神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001
2021年5月7日
今年もゴールデンウィークが終わりました。冬に葉っぱが全て落ちてしまい、ダメになってしまったのかと心配していた紫陽花が、今年も綺麗な花を咲かせてくれようとしています。
今回は、チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出・逸脱)について書いてみようと思います。
ワンちゃん、ネコちゃんの眼には人には無い構造物がいくつかあります。その1つが第三眼瞼(だいさんがんけん)もしくは瞬膜(しゅんまく)となります(第三眼瞼=瞬膜)。第三眼瞼つまり第3のまぶた、その名の通り3枚目のまぶたがワンちゃん、ネコちゃんを始め多くの動物に存在しています。その第三眼瞼の根元部分にある涙を分泌する第三眼瞼腺がひっくり返って出てくるのが、チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)というトラブルです。
↑左目の内側から出ている眼を覆う膜が第三眼瞼です。こちらは充血しています。
↑こちらは逆側の右目です。瞬膜腺がポコっと出ています。チェリーアイです。
チェリーアイは、ビーグル、アメリカン・コッカー・スパニエル、ブルドッグ、チワワなどの犬種に見られ、特に若いワンちゃんに多くみられます。先天的に第三眼瞼腺の固定が脆弱なことが原因の1つと考えられています。また年齢に関係なく目の炎症や外傷などによっても引き起こされることがあります。
症状としては、第三眼瞼腺が腫大し、第三眼瞼から飛び出して赤く腫れあがった状態になります。この結果、腫れあがった第三眼瞼腺が目を直接刺激することや、目の不快感でワンちゃん自身が目をこすったりするために涙が出たり、結膜炎や角膜炎を併発することがあります。多くの場合、目に何か出来物がある、目が腫れている等でご相談を受けます。
治療法はいくつかあります。点眼薬や内服薬の投与により、飛び出した第三眼瞼腺の炎症を軽減させる。大人しい子でしたら局所麻酔のみで反転した第三眼瞼腺の位置を戻すなどがありますが、再発しやすいです。再発をくり返す場合や、完治しない場合には外科手術によって固定・整復が検討されます。手術法は以前は切除が行われることもあったようですが、近年では第三眼瞼腺が涙の多くを産生している組織であり、切除することにより、ドライアイの原因となりうるということがわかったため、切除をせずに固定術を実施することがすすめられています。そのままにしておくことでもドライアイの発症リスクがあがるため、可能なら積極的な治療が検討されます。外科手術の場合は基本的には全身麻酔が必要となりますので、麻酔をかけられる状態なのかも含めてのご相談となります。担当の先生によって、色々なご意見があるかと思われますので、担当の先生と治療に関してよく相談してみてください。
↑チェリーアイになった子の第三眼瞼をめくった状態です
↑第三眼瞼を元の状態に戻して、固定した所で
※初診の方のお電話での詳しい相談はご遠慮願います。まずはかかりつけ医とご相談ください。それでもお困りでしたら診察を受けて頂き、直接お話をさせてください。