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犬が急にご飯を食べない|食欲不振の原因と動物病院に行く目安

2026年9月12日

「いつもは喜んでご飯を食べるのに、今日は全然食べない」

「大好きなおやつも食べないけど、少し様子を見ても大丈夫?」

「犬が急にご飯を食べなくなったけど、動物病院に行ったほうがいい?」

犬と暮らしていると、このような経験をすることがあります。

犬がご飯を食べない原因は、単なる食欲のムラや環境の変化から、胃腸炎、歯や口の痛み、膵炎、腎臓病、肝臓病、異物誤食など、さまざまです。

特に注意したいのは、「ご飯を食べない」という症状だけでは、原因の重さを判断できないことです。

この記事では、犬が急にご飯を食べなくなったときに考えられる原因や、様子を見てもよいケース、早めに動物病院を受診したほうがよいケースについて解説します。


犬が急にご飯を食べないとき、まず確認したいこと

犬がご飯を食べないときは、まず「食べない」ということ以外に変化がないか確認してみましょう。

① 元気はありますか?

普段と変わらず元気に歩き回っているのか、それとも寝ている時間が明らかに増えているのか。

食欲だけが落ちているのか、元気もなくなっているのかは重要なポイントです。


② 水は飲んでいますか?

水を普段通り飲んでいるかも確認しましょう。

ご飯を食べないだけでなく、水もほとんど飲まない場合には、脱水などにも注意が必要です。


③ 吐いたり、下痢をしたりしていませんか?

食欲不振と一緒に、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 軟便
  • 血便
  • 吐きそうな仕草

などがないか確認しましょう。

食欲不振に消化器症状が加わっている場合には、単なる食欲のムラではなく、胃腸の病気などが隠れている可能性があります。


④ 痛そうにしていませんか?

「触ると嫌がる」

「お腹を丸めている」

「祈るような姿勢をする」

「落ち着かず、何度も姿勢を変える」

などがないか確認してください。

犬は痛みを言葉で伝えることができません。

食べないことが、痛みのサインとして現れている場合もあります。


⑤ おやつや好きなものなら食べますか?

いつものドッグフードは食べないけれど、おやつは食べるという場合もあります。

この場合、単純な食欲低下ではなく、

  • フードに飽きた
  • おやつをもらえると学習している
  • フードの匂いや味が気に入らない

などの可能性も考えられます。

ただし、「おやつを食べるから病気ではない」とは限りません。

病気の初期には、食欲が少し落ちているだけということもあります。


犬がご飯を食べない原因

犬の食欲不振にはさまざまな原因があります。

① 一時的な食欲の変化

元気があり、その他に目立った症状がない場合には、

  • 暑さ
  • 運動量の変化
  • 環境の変化
  • ストレス
  • おやつの食べすぎ
  • フードの変更

などによって一時的に食べなくなることがあります。

例えば、旅行や引っ越し、ホテルに預けた後など、普段と違う環境がきっかけになることもあります。


② 胃腸の不調

胃腸炎などによって食欲が低下することがあります。

食欲不振に加えて、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 軟便
  • お腹が鳴る
  • 元気がない

などが見られる場合は注意が必要です。


③ 歯や口の中の痛み

「食べたいのに食べられない」というケースもあります。

例えば、

  • 歯周病
  • 歯の破折
  • 口内炎
  • 口の中の腫瘤
  • 歯肉の炎症

などです。

「ご飯を食べない=胃腸の問題」とは限りません。

特に、

食べ物を口に入れようとするけれど途中でやめる

硬いフードを嫌がる

食べにくそうにする

といった様子があれば、口の中の痛みも考える必要があります。


④ 膵炎などの消化器疾患

犬では膵炎によって食欲が低下することがあります。

食欲不振に加えて、嘔吐や下痢、腹痛、元気消失などが見られることがあります。

特に、

「急に食べなくなった」+「元気がない」+「吐く・お腹が痛そう」

という場合には、単純な食欲のムラだと決めつけないことが大切です。


⑤ 異物誤食・腸閉塞

犬が何かを食べてしまった後に食欲がなくなった場合は、異物誤食にも注意が必要です。

おもちゃ、布、ビニール、紐、骨など、犬が誤って飲み込んでしまうものは少なくありません。

異物によって消化管が詰まると、

  • 食欲がない
  • 嘔吐
  • 元気がない
  • お腹を痛がる
  • 便が出ない

などの症状が見られることがあります。

異物誤食は、「そのうち便と一緒に出てくるだろう」と様子を見ているうちに状態が悪化することがあります。

「何か食べたかもしれない」という場合には、早めに動物病院へ相談しましょう。


⑥ 腎臓病・肝臓病などの全身性疾患

食欲不振は、胃腸だけの問題とは限りません。

腎臓病や肝臓病など、全身の病気でも食欲が低下することがあります。

特に、

  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増えた
  • 体重が減ってきた
  • よく吐く
  • 元気がない
  • 毛艶が悪くなった

など、以前から別の変化がある場合には注意が必要です。


犬が1食食べないだけなら様子を見てもいい?

