合も受診を検討しましょう。

食べない+腹痛がありそう

お腹を丸める、触られるのを嫌がる、落ち着かない、祈るような姿勢をするなどの場合は、腹痛を伴っている可能性があります。

水も飲まない

ご飯だけでなく水もほとんど飲まない場合には注意が必要です。

異物を食べた可能性がある

「何を食べたかわからないけれど、何かを口にしていた」

という場合も、早めに動物病院へ相談しましょう。


特に注意したい「食べない」サイン

飼い主さんに覚えておいていただきたいのは、

「食べないこと」そのものよりも、「食べない+何か別の症状がある」ことです。

例えば、

食欲 その他の様子 対応
食べない 元気・水分・排便など普段通り 短時間なら様子を見られる場合も
食べない 元気がない 早めに受診
食べない 嘔吐・下痢 早めに受診
食べない 腹痛がありそう 早めに受診
食べない 水も飲まない 早めに受診
食べない 異物を食べた可能性 早めに相談
食べない ぐったりしている できるだけ早急に受診

もちろん、これはあくまで目安です。

犬の年齢や体格、持病、症状の程度によって判断は変わります。


動物病院では何を調べる?

食欲不振で来院した場合、まずは飼い主さんから、

  • いつから食べないのか
  • どのくらい食べていないのか
  • 水は飲んでいるか
  • 嘔吐や下痢はあるか
  • 便や尿に変化はあるか
  • 何か変なものを食べていないか
  • フードを変更したか
  • 最近体重が変化していないか

などをお聞きします。

そのうえで身体検査を行い、必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを組み合わせて原因を探していきます。

特に異物誤食や消化管のトラブルが疑われる場合には、画像検査が重要になることがあります。


「元気だから大丈夫」とは限りません

犬は体調が悪くても、初期にはそれほど明らかな症状を見せないことがあります。

「昨日まで普通だったのに、今日はご飯を食べない」

という変化が、病気の最初のサインになっていることもあります。

一方で、1食食べなかったからといって、必ず重い病気というわけでもありません。

大切なのは、

「食べない」という症状だけを見るのではなく、元気・水分・嘔吐・下痢・排便・排尿・痛みなどを一緒に観察することです。


まとめ|犬が急にご飯を食べなくなったら

犬が急にご飯を食べなくなったときには、まず以下を確認してみましょう。

  • 元気はある?
  • 水は飲めている?
  • 吐いていない?
  • 下痢や血便はない?
  • お腹を痛がっていない?
  • おしっこ・うんちは普段通り?
  • 何か異物を食べていない?
  • 口の中を痛がっていない?
  • 最近、体重が減っていない?

食欲だけが一時的に落ちていて、元気や水分摂取などが普段通りなら、短時間であれば様子を見られるケースもあります。

しかし、

「食べない+元気がない」
「食べない+吐く」
「食べない+下痢」
「食べない+腹痛」
「食べない+水も飲まない」
「異物を食べた可能性がある」

といった場合には、様子を見すぎず動物病院へご相談ください。

「これくらいで病院に行っていいのかな?」と思われる程度でも、心配な場合は一度ご相談いただくことをおすすめします。

犬の食欲不振は、単なる食欲のムラから治療が必要な病気まで原因がさまざまです。

愛犬の「いつもと違う」という変化を大切にしてあげましょう。

 

横浜もみじ動物病院

獣医師 中西 啓介

犬が水をたくさん飲むとき、飼い主はどう気づく?|獣医師が実際の診療で感じること

2026年9月11日

前回のブログでは、犬の「多飲多尿」について、一般的によく知られている病気や、動物病院を受診する目安について書かせていただきました。

今回は少し趣向を変えて、実際の診療で「最近、うちの子は水をよく飲むようになった」と飼い主さんが気づいて来院されるのは、どんなパターンなのかを、私自身の経験を多分に踏まえて書いてみたいと思います。

実は「多飲多尿」に気づいている飼い主さんは少ない?

最初にお伝えしたいのは、実は**「多飲多尿に気づいている飼い主さんは、思っているより少ないのではないか」**ということです。

多飲多尿を引き起こす病気には、慢性腎臓病や糖尿病など、健康寿命や寿命に大きく影響するものがあります。

そのため、早期発見・早期治療がとても重要です。

できれば若いうちから、

  • 普段どのくらい水を飲んでいるか
  • おしっこの回数はどのくらいか
  • 尿の色は普段どうなのか

などを、「普段はどうだったかな?」と分かるようにしておくと、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。

