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《消化器》異物誤食(内視鏡・胃カメラ、腸閉塞・腸切開など)④

2022年2月3日

この子は、運悪く腸閉塞を起こしてしまった子です。

異物誤食の癖がある子で、飼い主さんも頑張って気をつけられていたのですが、マットか何かをこっそりと少しずつかじっており、自分の毛と混じって硬い毛玉を作って運悪くそれが十二指腸に詰まってしまいました。

誤食を気をつけられていたため、当初はまさか食べていないだろうと思われましたが、臨床症状や超音波検査やバリウム検査にて閉塞が疑われたため、手術を実施しました。

↓バリウム検査をしています。時間が経ってもこれ以降バリウムが流れていかないことから閉塞が疑われました。

以下、手術の画像がありますので、苦手な方は見ないでください。

(さらに…)

《消化器》異物誤食(内視鏡・胃カメラ、腸閉塞・腸切開など)③

2022年2月3日

異物誤食の難しさは、本当に異物を食べているのか、それが体に悪影響を出しているのか、今後出すのかを判断することにあります。

この症例は、ヒモ状異物の症例です。食欲もあまりなく、何度も吐いてしまうということで、レントゲン検査・バリウム検査をした所、十二指腸にバリウムが残っているという異常所見が認められました。内視鏡検査で確認したところ、これは異物(ヒモ)が引っかかっていたということがわかりました。ヒモは通常のレントゲン検査では写らないことがほとんどです。バリウム検査でも中々診断が難しいのですが、今回はヒモの一部が絡んで塊になり、さらに繊維の中にバリウムが残っていたため、検出ができました。

↓通常のレントゲン写真では明らかな異物の影は認められません(胃が拡張していることは異常です。)

↓バリウム造影をしたレントゲン写真。胃の出口、十二指腸のあたりにバリウムが残っています

↓更に時間が経って大部分のバリウムが大腸に流れているにもかかわらず、一部が十二指腸で止まっています。これは異常です。

内視鏡を用いて、このバリウムが残っている部位に何が起こっているのかを確認したところ、それが異物であったということが判明しました。またこの症例では、糸が一端が舌に引っかかっており、そこから腸まで繋がっていました。ヒモは引っ張ると内臓を引き裂く可能性があるため、食道や胃、腸を傷つけないように、慎重に引っ張り出しました。摘出後は症状が改善し、元気になってくれました。

↓模式図

今回の例はヒモの絡まった部分にバリウムが残ってくれたことで、異常が検出されましたが、絡まっていない部分はバリウム検査でも検出されていません。異物の検出は難しいことが多いため、「食べたかどうか」というご家族のヒントがとても重要になってきます。受診前に是非よくよくご確認頂き、まずいものを食べている場合は、なるべく様子を見ずに早期の対応ををお願いいたします。

《消化器》異物誤食(内視鏡・胃カメラ、腸閉塞・腸切開など)②

2022年2月3日

続いて、内視鏡・胃カメラについてです。

個人的には、吐かせても異物が出てこなかった時や、吐かせると食道に刺さりそうで危ない時などに利用します。

全身麻酔が必要なので、そちらのリスクを考慮しながらとなります。またごはんを食べてしまっていると、処置が難しくなりますので、異物を食べた時に動物病院を受診する際は、ゴハンを与えるどうかは受診前に担当の先生に確認した方が良いです。基本的には絶食が無難ですが、催吐処置をする際には、病院ではゴハンを食べない子は、自宅でゴハンを食べて来てもらった方が良いと判断するケースもあるかもしれません。

 

ここから実際の胃カメラを使った症例についてです

↓レントゲンで胃の中に何かあることがわかります。レントゲンで写ってくれるとわかりやすいです。

飼い主さんは、異物を食べたかどうかわからず、自宅で何度か吐いたけれども、異物が出てこなかったため、胃カメラを実施することになりました。

↓胃カメラで見た胃の中の異物

↓こういった器具を使って異物を取り出します。

↓摘出した異物

摘出した後、麻酔覚醒も良好でしたので、当日夕方には無事帰宅されました。

《消化器》異物誤食(内視鏡・胃カメラ、腸閉塞・腸切開など)①

2022年2月3日

今回は異物誤食について書いてみようと思います。

異物つまり本来食べてはいけないもの誤って食べてしまうこと(異物誤食)は、わんちゃん・猫ちゃんを飼っていると比較的よく経験することです。特に若い内は好奇心が旺盛で、何でも口にしてしまいがちです。本当に「え?なんでこんなものを!?」というような物を食べてしまうことがあります。当院でもしょっちゅうこの異物誤食を経験します。例えば、小石や竹串、梅干しの種、おもちゃ、ヒモ、スーパーボール、肥料、ご家族が飲んでいる薬、洗剤、電池などなどです。

異物を誤食した際、それが大きな物だと腸閉塞を起こしたり、それが中毒物質だと胃腸を溶かしたり、発作を起こしたり、腎不全を引き起こしたり、様々な怖いことが起こり、場合によっては命を落としてしまうことや、後遺症が残ってしまうことがあり、心配なトラブルとなります。

異物を食べてしまった時の対処ですが、基本的には食べてしまったら、なるべく早めに適切な処置をとることが重要です。おもちゃや石、竹串など飲んだ直後、胃の中にあるだけだと特に症状は出ないことがほとんどです。症状が出るのは、おもちゃや石なら、胃の入口や出口あるいは腸に詰まってしまった。竹串なら胃を貫通したなどが起こった時となり、かなり重症で命に関わり緊急手術が必要となります。なので症状が出る前の元気な内に、除去することが重要となります。中毒性物質に関しても、例えば最近はほとんど見かけなくなりましたが、エチレングリコール(不凍液)を誤食した際には、数日後症状が出てからでは手遅れとなるので、飲んだらすぐに治療を開始することが望まれます。

