

神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001

2026年3月12日
去年の秋、山下公園で開催された獣医師会の無料相談会に参加しました。午前中だけでも何人もの飼い主さんとお話できて、とても新鮮で楽しかったです。
その中で多かった質問が、「そろそろ歳をとってきたので、健康診断をしたいけれど、何をしたら良いですか?」という内容でした。今回はこの質問に基づき、私見も交えて犬猫の健康診断についてまとめてみます。
人の場合、仕事や法律に基づき、定期健康診断やがん検診の受診が決まっていることがあります。学生さんや働いていない方でも、市町村から検診案内が届くことがあります。
一方、犬猫には法律で決まった定期検診はありません。ペットショップやブリーダーなどの業者では獣医師による定期健診が義務付けられていますが、一般飼い主さん向けは「推奨レベル」に留まります。
明確な公的な答えがないため、「何をしたら良いですか?」という質問が自然に出るわけです。
年1回の定期健康診断を推奨
例として以下の項目が挙げられます:
体重・体温・心拍・呼吸
血液検査(肝臓・腎臓・貧血など)
尿検査
便検査
歯・口腔・皮膚・耳・目のチェック
高齢犬・猫はより詳細な検査が推奨されます
健康な犬・猫:年1回
高齢ペット:年2回以上が望ましい
内容例:
体重、体温、心拍、呼吸
歯・口腔・皮膚・耳・目
血液・尿・便検査
必要に応じて心臓や腫瘍のスクリーニング(※症状のない健康な動物から病気の疑いを選別する検査)
研究によれば、定期的に健康診断を受けている犬猫は、そうでない子よりも長生きする傾向があります。
私見を交えると、健康診断でまず重視すべきは「問診と身体検査」です。
腕の良い獣医師なら、これだけでもかなりのことを見抜くことがあります。
次におすすめは「血液検査+尿検査」です。犬猫の三大死因は順序は異なりますが、①がん、②心臓病、③腎臓病です。
心臓病は聴診で早期発見できることが多い
腎臓病は血液・尿検査が最も有効で、近年ではSDMAやシスタチンCなど、早期発見に役立つ項目もあります
さらに余裕があれば、レントゲン検査や超音波検査もおすすめです。若いうちに先天的な問題の有無を確認したり、年齢を重ねた時に比較対象として役立ちます。
便検査は、特に子犬・子猫や外猫の場合に寄生虫の確認として重要です。
歯科検診も重要です。こちらは別のブログを参考ください。
健康診断でできることは、あくまで検査ごとの範囲内です。
血液検査でわかるのは血液の情報だけ
骨折や一部の臓器の問題は、血液検査だけではわかりません
スクリーニングで「怪しい」とわかっても、確定診断には生検(細胞や組織の顕微鏡検査)が必要です
「全ての病気が一回の健診でわかる」と考えるのは間違いです。しかし、それでも様々な病気の早期発見につながり、健康寿命や寿命を伸ばす助けになります。
がんマーカーは存在しますが、「陽性=今がんがある」ではなく、「陰性=がんなし」とも限りません。そのため、単独での確定診断には使えません。
急速に進行する悪性腫瘍(乳腺癌、リンパ腫、脾臓血管肉腫など)は、発見時には末期の場合もあります
健康診断の主な目的は、こうした急速進行がんの早期発見ではなく、リスク評価や生活習慣病の早期発見です
しかし、悪性度の低いがんや、幸運にも早期に発見できるケースもあり、健診の意義は十分にあります
犬猫の健康診断は法律で義務付けられていないため、内容は病院や獣医師によって異なります
基本は年1回の問診・身体検査・血液検査・尿検査・便検査
レントゲン・超音波は余裕があれば追加
健診には限界がありますが、早期発見・健康寿命延伸に大きな意義があります
がんマーカーやCTだけに頼らず、総合的に評価することが大切です