神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目2−25
ハスミドミトリー001
2025年3月21日
続いて慢性腎臓病の治療についてですが
調べたことがある方はわかると思いますが、腎臓病の中でも慢性腎臓病には、すごくたくさんの治療法があります。
あれが良いらしい、これが良いらしい。
先生によっても言うことが違うかもしれません。
同じ先生でも1年前と今で言うことが変わることもあるかもしれません。
飼い主さんとしては、どうしたら良いのか非常に悩まれることがあるのかなと感じます。
これは色々な理由があるのですが、第一に現時点で私が知る限り慢性腎臓病を根治させることが非常に困難だからです。
基本的な治療の目的は「根治」ではなく、①生活の質を高めること、②寿命を伸ばすこと、となります。
治る病気なら、治療方法は単純明快です。
しかし治らないからこそ、様々な治療法が提案されています。
治療方法に正解はあるのか?と聞かれると、私個人としては、飼い主さんと動物の数だけあるとお答えさせていただきます。私が考える良い治療は、飼い主さんにとっても、動物にとっても、社会通念上としても良い治療だと思っています。
わんちゃん、猫ちゃんの慢性腎臓病の治療法には、食事療法、投薬療法、皮下補液などがあります。
ある子は、腎臓病用の療法食を喜んで食べてくれた。だけどお薬は飲ませられない。
またある子は、食事のこだわりが強くて療法食は食べてくれない。お薬は飲める。通院はちょっと大変。
そしてある子は、ご飯も投薬もだめだけど、連れて来れ、皮下補液をしてもらうと調子が良くなる。など、動物の事情には色々なパターンがあります。
飼い主さんとしても、費用面をはじめ、お仕事が忙しい、投薬が難しい等、きっと色々なご事情やお気持ちなどがあるかと思われます。
それぞれの事情があるけれども、無理をして全ての治療をすべきなのか?私はそうは思っていません。ご家族ごとのチョイス・選択が重要だと思います。これらのお悩みを一緒に考えていくのが、我々獣医師の仕事の1つだと思っています。ご家庭ごとのお悩みがあると思いますので、どういうことに困っているのかをお伝えいただくと、きっと良い治療になると思います。
こういうお悩みは昔よりも増えてきたなと感じております。昔は何ヶ月も症状が続いているけれども病院に連れて来られずに、末期状態となり受診され、もう年だから何もしないという方も結構いらっしゃいましたが、近年は、定期的な健康診断を受けられる方が多くなり、症状が出る前に早期発見されるケースが増えています。またできることはやってあげたいという方が増えている印象です。色々やってあげたいと思うことと、やってあげられないことのジレンマがあるのかと思われます。
私個人としては、昔と比較してしまうので、動物のために一生懸命考えてあげていることが、本当に素晴らしいなと思っています。こんなに一生懸命考えて、定期的に健康診断も受けられ、色々と頑張っているのだから、大丈夫ですよ。自信を持ってくださいってよく思います。動物はどうしても歳をとり、歳をとると病気になってしまいます。どのように付き合ってあげたいか一緒に考えさせて頂きたいなと考えております。また将来的には治る病気になって欲しいなと思っています。私が獣医師になり15年程度ですが、心臓病の手術が成功するようになったり、不治の病であったFIPが治るようになったりと、この15年でびっくりするような進歩が起こっています。いつか腎臓病も治る時代が来ることを期待しております。