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《予防》しつけのお悩みについて3 質問形式で

2023年2月21日

今回書かせて頂く内容が、全て正しいとは限りません。何かヒントとなれば幸いです。

 

Q1:問題行動(噛む、何かを齧る、糞食をする、吠える等等)を起こしているのですが、どうしたら良いですか?

A1:多くの飼い主さんが、すでに起こっている問題行動を簡単に治せないか?と期待を込めて質問されるのですが、大変申し訳ないのですが、「簡単には治せないことが多いです」が答えです。なぜなら今その行動を起こしている背景には、たくさんの原因、そうさせている生活習慣や性格や時には病気が隠れていることがあるからです。大体何かの診察のついでに、ご質問を受けるのですが、ついでの話にならなくて、キチンと答えようとすると、それだけで下手したら何十分も話すような「本気」の話となります。飼い主さんとワンちゃんの、生活習慣や考え方を根本から変えてもらう必要があるケースがあり、それを一言で答えてくださいというのは、とても難しいです。もし問題行動を治したいと考えておられるようでしたら、かなりの熱意とご家族全員の協力が必要となるケースが多いです。また噛むなどといった重大な問題行動を改善させる際には、間違ったしつけや解釈をされると逆効果となり、大怪我をしてしまうこともありますので、本噛みのしつけに関してはプロトレーナーの個人指導を受けられることをオススメします。

問題行動の対処として大切なことは、まずは「予防」です。どんなことをされたら困るかを先に勉強をしておいて、成犬になって問題行動が起こらないよう、子犬の頃からの生活習慣・しつけで「予防」することが大切です。

例えば、「私達がゴハンを食べていると、ゴハンをとても欲しがるんです。」というご質問。これはそもそも飼い始めた段階で、ワンちゃんの目の前でゴハンを食べるような環境にしないことが大切だと思います。

目の前で美味しそうな匂いのする物を食べる。そして実際与えてみて味がわかる、いつものフードよりも格段に美味しい物を、以後も目の前で食べ続ける。欲しいなとワンちゃんは思うでしょう。人間でもそうじゃないでしょうか?それをダメと言う。それって順番が違いませんか?まずは目の前で食べないようにすべきだと思います。

 

 

Q2:しつけ教室ではこのように指導をされたのですが、上手くいきません。

A2:人間でも同じ指導を受けても、同じように理解できるとは限りません。その子に合わせた指導が必要です。

指導法としては合っていても、指導する側が上手く伝えられていないこともあります。例えば、「ダメ」という指示を1つ取っても、Aさんがいうとキチンと「No」と伝わるけれど、Bさんがいうと「Yes」と伝わるケースもあります。

「ダメ」という時に、ワンちゃんが興奮しており、小さな声や優しい声で「ダメよ」と言っても上手く伝わらないかもしれません。確かにある程度の日本語は理解してくれますが、「ダメ」なら「ダメ」と態度も口調もしっかりとわかりやすく伝えることが大切なことが多いです。中には強く言い過ぎると、怖がり過ぎて上手く伝わらないという子もいます。

ワンちゃんの反応をよく見ながら、しつけをしてみてください。

 

 

Q3:人を噛まないようにするにはどうしたら良いですか?

A3:すでに成犬になって本気で噛んでしまう(本噛みの)場合は、かかりつけの獣医師、プロトレーナーとよく相談しながら、対応しましょう。しつけ以外だと去勢手術をする、犬歯を短く矯正する、精神安定薬を利用する等もあります。

若い時期の甘噛みの段階の対処についてですが、まず本来犬は噛んでコミュニケーションをとる生き物です。小さい時に兄弟犬とじゃれあい噛んで噛まれてをして、ここまでやったら自分が痛い、相手が痛い、参ったはどうやるか、母犬との力の差(勝てない相手もいる)等を学んでいきます。しかし人間社会で生きていく上で、本人が甘噛みのつもりでも割と痛いこともありますし、どなたかを甘噛みをしてしまうと困ってしまうケースが多々出てきます。そこで最初の段階で、甘噛みですら許容しないようなコミュニケーションを取るようにしていくことがしつけの方法となります。「噛んでしまうんです」ではなくて、「噛ませない」んです。嬉しくなって興奮してきて歯が出そう、そこでストップです。まず歯を出させない。もし歯が出たら、噛ませず避けます。そしてしっかりと「ダメ」、「いけない」等の指導を入れます。そこでワンちゃんが、わかっていそうかをキチンと観察してください。きっと叱られていると理解していたら、しょんぼりとした顔をするはずです。優しい声で「だめよー」と言ってそのまま甘噛みを許容している場合、その「だめよー」は、「NO」ではなく「OK」とワンちゃんは理解するかもしれません。ダチョウ倶楽部さんのネタではないのですから、ダメなことなら、キチンとダメだと伝えないといけません。

噛むんですがという質問については、きっと噛むことを許容している習慣がどこかにあります。そこを断たないといけないです。他には「家に帰ってきたら嬉しくなって衣服を噛むんです。」等ではまずワンちゃんにケージやサークルなどに入っていてもらい、ある程度落ち着いてからコミュニケーションをとるようにすると良いかもしれません。この帰ってきてすぐに熱烈抱擁をすることは、エスカレートするとワンちゃんの精神病の1つである分離不安を引き起こしてしまうこともあるので注意が必要です。

何も噛ませないで良いかというと、そうではなく、噛むのが好きなら、他に噛んでも良いオモチャ等を用意してあげれば良いです。

 

 

Q4:他のワンちゃんと仲良くさせたい

A4:大きくなったワンちゃんで、他のワンちゃんが苦手な子に、好きになりなさいということは、とても難しいです。苦手だけど挨拶はできます。は頑張ってトレーニングをすればできるかもしれません。

