ブログ|横浜もみじ動物病院|都筑区仲町台|犬猫|鍼灸・漢方・ペットホテル

045-532-9779

045-532-9779

横浜もみじ動物病院ネット予約
〒224-0041

神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001

診療時間
9:00~12:00
15:00~19:00

休診日:水曜
:院長診療は予約優先制です。予約なしでも受診いただけます
:完全予約診療・初診の方は18時、再診の方は18時30分が最終受付となります(急患の場合はご相談ください)

診療時間外は夜間病院へご相談ください

診療時間外診療

ブログ
ブログ
ブログ

腎臓病①

2025年3月21日

今回は腎臓病について書かせて頂こうと思います

腎臓病は、わんちゃんの死因の第3位、猫ちゃんの死因の第1位と言われている病気です。

腎臓は、肝臓の細胞などとは異なり、再生能力が乏しく、一度壊れてしまうと基本的には回復しません。人は正常なケースだと1〜2歳くらいまでに成人と同じくらいの腎臓の機能が備わると言われています。動物も生まれてからしばらくしてから大人と同じ機能になるのではないかと思われますが、この機能がゆっくりと低下していった場合は20%くらいに落ちると、様々な症状が出て、更に0に近づくと命を落としてしまします。

 

腎臓の病気には様々なパターンがあります。

様々なパターンがあるので、偉い先生方が病気を考えやすくするために、「急性腎障害」と「慢性腎臓病」という2種類の大まかに分けてくださいました。

 

急性腎障害とは、急な腎臓のダメージ、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。

代表的な急性腎障害の原因としては、猫ちゃんの尿道閉塞です。おしっこは腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱で一時的に貯められて、尿道を通り陰部から排泄されます。猫ちゃんの男の子は特に、尿道の出口が狭いので、詰まってしまうことがあります。尿が詰まると24時間くらいで、膀胱がパンパンになり、腎臓への障害(ダメージ)が起き始めます。個人的な経験では、初期は何度もトイレに行っては出ない、出ても少量、トイレ以外の場所で、尿をしようとする、血尿が出るなどの症状が出ていると伺います。そして2日以上経ち始めると、食欲が無くなり、嘔吐をし、ぐったりしてくることが多いです。この時点で検査をすると、血液検査にて尿素窒素やクレアチニンなどが重度に上昇しているケースが多いです。尿道のつまりを解除すると真っ赤な血尿が出ることが多く、飼い主さんがびっくりされるケースも多いです。腎臓へのダメージが少ない早期の段階で治療をすれば、助かることが多いのですが、治療が遅れれば遅れるほど、腎臓へのダメージが蓄積していって、場合によっては亡くなってしまうことがあります。また生き残ってくれた場合でも後遺症が残ることがあります。いかに早期に気づいてあげられるかが、とても重要なポイントとなります。

↑この子は、急に何度もトイレに行くようになって、おしっこが出ないということで来院されました。

膀胱の中に、白いモヤモヤがあります。これは膀胱結石です。

↑よくよく、骨盤の後ろのあたりを見てみると、赤い円の中に小さな結石があります。これが詰まったのだと考えられました。男の子の尿道は女の子よりも細く、詰まりやすいです。

↑赤い矢印の先の白い線は尿道カテーテルです。カテーテルを使って、尿道で詰まっていた結石を膀胱の中に戻し、尿を抜きました。青い矢印の先にあるのが、多数の砂粒のような膀胱結石です。この子は、尿検査から溶けないタイプのシュウ酸カルシウムが疑われたのですが、運よく漢方薬で結石が無くなりました。溶けないタイプの結石は通常手術が検討されます。

 