ここは飼い主さんから非常によく聞かれる質問です。

元気があり、水も飲めていて、嘔吐や下痢などの症状もなく、普段と大きく変わらない場合には、1食程度食べないだけで必ずしも緊急というわけではありません。

ただし、犬の年齢や持病、普段の食欲などによって判断は変わります。

例えば、

  • 子犬
  • 高齢犬
  • 持病がある犬
  • もともと体調を崩しやすい犬
  • 最近体重が減っている犬

などでは、食欲不振を長く様子見しないほうがよい場合があります。

また、「何時間食べなかったら絶対に大丈夫」という明確な基準があるわけではありません。

食べない時間だけではなく、犬の全身状態を見ることが大切です。


こんな場合は早めに動物病院へ

次のような症状がある場合は、様子を見すぎず動物病院への受診をおすすめします。

食べない+元気がない

いつもなら動き回る時間なのに、ずっと寝ている。

呼びかけへの反応が悪い。

散歩に行きたがらない。

このような場合は注意が必要です。

食べない+嘔吐

何度も吐いている場合や、水を飲んでも吐いてしまう場合は、早めの診察が必要です。

食べない+下痢・血便

下痢が続いている、血便が出ている、便の状態が明らかにおかしい場合も受診を検討しましょう。

食べない+腹痛がありそう

お腹を丸める、触られるのを嫌がる、落ち着かない、祈るような姿勢をするなどの場合は、腹痛を伴っている可能性があります。

水も飲まない

ご飯だけでなく水もほとんど飲まない場合には注意が必要です。

異物を食べた可能性がある

「何を食べたかわからないけれど、何かを口にしていた」

という場合も、早めに動物病院へ相談しましょう。


特に注意したい「食べない」サイン

飼い主さんに覚えておいていただきたいのは、

「食べないこと」そのものよりも、「食べない+何か別の症状がある」ことです。

例えば、

食欲 その他の様子 対応
食べない 元気・水分・排便など普段通り 短時間なら様子を見られる場合も
食べない 元気がない 早めに受診
食べない 嘔吐・下痢 早めに受診
食べない 腹痛がありそう 早めに受診
食べない 水も飲まない 早めに受診
食べない 異物を食べた可能性 早めに相談
食べない ぐったりしている できるだけ早急に受診

もちろん、これはあくまで目安です。

犬の年齢や体格、持病、症状の程度によって判断は変わります。


動物病院では何を調べる?

食欲不振で来院した場合、まずは飼い主さんから、

  • いつから食べないのか
  • どのくらい食べていないのか
  • 水は飲んでいるか
  • 嘔吐や下痢はあるか
  • 便や尿に変化はあるか
  • 何か変なものを食べていないか
  • フードを変更したか
  • 最近体重が変化していないか

などをお聞きします。

そのうえで身体検査を行い、必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを組み合わせて原因を探していきます。

特に異物誤食や消化管のトラブルが疑われる場合には、画像検査が重要になることがあります。


「元気だから大丈夫」とは限りません

犬は体調が悪くても、初期にはそれほど明らかな症状を見せないことがあります。

「昨日まで普通だったのに、今日はご飯を食べない」

という変化が、病気の最初のサインになっていることもあります。

一方で、1食食べなかったからといって、必ず重い病気というわけでもありません。

大切なのは、

「食べない」という症状だけを見るのではなく、元気・水分・嘔吐・下痢・排便・排尿・痛みなどを一緒に観察することです。


まとめ|犬が急にご飯を食べなくなったら

犬が急にご飯を食べなくなったときには、まず以下を確認してみましょう。

  • 元気はある?
  • 水は飲めている?
  • 吐いていない?
  • 下痢や血便はない?
  • お腹を痛がっていない?
  • おしっこ・うんちは普段通り?
  • 何か異物を食べていない?
  • 口の中を痛がっていない?
  • 最近、体重が減っていない?

食欲だけが一時的に落ちていて、元気や水分摂取などが普段通りなら、短時間であれば様子を見られるケースもあります。

しかし、

「食べない+元気がない」
「食べない+吐く」
「食べない+下痢」
「食べない+腹痛」
「食べない+水も飲まない」
「異物を食べた可能性がある」

といった場合には、様子を見すぎず動物病院へご相談ください。

「これくらいで病院に行っていいのかな?」と思われる程度でも、心配な場合は一度ご相談いただくことをおすすめします。

犬の食欲不振は、単なる食欲のムラから治療が必要な病気まで原因がさまざまです。

愛犬の「いつもと違う」という変化を大切にしてあげましょう。

 

横浜もみじ動物病院

獣医師 中西 啓介