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《予防・歯科》歯のお悩み、質問形式で

2023年2月2日

歯のお悩みでたくさんの患者さんがご来院されるので、今回はよくある質問について、書いてみようと思います

 

Q1:歯のケアって何故重要なの?

A1:ある論文にて歯のケア(スケーリング)を定期的にしている犬では、していない犬よりも寿命が長いというデータが出ています。また心臓病のある犬とない犬では、心臓病の犬の方が血中の歯周病菌が多い、つまり心臓病と歯周病は関係しているのではないかと考えられています。心臓だけでなく、肝臓や腎臓への負担もよく言われています。歯周病で歯が痛い、顎の骨が溶けて折れてしまう、歯の根っこから膿が多量に出てしまう等、様々な怖いことが起こるため、歯のケアが重要だとされています。ちなみに、2歳までに80%の犬が歯周病であったというデータもあります。当院にかかっている患者さんでは、デンタルケアを頑張られている方が増えていますので、もう少し低いようには感じます。歯周病関連のトラブルはとても多いので、重要だと考えております。

 

Q2:歯のケア、歯磨きはどれくらいの頻度で行った方が良いでしょうか?

A2:あまり難しく考えないでください。ご自身の歯磨きと一緒です。できたら毎食後が望ましいです。歯の表も裏も間も歯周ポケットも1本1本丁寧に磨くのが望ましいです。ただこれが中々大変だし、難しいんです。歯磨き大好きというワンちゃんは少ないです。毎日やるっていうのは正直大変です。毎日が難しければ、2日に1回でも、今日は前歯だけ、明日は奥歯だけでも良いんです。やらないより良いんです。できるところから少しずつやってみてください。ただし噛まれる時は無理はしてはいけません。

 

Q3:歯磨き粉は使った方が良いですか?

A3:歯磨き粉のメーカーさんからは、使った方が効果的だというデータを出されていらっしゃるので、効果的なのではないかと思っています。しかしまずはブラッシングの仕方が大切です。歯の間にゴハンが挟まっているのを取らずに、そこに一生懸命歯磨き粉を塗っても、効果が十分に発揮されません(歯磨き粉によっては、塗るだけで炎症を抑える作用や、菌の発育抑制作用があるものもあります。ただ根本の歯垢や食べかすを取ることがまず大切です)。やはりブラッシングの仕方が大前提です。あと人用はキシリトールが入っているので使用しないでください。ワンちゃんにキシリトールは毒性があります。

 

Q4:デンタルシートでも良いですか?

A4:大前提として歯ブラシでのブラッシングが一番だと思います。飼い主さんご自身でデンタルシートを試したと考えて頂き、歯のザラザラ感はどうでしょう?歯の間は如何でしょう?きっと歯ブラシの方が良いと思われる方は多いのではないでしょうか?そして何よりもワンちゃんで多い歯周病は歯周ポケットに汚れが溜まって起こる病気です。この歯周ポケットはブラシじゃないと綺麗にできないんです。だからこそ歯ブラシが一番となります。でもそうです。歯ブラシをやらせてくれないんです。そういう時にブラッシングをやる前の練習として、デンタルシートを使うと良いと思います。

 

Q5:歯磨きガムでも良いですか?

A5:歯磨きガムも効果があるのですが、ブラシやシートで拭くよりも効果が落ちる傾向にありますので、補助として利用されると良いと思います。想像してみてください。もし飼い主さんご自身が歯磨きガムだけで自分の歯をキレイにキープできそうか?できる方もいるかもしれませんが、中々難しいのではないかと私は思います。ちなみに一般的な歯磨きガムは、ガムをかんだ時の摩擦で歯垢が取れます。飼い主さんがやりがちなミスのNo. 1は、ポイッとそのまま与えることです。よく観察してください。一体何回ガムをかんだでしょう?数えてみてください。大して噛みもせずに飲み込んでいる子が多くないでしょうか?与えるなら逆側を持って、簡単には飲み込ませないようにして、前歯、奥歯、左右何度も噛ませてください(※噛まれないよう注意してください)。あと与える量も注意です。推奨量が袋に書いてあるかもしれませんが、意外と書いてある推奨量でも量が多いケースが多いです。要は太りますので、その子その子で量の調整が必要です。ヒントとしては自分が食べる量で考えてみてください。ベスト体重が3kgの男の子の成犬にガムを1本与えるとはどういうことか?私達換算言うと成人男性、170cm、60kgだとしたら、ガム20本です。そりゃ言い過ぎだよと言うなら、半分にしましょうか?ガム10本です。毎日ガム10本をご自身が食べたらどうなるか?意外とカロリーが高そうに思えませんか?歳とともに基礎代謝が低下してきている私にとって、いつものゴハンにプラスして毎日ガム10本食べなさいと言われると、1ヶ月後の体重は大変なことになっていそうです。わんちゃんは太れば太る程、平均寿命が短くなるというデータが出ていますので、良かれと思ってやったことが悲しいことになるかもしれません。歯磨きガムは与え方が大切です。

 

Q6:歯磨きのおもちゃはどうでしょう?

