

神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001

2026年9月11日
「最近、愛犬がよく水を飲むようになった」
「水入れの水が以前より早くなくなる」
「おしっこの量や回数も増えた気がする」
このような変化はありませんか?
暑い日や運動した後など、一時的に水をたくさん飲むことは珍しくありません。
しかし、以前と比べて明らかに水を飲む量が増え、それが何日も続いている場合には、病気が隠れている可能性があります。
犬の「水をたくさん飲む」「おしっこが増える」という症状は、動物病院では**「多飲多尿(たいんたにょう)」**と呼ばれ、さまざまな病気で見られる重要なサインの一つです。
今回は、犬が水をたくさん飲むときに考えられる原因や、動物病院を受診する目安について解説します。
犬が飲む水の量には個体差があります。
気温や運動量、食事の内容などによっても飲水量は変わるため、「この量なら必ず病気」という明確な基準があるわけではありません。
一般的には、1日に体重1kgあたり100mL以上の水を飲む状態は、多飲を疑う一つの目安とされています。
例えば、
| 犬の体重 | 1日100mL/kgの場合 |
|---|---|
| 3kg | 300mL |
| 5kg | 500mL |
| 10kg | 1,000mL |
| 20kg | 2,000mL |
となります。
ただし、これはあくまで目安です。
ドライフードを中心に食べている犬と、ウェットフードを食べている犬では、食事から摂取する水分量が異なります。また、暑い時期や運動量が多い日には、健康な犬でも飲水量が増えることがあります。
そのため、数字だけで判断するのではなく、
「以前と比べて明らかに水を飲む量が増えたか」
という変化を見ることも非常に大切です。
「多飲多尿」とは、その名前の通り、
という状態を指します。
水をたくさん飲むから、おしっこの量が増えることもあります。
一方で、病気によって尿をたくさん作るようになり、その結果として体から水分が失われ、喉が渇いて水をたくさん飲むという場合もあります。
つまり、
「水をたくさん飲んでいる」という症状だけでは、原因を判断することはできません。
多飲多尿を起こす原因には、腎臓の病気や糖尿病、ホルモンの病気など、さまざまなものがあります。
犬の多飲多尿で考えられる代表的な病気の一つが、慢性腎臓病です。
腎臓には、血液から老廃物を取り除くだけでなく、尿を濃縮して体に必要な水分を保つ働きがあります。
腎臓の機能が低下すると、尿を十分に濃縮することができなくなり、薄い尿をたくさん出すようになることがあります。
その結果、
「おしっこの量が増える」
↓
「体から水分が失われる」
↓
「水をたくさん飲む」
という変化が見られるようになります。
初期の慢性腎臓病では、食欲や元気が保たれていることもあります。
そのため、
「元気そうだから大丈夫」
とは限りません。
以前より水を飲むようになった、おしっこの量が増えたという変化があれば、一度検査を受けることをおすすめします。
糖尿病も犬の多飲多尿の代表的な原因です。
糖尿病では血液中のブドウ糖が増えます。
血糖値が高くなると、尿の中にも糖が排泄されるようになります。尿中の糖が増えることで水分も一緒に排泄され、尿量が増加します。
そのため、
といった症状が見られることがあります。
「食欲はあるのに痩せてきた」「以前より水をよく飲む」という場合には注意が必要です。
犬では、**クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)**でも多飲多尿がよく見られます。
クッシング症候群は、体内でコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。
多飲多尿のほかにも、
などの症状が見られることがあります。
特に中高齢の犬で、
「最近、水をよく飲むようになった」
「食欲がすごく増えた」
「お腹が以前よりぽっこりしてきた」
という変化が重なっている場合には、一度ご相談ください。
避妊手術を受けていない女の子では、子宮蓄膿症にも注意が必要です。
子宮蓄膿症は、子宮の中に細菌感染が起こり、膿がたまる病気です。
多飲多尿のほか、
などの症状が見られることがあります。
ただし、陰部から分泌物が出ないタイプの子宮蓄膿症もあります。
そのため、「陰部から何も出ていないから子宮蓄膿症ではない」とは言い切れません。
避妊手術をしていない女の子で、急に水をたくさん飲むようになった場合には、特に注意が必要です。
犬の多飲多尿は、腎臓病や糖尿病、クッシング症候群だけで起こるわけではありません。
その他にも、
などが原因となることがあります。
つまり、
「水をたくさん飲む=糖尿病」
「水をたくさん飲む=腎臓病」
というように、症状だけで病気を決めることはできません。
血液検査や尿検査などを組み合わせて、原因を探していくことが大切です。
愛犬に以下のような変化がある場合には、一度動物病院で相談することをおすすめします。
特に、水をたくさん飲む状態とおしっこの増加がセットで続いている場合には、一度検査を受けることをおすすめします。
「水をたくさん飲むだけで病院に行っていいの?」
と思われる飼い主さんもいるかもしれません。
多飲多尿の原因を調べる場合、まずは飼い主さんから詳しくお話を伺います。
例えば、
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて、
腎臓、肝臓、血糖値、電解質などを確認します。
尿の濃さ、尿糖、タンパク、炎症などを確認します。
腎臓や肝臓、副腎、子宮などの状態を確認することがあります。
クッシング症候群など、ホルモンの病気が疑われる場合に追加で検査します。
このように、多飲多尿という一つの症状から、必要な検査を組み合わせて原因を探していきます。
「うちの犬、本当に水を飲みすぎなのかな?」
と思ったら、まずは24時間の飲水量を測ってみるのもおすすめです。
水を入れるときに量を測り、途中で水を追加した場合にはその量も記録します。
そして24時間後に残っている水の量を引けば、おおよその飲水量が分かります。
また、
などをメモしておくと、診察時の重要な情報になります。
多飲多尿が見られる犬では、
「おしっこが多いから、水を飲ませる量を減らそう」
と考えてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、病気によって体から水分が失われている場合、犬はその不足分を補うために水を飲んでいる可能性があります。
そのため、自己判断で水を制限することは避けてください。
水はいつでも飲めるようにしたうえで、飲水量が増えている原因を調べることが大切です。
犬が水をたくさん飲む原因は、暑さや運動などによる一時的なものから、腎臓病、糖尿病、クッシング症候群などの病気までさまざまです。
大切なのは、
「うちの犬は昔からよく飲むから」
と決めつけるのではなく、
「以前と比べて変化していないか」
を見ることです。
特に、
「水を飲む量が増えた」+「おしっこが増えた」
という変化が続いている場合には、元気や食欲があっても一度動物病院で相談してみましょう。
早い段階で病気を見つけることができれば、その後の治療や生活管理につながる場合があります。
横浜もみじ動物病院では、飼い主様からお話を伺いながら、その子の状態に合わせて必要な検査をご提案しています。
「病気かどうか分からないけれど、最近ちょっと水を飲む量が増えた」
という段階でも構いません。
愛犬の飲水量やおしっこの変化が気になる場合は、お気軽にご相談ください。
横浜もみじ動物病院
獣医師 中西 啓介