おもちゃや石などを除去する方法には、「吐き気を催すお薬を投与」することで吐かせるという方法がまず挙げられます。それでも出ない時には全身麻酔をかけて胃カメラで除去するという方法があります。それでも出ないようなものの場合には胃を切って取り出すという方法が検討されます。

それぞれの処置にはメリットとデメリットがあるので、異物がどんなものであるかで、治療方針を検討する必要があります。場合によっては敢えて様子を見て、便から出てくるのを待った方が良いというケースもあります。そこで重要となるのが、本当に食べたか、丸飲みだったのか、小さくしてなのかとなります。これは飼い主さんにしかわからない(飼い主さんもわからないことも多々ありますが)ことなので、よーくよくご家族や部屋の中をご確認ください。レントゲン検査でわかるケースもありますが、基本的には金属や骨などの密度の高いものに限られてしまいます。

《消化器》腸重積

2021年4月4日

春ですね。ウチの病院の桜も満開となり、小さなお花見を楽しんでいます。

今日は「腸重積」というちょっと珍しい病気について書いてみようと思います。

腸重積とは、腸の一部が腸管内に入り込んでしまい抜けなくなった状態をいいます。治療には多くの場合手術が必要になるような重篤なトラブルです。

腸重積が発生する原因としては、異物、感染症(ウイルス、寄生虫など)、腫瘤などが挙げられます。ただこれらのトラブルがあるから必ずしもなるというわけでもなく、珍しい病気ではあります。運の要素も大きいのかもしれませんが、予防のためには異物の誤食を気をつける、ウイルス疾患の予防の為のワクチン接種や、特に若い時期は寄生虫が多いので駆虫の実施。胃腸のトラブルがあるようなら早めに治療を受けるといったことが考えられます。

症状は、嘔吐、下痢、元気消失、食欲不振、腹痛などが見られます。どんどんぐったりとしていき、ショック状態となり最終的には亡くなってしまいます。

急に何回も吐き始めて、ごはんを全然食べない。元気が無く動かない。お腹を丸めて痛そうにしている。水もほとんど飲めない。どんどん調子が悪くなっている。など飼い主さんからお話を受けることがあります。

診断にはまずは身体検査や問診を実施しますが、レントゲン検査(バリウムやガストログラフィンなどでの造影検査)、超音波検査などの画像診断が有用なケースが多いです。全身状態の把握や他の病気が無いかチェックをする為、血液検査や尿検査などが実施されるケースも多いかと思われます。

↑とてもわかりにくいですが、超音波検査での重積部の画像です。腸管はちくわみたいな管状の臓器で、重積するとちくわの中にちくわが入っているような画像となります(わかりにくい)。

治療は基本的には手術となります。重積により血行障害が起こり、腸管が壊死を起こしているケースも多く、部分的な腸管の切除が必要となるケースが多いです。

 

改めて腸重積は急に起こる重篤なトラブルとなります。担当の先生に「緊急手術が必要な状態です」と言われびっくりしてしまうかもしれません。昨日まで元気だったウチの子が何で?と思われるかもしれませんが、まれに前触れも無く起こってしまいます。どのようにしてあげるのが良いか、ご担当の先生とよくよくご相談して頂ければと思います。

(※下は手術の写真がありますので、苦手な方は見ないでください。)

(さらに…)

《消化器》異物誤食(消化管閉塞、穿孔、中毒)

2018年10月26日

横浜のタウンニュースで「無電柱化」の記事を最近読んだのですが、そういえば都筑区でも電柱がない所がありますね。言われてみないと中々気がつかないものですね。電柱を無くすことで景観の改善と、電柱倒壊での電力供給が途絶えるリスクの改善が可能なのだそうです。うちの動物病院の周りも無電柱化してもらいたいです。

今回は誤食について少し書かせて頂こうと思います。ご経験のある方も多いのではないかと思いますが、ワンちゃん猫ちゃんは時に予想しないような物を食べてしまうことがあります。いわゆる誤食(異物誤食)です。たまねぎ、チョコレート、ぶどう、トウモロコシの芯、梅干しの種、モモの種、焼き肉の骨、竹串、スーパーボール、洗濯バサミ、人形、ボタン、お金、アイスノン、肥料、農薬、電池、ビニール、紐、靴下などなど、私が相談を受けた物でパッと出るだけでもこれくらいあります。代診時代はほぼ毎日何かしら食べてしまったというご相談がありました。

そもそも誤食がなぜ怖いかというと、消化管閉塞、消化管穿孔、中毒などを引き起こし、場合によっては亡くなってしまうこともあるからです。

誤食をしてしまった場合は、なるべく早めにかかりつけの動物病院にご相談下さい。早ければ治療の選択肢も色々とありますし、重症になる前に問題が解決することも多いです。特にエチレングリコールを含んだアイスノンの場合は、症状が出た段階で、取り返しのつかない段階になっていることが多いので、様子を見ずに速やかに受診して下さい。あと慌てないようにもしてください。食べたかもしれない、食べたかどうかわからないということでご相談を頂くことがあるのですが、もう一度落ち着いてお部屋を探して頂くと、実は食べていませんでした、ということもあります。慌てずされど早めの行動をお願いします。