A6:普段から何かを齧っている子は、そうでない子に比べるとデータでも経験的にも歯がキレイな傾向にあります。齧ることの摩擦で歯垢が取れるのでしょう。齧ることは歯に良さそうです。ただここにも注意点があります。①硬すぎる物は与えない。ひづめ等ある程度の硬さがあるものは歯が折れることがあります。特に奥歯の大きな歯が折れることが多いです。歯が磨耗してほとんどなくなっている子もいます。また②食べてしまわないように注意(誤食)。本来は食べてはいけない物を丸呑みしてしまい、腸に詰まってしまうケースもあります。好みもあるので、具体的に何を与えると良いというのは、すみませんが難しいです。硬さや安全性で言うなら、やはりガムが無難ではあるかもしれません。

 

Q7:歯ブラシってどんなものが良いの?

A7:これも結構難しいんです。わんちゃんの口の大きさってかなり幅がありますので、まずはお口のサイズにあったブラシを選ぶ必要があります。そして毛先が硬いものはあまりすすめていません。実は歯磨きが痛くて歯磨きが嫌だというケースも結構あるんです。それは毛先が硬くて痛いということも要因の1つなります。あとはすでに歯周病があり、デリケートな状態なのに更に毛先が硬いもので磨くと、やはり痛いんです。痛くないけどしっかりと取れる毛先が望ましいです。今のところ特に小型犬にはヘッドが小さくて毛先が硬過ぎない動物用の歯ブラシをすすめています。

 

Q8:歯の治療で歯を抜くんですか?

A8:歯周病が進行すると抜歯をする必要が出てきます。歯の根っこの部分にバイ菌の塊がついて、歯の周りの骨が溶けてしまっており、その歯が残っていることで本人がツラい思いをして、可哀想なので抜くことがあります。むしろすでにグラグラで接着剤のようになっている歯石を取るとポロリと抜けてしまうことも多いです。歯を抜くのは可哀想ですし個人的には歯を抜きたくないので、抜かなくて良いように歯磨きをして欲しいです。そして汚れてきたら歯がダメになる前にクリーニングをしてあげると良いです。獣医としては、全部の歯をキレイにすべきと言わないといけないのかもしれませんが、長生きすると、私達人間でもどうしても1本か2本、歯がダメになることがあるかと思います。できる範囲で良いので健康な歯をキープしてあげて、健康で元気に長生きしてもらいたいと思っています。

  

↑ 左は正常な歯のレントゲン、右は歯周病の歯のレントゲンです。右側の青丸の歯の周りが左に比べて黒くなっていることがわかります。これは歯を支える顎の骨が歯周病菌により溶かされていることを示唆しています。

↑ 上記のレントゲンに写っている歯周病におかされてしまった歯です。歯の表面(下の部分)は白いですが、歯の根本(上の部分)は茶色い歯石や歯垢が付着しています。イメージとしては歯の根っこが腐っています。腐ったものが口の中でずーと刺さっていて、どんどん顎の骨が溶かされていたら嫌じゃないでしょうか?残しておいたらワンちゃんにとって害にしかならないので、抜去しています。

 

Q9:歯の治療に麻酔は必要ですか?