また、可能であれば、若いうちは年1回、シニア期には半年に1回程度の定期検診をおすすめしています。

ご家族が多飲多尿に気づいていない場合、獣医師も問診だけではなかなか分からないことがあります。

だからこそ、症状がなくても定期検診の際に血液検査や尿検査を受けることが、病気の早期発見につながる場合があります。


飼い主さんが「水を飲む量が増えた」と気づきやすいパターン

私の診療経験では、飼い主さんが、

「最近、うちの子は水を飲む量が多いです」

と明確に気づいて来院されるパターンには、いくつかあります。

ここで挙げる順番は、病気の発生頻度や多飲多尿の原因としての多さを示すものではありません。

あくまで、私自身の診療経験上、「飼い主さんが水を飲む量の変化に気づきやすい」と感じるパターンです。

私が経験する中では、次のようなものがあります。

  1. 糖尿病
  2. ステロイド剤の内服
  3. 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  4. 中毒
  5. 胃腸炎などの体調不良
  6. 尿崩症
  7. 心因性多飲

では、順番にお話ししていきます。

① 糖尿病

「最近、うちの子がお水をたくさん飲む」ということを主な理由として来院される場合、私の経験では糖尿病が比較的多い印象があります。

もちろん、このようなケース自体がものすごく多いというわけではありません。

ただ、糖尿病の場合は、

  • 急に水をたくさん飲むようになった
  • おしっこの量が増えた
  • トイレ以外でお漏らしをするようになった

など、変化が比較的はっきり出ることがあります。

そのため、ご家族も「何かおかしい」と気づきやすいのではないかと思います。

急な変化という意味では、次にお話しするステロイド剤の内服や、中毒なども比較的気づきやすいパターンです。


② ステロイド剤の内服

ステロイド剤、特にプレドニゾロンを飲み始めた後に、

「急にお水を飲むようになった」

と感じる飼い主さんもいらっしゃいます。

プレドニゾロンでは、

  • 多飲
  • 多尿
  • 多食

がみられることがあります。

特に大型犬では、多飲多尿がかなり目立ち、生活に支障が出てしまうケースを経験することがあります。

その場合は、自己判断で薬を中止するのではなく、早めに処方を受けた獣医師にご相談ください。

また、心臓病などで使用される利尿剤でも尿量が増え、それに伴って飲水量が増えることがあります。


③ 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)も、多飲多尿が顕著に起こりやすい病気の一つです。

多飲多尿に加えて、多食になることもあります。

この病気は、徐々に症状が出てくることが多く、一見すると元気に見えるため、病気だと気づきにくい飼い主さんも多いという印象があります。

一見元気に見えても、体の中では徐々に病気が進行していることがあります。

そのため、気になる変化がある場合には、早めに動物病院で相談していただくことをおすすめします。

治療については、病状や全身状態などを確認したうえで、薬物療法など、その子に適した方法を検討していきます。

一方で、病気がかなり進行していたり、ほかの病気を併発していたりする場合には、治療による負担と得られるメリットを考えながら、緩和ケアを中心にすることもあります。


④ 中毒

中毒による多飲多尿は、それほど多いものではありません。

ただ、私自身が経験したケースで印象に残っているものがあります。

あるワンちゃんが、

「急にお水をよく飲むようになって、おしっこもたくさんするようになった。でも、それ以外は元気」

ということで来院されました。

精密検査を行ったところ、いくつか異常値が見つかりました。

その中で鑑別の一つとして、

「ビタミンD製剤などを飲んでいませんか?」

とご家族にお聞きしたところ、そこでご家族がハッと気づかれました。

実は、ご家族が骨粗鬆症の治療で使用していたビタミンD製剤を、ワンちゃんが誤って飲んでしまっていたのです。

このように、「急に水を飲むようになった」という変化が、思わぬ病気や中毒のヒントになることもあります。


⑤ 胃腸炎などの体調不良

胃腸炎などでも、一時的に多飲多尿がみられるケースがあります。

「お腹の調子が悪い」ということで来院されて、

「そういえば、最近お水もよく飲んでいるかもしれません」

というお話が出てくることがあります。

特に下痢をしているときなどに、飲水量が増えているケースがあります。

もちろん、胃腸炎だから必ず多飲多尿になるというわけではありません。

一時的な胃腸炎が原因であれば、下痢などの症状が改善すると、多飲多尿も落ち着いていくことがあります。

逆に、胃腸炎が治ったのに多飲多尿が続いている場合は、別の原因が隠れていないか確認する必要があります。


⑥ 尿崩症

尿崩症は非常に珍しい病気なので、ほとんどの飼い主さんは出会うことがないと思います。

もしこの病気になった場合は、飲水量や尿量が非常に多くなるため、多くの飼い主さんが「これは普通ではない」と気づかれるのではないかと思います。

そのため、尿崩症については、

「気づけるか、気づけないか」よりも、診断や治療をどう進めていくかが難しい病気

という印象があります。


⑦ 心因性多飲

心因性多飲というものもあります。