またチワワ(2kgぐらい)などの小型犬に、同じ犬なのだからと大型犬(30kg以上)と仲良くなりなさいとおっしゃる方もおられますが、私から見たら無茶振りです。ご自身が、初めて会った体重が自身の15倍の巨人、あるいは初めて会った象さんと仲良くなりなさいと言われたら如何でしょう?見上げるような大きな体、「ジャックと豆の木」か「進撃の◯◯」でしょうか?私ならきっと心のどこかで怖いなと思います。踏まれたらペシャンコです。食べないでよとも思います。確かに大型犬とも仲良くできる子はいますが、ハードルが高いです。同じサイズの子にしましょう。

他のワンちゃんと仲良くさせたいとなった時に、まず狼や闘犬の血が濃い犬種でとなるとハードルが高いかもしれません。和犬やピットブルなどです。近年の柴犬は品種改良されていて大人しい子も増えていますが、他のワンちゃんが苦手な子も多いです。プードルやレトリーバーなどがワンちゃん好きというケースが多いです。

仲良くしたいということでしたら、小さく好奇心が旺盛なうちに同じサイズのワンちゃん楽しい思い出を作らせていくことが1つの方法となります。大きな犬に追いかけまわされる噛まれるなどの怖い思いをすると他のワンちゃんが苦手になることもありますので、注意が必要です。大きくなってからだと好奇心よりも警戒心が勝ってしまうため、難しくなることが多いです。ちなみに自分より大きな生き物を警戒することは、決してダメなことではないです。自分が怪我をするかもしれませんからね。

大きくなってから苦手だけど挨拶はできるようにしたいということでしたら、プロトレーナーの協力が必要かもしれません。なぜなら相手のワンちゃんが必要だからです。同じくらいの体格で、トレーニングされているワンちゃんで、更に相性の良い子と、少しずつ一緒にさせてみる。そしてその子で慣れてきたのであれば、他のワンちゃんとも少しずつトライしていく必要があります。苦手なものを克服してもらうわけですから、一朝一夕ではうまくいきません。

 

 

Q5:散歩の時にリード(ひも)を引っ張るんです

A5:ショードッグ等でなければ、他の方に迷惑をかけないようにすること以外に散歩・リードの仕方に明確なルールはありません。ワンちゃんがリードを引っ張ること自体がダメというわけではないのですが、ワンちゃんの好きなようにばかりさせてしまうと、交通事故に遭う、何か食べてはいけないものを拾い喰いする、誰かを怪我させてしまう等、様々なトラブルに遭ってしまう可能性があるので、リードの仕方を勉強することをおすすめします。

以前見かけて印象的だったのが、公園で伸びるリードを使い、ワンちゃんの好きなように散歩させている方がいらっしゃいました。そのワンちゃんは他のワンちゃんを見かけると走っていき、他のワンちゃんのリードとグルグル巻きになってしまってしまい、相手のワンちゃんは怯えてしまっていました。リードが絡まった後も、リードを伸ばしている飼い主さんは何の悪びれもなくニコニコしており、「ウチの子はワンちゃんが大好きなんです」とか「ウチの子は噛まないので」等とおっしゃっていました。相手の立場を考えた時、知らないワンちゃんがいきなり飛びかかってくるわけなので、きっと怖いでしょう。それがワンちゃんが苦手な子だったら、身を守ろうとして反撃をするかもしれません。お散歩をする時は、自分目線だけで考えるのではなく、相手目線でも考える必要があります。

散歩の仕方を考える際に、まずは飼い主さんが、どのようにしたいかを考える必要があります。またいつも同じ飼い主さんが散歩に行くのであれば良いのですが、家族の何人かで散歩をしている場合、人によってルールが違うと、ワンちゃんは混乱してしまいますので、まずご家族でどうしたいのか、どのようにするのかルールを決める必要があります。

そもそもどのようにしたら良いかがわからないということでしたら、上手な方の散歩を見せてもらうのも1つかもしれません。あとコレ(例えば、道路に飛び出そうとする、他の方に飛びかかろうとする等)をされたら困るなということから逆に考えるのも1つです。

散歩の仕方ですが、個人的にはメリハリをつける、オンオフをつけると良いと思います。ワンちゃんもお散歩で色々な匂いを嗅ぎたい、走り回りたいという欲求があると思います。でも食べたら危ない物が目の前にある時や、交通量の多い場所でそれをやられると困るわけです。ですから交通量の多い場所等ではオン「着いてきてね」、公園等ではオフ「好きなように匂いを嗅いで良いよ、走って良いよ」とすると良いと思います。

お散歩時に向こうから、ワンちゃんが来ている、ウチの子は他のワンちゃんを見ると飛びかかろうとするということがわかっているなら、道を変えるや、相手のワンちゃんとの間に体を入れておき、リードを使いお座りの態勢で待てと指示し、相手のワンちゃんが通り過ぎるのを待つのも1つでしょう。大人しく待てができたら褒めてあげると良いです。

リードの使い方にもコツがあります。文字で伝えるのが難しいので、上手な方のリードの使い方を実際見ていただくことが一番早いかもしれません。おやつを使って指導するという方法もあります。

小型犬は特に呼吸器が弱い子が多いので、個人的には首輪はあまりすすめておらず、ハーネス・胴輪をすすめています。引っ張り防止用のハーネスもありますので、そういった物を利用されるのも1つかと思います。

 

ドッグトレーナーの遠藤エマ先生の動画がとても勉強になるので、ぜひ観てみてください。