A9:当院では歯の治療を行う際には、基本的に全身麻酔を実施しています。麻酔をかけないとキチンとした治療ができないし、危険だし、動物が可哀想だからです(次のブログを見ていただければわかると思います)。飼い主さんのほとんどの方が歯医者さんに受診されたことがあるのではないかと思います。私達も歯医者さんと同じようなことをやります。歯を1本1本、表も裏も間もチェックして、歯周ポケットは深くなっていないか、汚れが溜まっていたら、歯の表も裏も間も歯周ポケットの中もキレイに掃除をします。歯周病は歯周ポケットの中に汚れが溜まりどんどん広がって骨を溶かしていく病気です。軽度の歯周病の治療の際には、この歯周ポケットの中の汚れを取ることで治療が可能なのですが、「アーンしてね」や「動かないでね」と言っても動物には中々できないので、麻酔をかけずに歯周ポケット内の汚れを取るのは非常に難易度が高いです(麻酔をかけないでも、大人しい子でしたら表面の歯石は取れるかもしれませんが、しっかりとした治療ができたか?と聞かれると私には難しそうです)。そもそも歯周病があって痛いわけなので、無理やり押さえつけてやるのは、きっとツラいことなのではないでしょうか?更に歯がもっと悪くて抜歯が必要ですとなったら、麻酔をかけないで抜歯をするのは、よほどグラグラしていてポロリと抜けるような状況でなければ、きっととても痛いでしょう。一方でもちろん麻酔をかけるリスクもありますので、メリット・デメリットを天秤にかけて治療をご提案しています。話は戻りますが、できたらなるべく歯磨きをしてください。

 

Q10:歯石取りはどれくらいの頻度でやった方が良いですか?いつからやった方が良いですか?

A10:まず歯石取りという言葉やイメージが先行していて、何だかわからなくなっているのではないかと思われます。そして具体的にいつというのは、「その子とご家族次第」がお答えになります。

それでもどうしたら良い?というご質問に対しましては、個人的には今のところ最低2〜3年以内に1回くらいのペースで、お口のチェックを受けられてはどうか?とアナウンスをしています。

 

理想的には歯磨きがしっかりとできていて、歯垢も歯石の付着がなく歯周病になっていない、そしてその他、歯が折れる等といった口腔内の病気が無いなら、歯石取り、歯内治療、抜歯等の治療は必要ありません。

ただ一生懸命歯磨きをしていても、私達自分自身の歯であっても、歯科医に診てもらうと歯石がついている、中には虫歯や歯周病を指摘されることがあります。そのため人では、半年毎の歯科検診がすすめられています。早期発見早期治療でなるべく健康な歯を残していくことは、人でもとても重要だと考えられているからです。寿命と健康寿命が伸び、認知症の予防にもなるとされています。

わんちゃんの場合も、予防歯科の考え方は同じで、結果的には歯石も取るのですが、定期的に歯科検診をし、なるべく健康な歯が残るようにしていきましょうということになります。歯科検診の頻度は、先生によってご意見も変わりますが、ある専門の先生は半年に1回、少なくとも1年に1回はやった方が良いでしょうとおっしゃっています。ただ人と違うのが、ワンちゃんの場合はしっかりといた歯のチェックをするためには、やはり全身麻酔が必要になるということです。

私個人は、飼い主さんの予防意識や、実際にどの程度のデイリーケアができるか、麻酔をかけられそうか、口の中のトラブルの重症度等を加味して、対応させて頂いております。

具体的には、定期的な歯科検診を受けられている方、見た目だけではきっちりと評価はできないのですが、歯槽骨が溶け始めていそうな所見が出る前(抜歯が必要になる前)に定期的に治療を受けられる方。すでに歯周病があるがこれから予防歯科を頑張りたいという方、日頃のケアはできないのだけど歯周病で歯が痛くてご飯が食べられない、根尖部膿瘍で頬から膿が出続けている等、本人の苦痛がヒドイ場合のみ治療をするという方など、様々なパターンがあります。

 

Q11:歯磨きのやり方がわからない

A11:言葉では言い表すのが難しいので、いつも紹介させていただいているドッグトレーナーの先生の無料動画を見て頂くことをまずオススメします。

ハッピードッグライフエマ

↑当院HPの一番下にあるこちらのリンクから飛んでみてください。ワンちゃんの飼い主さん必見のしつけ動画をたくさん載せてくださっています。

それでも難しそうなら、かかりつけの先生やトレーナーさんと相談してみると良いと思います。

「ウチの子は歯磨きを嫌がるんです」と言われる方がおられますが、大丈夫です。私が知る限り歯磨きが好きという子はとても少ないです。うまくトレーニングを重ねていくことで、「好きではないけど我慢できる」、「歯磨き事態はそれ程好きではないけど、褒めてもらえるから、ご褒美がもらえるから好き」までできるかもしれません。私達人間も歯磨きが大好きでやっているというより、歯磨きをしないといけないからやっているのではないでしょうか?

 

動物の歯科もドンドン発展しており、様々なご意見やお考えがあるかと思います。もしかしたらもっと良い回答があるかもしれません。こちらで書かせて頂いたことが完璧で正しいとは限らないのですが、1つのヒントとなれば幸いです。お口のことが気になるなと思われたら、まずはかかりつけの先生とご相談してみてください。