急性腎障害の原因には、他に毒物があります。例えばエチレングリコール、昔はアイスノンの不凍液として利用されていました。私自身も3件くらい経験がありますが、食べて数日して症状が出た状態でご来院された方は残念ながらほぼ助かりません。食べてすぐの元気な状態でご来院頂き、催吐処置をして毒物を排泄させるや、解毒剤の投与をするなどをした子は、幸い助かりました。アイスノンには最近では安全性の高い化合物を使われるようになったので、事故は減りましたが、最近BBQの火起こしの際のジェルタイプの着火剤に、エチレングリコールが入っているのを見かけたので、注意が必要かもしれません。エチレングリコールは甘い味がするのだそうです。またブドウやレーズンも腎臓への毒性があるので要注意です。毒物以外では、レプトスピラ感染症でも起こります。2024年には横浜でも2件ほど発生の報告があります。レプトスピラ感染症には予防接種という方法もあります。

↑健康な時の腎臓の超音波画像・そら豆のような形をしています。

↑尿路感染・腎盂腎炎に伴う急性腎障害を引き起こした時の同一猫の超音波画像

腎臓が少し大きくなっています。

↑よく見ると、尿が出ていく部位である腎盂の拡張を認めます。敗血症の併発も疑われました。感染症と敗血症に伴う急性腎障害の症例。感染のコントロールなどで改善しました。

 

 

一方で、慢性腎臓病とは、「腎臓の障害(ダメージ)」や「一定レベル以下の腎機能低下」が3ヶ月以上続いている状態の総称です。腎臓の障害には腎臓の形態異常や蛋白尿があります。急性腎障害の後遺症として、慢性腎臓病へと移行することがあります。

 慢性腎臓病の症状として飼い主さんが気付かれるのは、わんちゃんと猫ちゃんでは嘔吐と食欲不振が多いです。体重減少に気づかれる方もいらっしゃいます。猫ちゃんでは水をよく飲んで、たくさんのおしっこをするということも比較的多くの飼い主さんが気付かれます。

 慢性腎臓病の厄介なことの1つは、症状が出た時には病状が進んでいることが多く、特にわんちゃんの場合は、一般的にはステージ3あたりから症状が出始め、症状が出て検査をしてもらったら、余命が1年もないと言われてしまうことがあります。腎臓は一度悪くなると回復しないので、とにかく早い段階でトラブルを見つけてあげることが大切になります。

↑加齢に伴う慢性腎臓病の場合は、最初は左右2つある腎臓の内、機能が低下した片方の腎臓が萎縮していくことが多いです。下の正常な腎臓が4cmあるのに対して、3cmくらいになっています。片側だけの腎機能の低下の場合は、もう片側が頑張って働かないといけないので、大きくなることがあります(代償性肥大)。さらに病状が進行して、両方とも腎機能が低下すると、両方の腎臓が小さくなっていきます。

↑別の健康な子の腎臓

 

↑これは猫ちゃんのレントゲンです。猫の正常な腎臓の長さは、背骨2つ分(4cmくらい)くらいで、この子は明らかに両側の腎臓が大きくなっていることがわかります(6cmくらい)。

↑同一の子の超音波画像、腎臓に多数の嚢胞が形成していることがわかりました。多発性嚢胞腎という遺伝性疾患が考えられました。生まれてから徐々に腎臓に液体を溜めた嚢胞が形成されていき、数が増えていき、腎臓の組織が徐々に破壊され、腎機能が低下していきます。予防法はありません。この子がこの画像の状態になった時には、末期の腎臓病でした。

↑これはリンパ腫の猫ちゃんの腎臓です。下は同じ子で健康な時の腎臓です。上は下に比べて、ボコボコした構造をしており、サイズが大きくなっています。上は下の検査をした2ヶ月後の画像です。わんちゃんの腫瘍は比較的ゆっくりと進行することが多いのですが、猫ちゃんの場合は、急激な発症で、進行もとても早いです。

 

腎臓は一度悪くなると基本的には回復しないので、早期発見・早期治療がとても重要となります。また上記のように原因が様々なので、その原因や病期によって、また動物の状態や、飼い主さんのご希望などで治療法が多岐にわたります。