これは時々経験するもので、よく観察してくださっている飼い主さんが、

「うちの子、最近やたらと水を飲むんです」

と気づいて相談に来られることがあります。

心因性多飲とは、ストレスや精神的な要因などによって水をたくさん飲む状態です。

ただし、ワンちゃんは「なぜ水をたくさん飲んでいるのか」を自分で説明してくれません。

そのため、心因性多飲と判断するためには、ほかに病気が隠れていないかを一つずつ確認していく必要があります。

実際に詳しくお話を聞いてみると、

  • 実は便が慢性的にゆるかった
  • ご家族が「正常な便の硬さ」を知らなかった
  • 尿路結石の治療食を食べていた

など、別の原因や背景が見つかることもあります。

「心因性だろう」と思って終わりにするのではなく、ほかに隠れている問題がないかを確認することが大切です。


では、なぜ腎臓病は気づきにくいのでしょうか?

ここまで読んで、

「あれ?腎臓病は?」

と思った方もいらっしゃるかもしれません。

実は、私自身の診療経験では、慢性腎臓病で「最近、水をたくさん飲むようになった」ということを主な理由として来院されるケースは、それほど多くないように感じます。

慢性腎臓病は、徐々に変化していくことが多いためです。

少しずつ飲水量が増えていたとしても、

「そういえば昔より飲んでいるかも?」

という程度では、なかなか気づきにくいものです。

そして、症状が出てから来院される場合には、多飲多尿ではなく、

  • 食欲がない
  • 元気がない
  • ぐったりしている

といった症状が、主な来院理由になることが多い印象があります。

その時点では、病気がすでに進行しているケースもあります。

一方で、最近はワンちゃんでも定期検診を受けてくださる方が増えています。

そのため、症状がない段階で慢性腎臓病が見つかるケースも増えてきました。

私個人としては、慢性腎臓病は「症状が出てから見つける」のではなく、できるだけ症状がない段階で発見し、その時点からケアしていくことが大切だと感じています。

詳しくは、こちらの腎臓病のブログでも解説しています。

【慢性腎臓病についてはこちら】


猫ちゃんの慢性腎臓病は、また少し違います

猫ちゃんの慢性腎臓病の場合は、よくよく観察していると、ワンちゃんよりも多飲多尿に気づきやすいケースもあるように感じます。

それでも、

「歩いているから大丈夫」
「走れているから大丈夫」
「ごはんを食べているから大丈夫」

と思ってしまったり、

「うちの子には病気であってほしくない」
「動物病院を嫌がるから、できれば連れて行きたくない」

など、さまざまな理由から受診が遅れてしまうことがあります。

その結果、進行した状態で初めて発見されるケースもあります。

初めましてで、

「末期の慢性腎臓病です」

とお伝えすることは、毎年のようにあります。

そのたびに、私もとてもとても心が痛みます。

できることなら、もう少し早い段階で相談していただきたいと思っています。

ご家族だけでは、なかなか受診しづらいこともあります。

また、飼い主さん自身では気づきにくいケースもあります。

もしお友達やご家族など身近な方のワンちゃん、ネコちゃんについて、

「そういえば、最近お水をよく飲んでいるかも」

と思うことがあれば、受診をすすめてあげてください。

……少し話が逸れました。


「今まで気づかなかった」と、ご自身を責めないでください

ここまで、多飲多尿に気づくパターン、気づきにくいパターンについてお話ししてきました。

急に症状が出る場合は、比較的気づきやすいです。

一方で、慢性腎臓病のように徐々に変化していく病気では、飼い主さんが気づくのが難しいこともあります。

だからこそ、

「若い頃はどのくらい水を飲んでいたかな?」

と、ときどき振り返ってみてください。

そして、可能であれば定期検診も受けていただければと思います。

ただし、今まで気づかなかったからといって、ご自身を責めないようにしてください。

プロでも気づいてあげられないことがあります。

「そういえば、最近ちょっと水を飲む量が増えたかも」

そんな小さな気づきが、病気を見つけるきっかけになることがあります。

この記事が、その「そういえば」と思ったときの、ちょっとしたヒントになれば幸いです。


「最近、水を飲む量が増えたかも」と思ったら

「病気かどうか分からないけれど、最近ちょっと水を飲む量が増えた気がする」

それだけでも、動物病院に相談して大丈夫です。

多飲多尿の原因は一つではありません。

生活環境による一時的な変化の場合もありますし、糖尿病や慢性腎臓病など、検査をして初めて分かる病気が隠れていることもあります。

気になる場合は、

  • いつ頃から変化したのか
  • 以前と比べてどのくらい増えたのか
  • おしっこの回数や量に変化があるか
  • 食欲や体重に変化がないか
  • 飲んでいる薬はないか

などを分かる範囲で教えていただけると、診察の参考になります。

「これくらいで病院に行っていいのかな?」と思うような段階でも、まずはご相談ください。

元気で長生きな幸せなご家族が増えますように。

 

横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介

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